ターナー症候群とはどんな病気？原因は？

 

ターナー症候群とは、染色体異常の病気です。一般的に、女性の性染色体は「XX」とX染色体が2本ありますよね。でも、ターナー症候群はX染色体が1本しかないため、それが原因で様々な症状が現れるようになります。これが、ターナー症候群です。

 

通常、染色体は46本ありますが、ターナー症候群の女性は染色体が45本しかないのです。片方のX染色体が丸々ない場合もありますし、部分的に欠けている場合もあります。

 

また、X染色体が1本ない細胞と46本すべてが揃っている細胞の両方を持っているターナー症候群の女性もいます。

 

このX染色体が1本ない細胞と46本揃っている細胞を併せ持つターナー症候群の女性は、全体の20％いますが、このタイプのターナー女性はモザイクと呼ばれます。

 

モザイクのターナー症候群の女性は、あとで説明するターナー症候群の特徴的な症状が出にくいですし、きちんと診断するのが難しいことがあります。

 

 

ターナー症候群の原因

 

では、なぜ染色体異常が起こるのでしょうか？実は、ターナー症候群は受精前、または受精後すぐに起こるものなんです。

 

ターナー症候群は受精前または受精前後に一方のX染色体が全てまたは部分的に欠けるために起こります。

 

引用：ターナー女性の身体的特徴｜未来ぐんぐんネット

 

つまり、ターナー症候群は子宮に受精卵が着床する前から、ターナー症候群であると決まっていることがあるということですね。

 

受精前からX染色体が欠けることがあるということは、予防することはできないということです。出生前の羊水検査で、ターナー症候群かどうかはわかります。

 

ターナー症候群は病気や障害ではなく、1つの体質であるという考え方があるため、ターナー症候群という病名ではなく、ターナー症候群の女性を「ターナー女性」と呼ぶことが多くなっています。

 

ターナー症候群は、適切な治療を受ければ、健康的な生活を送ることができますし、平均寿命に関しても、特に健常者と変わりありません。

 

 

ターナー症候群の症状や特徴

ターナー症候群の女性は、様々な症状が現れます。症状別に、細かく説明していきます。

 

 

ターナー症候群の特徴的な症状は低身長

 

ターナー症候群の女性は、ほぼ100％の確率で低身長になります。ターナー症候群の女性は、出生時から小さめです。ただ、出生時は明らかに小さいというよりも、正常の大きさの下限程度ですので、「ちょっと小さいかな」くらいで生まれます。

 

その後、健常児に比べて、成長速度が遅く、身長の差が少しずつ大きくなります。また、女性は思春期中に身長がグンと伸びますが、ターナー症候群の場合はそれがありません。

 

ターナー症候群は最終的に、平均身長よりも20cm程度低い状態で、成長が止まります。

 

ただ、きちんと子どものころから必要な治療を受け、成長ホルモンを投与していれば、もう少し身長を伸ばすことは可能です。

 

 

性腺機能不全

 

ターナー症候群の女性は、性腺機能不全です。ターナー症候群は卵巣が十分に発達しないため、性的な発達が見られないことが多いです。

 

卵巣では女性ホルモンが分泌されますが、ターナー症候群は卵巣が未発達のため、きちんと女性ホルモンが分泌されず、月経が起こりません。治療をせえずに月経が自然に来るのは、ターナー症候群の女性の2～5％になります。

 

そして、卵巣は卵子を毎月1つずつ排卵します。でも、卵巣が未発達のために、排卵が起こりませんン。そのため、ターナー女性は自然妊娠が非常に難しく、不妊になることがほとんどです。自然妊娠できるターナー女性は、たった2～5％程度とされています。

 

この性腺機能不全に対しては、思春期から女性ホルモンの補充を行うようにすることで、月経を起こすことができますが、不妊に対する根本的な治療は難しいのが現実です。

 

 

顔や外見的・身体的な特徴

 

ターナー症候群は、顔や外見的・身体的なな特徴も出てきます。まずは、顔の特徴から見ていきましょう。

 

 

これらがターナー症候群に共通する顔周囲の特徴です。これらの特徴を見てもわかるように、ターナー症候群は顔を見ただけでは、ターナー症候群かどうかの判別はほぼ不可能です。ダウン症のように、明らかな顔の特徴があるわけではないのです。

 

次は、ターナー症候群の外見的な特徴や身体的な特徴を見ていきましょう。

 

 

