プロテインは今話題の栄養補助食品ですが、その一方で太るとの噂や肝臓などに副作用があるなどデメリットも懸念されています。
今回はプロテインの誤った噂2つ、デメリット4つ、肝臓への副作用、正しい使い方&注意点を紹介します。
この記事の目次
プロテインの働きとは
健康維持や効率的な筋トレのためにプロテインを摂取する方は少なくありません。
最近では、アスリートや筋トレを定期的に行っている男性だけに限らず、女性もプロテインを摂取するようになっています。
プロテインはタンパク質を中心とした食べ物ですので、直接的なデメリットはないと言えます。
では、このプロテインは体の中でどんな働きをしてくれるのでしょうか。
プロテインはつまりタンパク質です。タンパク質は筋肉の成長やホルモンバランス、血液中のヘモグロビン値や免疫機能にも関係しています。
タンパク質は数万種類存在しており、アミノ酸から結合することによって機能の異なるタンパク質になっています。
タンパク質が合成される時、古いタンパク質は分解され、新陳代謝が起きています。
筋肉量を増量させたいときには、このタンパク質の働きを利用し、合成に十分な量のタンパク質を摂取する必要があるのです。
プロテインは太る?誤解されやすい作用2つ
最近、特にダイエットや体づくりのためのプロテインは人気が出ています。それゆえにプロテインにはダイエット効果がある、筋肉が必ず増える、などの誤解も生じています。
一般的になりつつある、プロテインに関する誤解の2つの点を考え、副作用が出るのを予防しましょう。
①プロテイン=筋肉増強剤
プロテインは筋肉増強剤である、と言う誤解が一般的になっています。プロテインを飲むと筋肉むきむきの男性の体になってしまうという認識です。
確かにプロテインの働きには筋肉の成長を促すものもあります。そしてタンパク質は筋肉を成長するために欠かせない栄養素です。
しかし、プロテインを飲んだからといって、筋肉がどんどん成長していくわけではありません。
プロテインの効果を高めるためには筋