これらの症状もターナー症候群の人の外見的・身体的な特徴です。これらの症状も、パッと見ただけでは、ターナー症候群かどうかは素人には判別できないものばかりです。

 

顔や外見的な特徴・症状をご紹介しましたが、ターナー症候群は低身長であるという特徴的な症状以外は、ほかの人からはわからないのです。

 

 

ターナー症候群の合併症

 

ターナー症候群の人は、健常者に比べると合併症を起こしやすいことが特徴です。ターナー症候群の人が合併しやすい疾患には、以下のようなものがあります。

 

 

ターナー症候群の80％以上には内耳や中耳の炎症や難聴などの疾患が見られます。また、30％は腎疾患があり、20％は心疾患の異常があるというデータがあります。さらに、ターナー症候群の若い患者の10％、高齢の患者の50％には、甲状腺機能低下症があるんです。

 

そして、ターナー症候群のほとんどは知的障害・発達障害はありませんが、明らかな知的障害がある人や発達障害の症状が出る人もまれにいます。

 

 

ターナー症候群の芸能人はいるの？

 

ターナー症候群は2000人に1人の割合で発生する染色体異常ですので、決して珍しい疾患ではありません。ということは、ターナー症候群の芸能人・有名人がいてもおかしくはないですよね。

 

ただ、ターナー症候群を自ら公にして宣言することはありませんし、先ほども顔や外見上の症状・特徴で説明した通り、パッと見ただけではわからないことが多いので、ターナー症候群の芸能人がいるのか、不明です。

 

インターネット上では、低身長である矢口真里さんがターナー症候群ではないかという噂があるようですが、本人はそんなこと一言も言っていませんし、ただ身長が低いというだけで、ターナー症候群であると決めつけることはできません。推測することすら、あまり良いことではないでしょう。

 

 

ターナー症候群の3つの治療方法

ターナー症候群は染色体異常ですので、根本的な治療をすることはできません。現代医学では、欠けている1本のX染色体を増やすことはできないのですから。

 

それでも、日常生活に支障が出ないような状態にするための治療は可能です。

 

 

成長ホルモンの補充

 

ターナー症候群の特徴的な症状は、低身長です。治療をしなければ、身長は140cm以下になることが多いです。

 

でも、適切な時期に成長ホルモンの補充を行うことで、身長を伸ばすことは可能です。成長ホルモンを投与して、身長を伸ばすことができれば、外見上はターナー症候群かどうかはほとんどわからなくなります。

 

 

女性ホルモンの補充

 

ターナー症候群は、卵巣が未成熟なため、エストロゲンやプロゲステロンの女性ホルモンが分泌されないため、月経が起こらないことがあります。

 

自発的に思春期が来て第二次性徴が起こるのは10～20％、月経が来たり、妊娠できるのは2～5％とされています。

 

ターナー症候群の女性には、女性ホルモンを投与することで、女性らしい体つきにしたり、月経を起こしたりします。女性ホルモンの補充は、将来の骨粗しょう症を予防するためにも、重要な治療になります。

 

将来の妊娠の可否については、モザイク型かどうか、卵子提供を受けるかどうかなどによって、異なります。ターナー女性1人1人違うので、一概には言えないのです。

 

 

対症療法

 

ターナー症候群の女性は、心血管系や糖尿病、自己免疫疾患、甲状腺機能異常などの合併症を発症しやすいです。そのため、定期的に健診を受けて、合併症が発祥していないかをチェックしていく必要があります。

 

さらに、合併症の発症が見つかったら、それに対する治療を行っていきます。ターナー症候群の合併症の一覧を見ると、予後は不良なのではないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。

 

骨密度、一般的に適切な管理がなされていれば、長期予後に大きな問題はない。

 

引用：小児慢性特定疾病情報センター – ターナー（Turner）症候群 概要

 

ターナー症候群は定期的な健診は必要なものの、きちんとした治療・管理をしていれば、健康に生活していくことができるのです。

 

 

ターナー症候群の原因・特徴・症状・治療方法についてのまとめ

 

ターナー症候群の原因や顔や外見の特徴・症状、芸能人にターナー症候群はいるのか、ターナー症候群の治療方法をまとめました。

 

ターナー症候群は低身長が特徴の染色体異常の疾患ですが、子どものころからきちんと治療を受け、定期的に健診を受けていれば、健常者と同じような生活をすることができます。

 

ただ、妊娠・出産は難しいこともありますので、主治医とよく相談して、どのように対応していくかを考えるようにしてください。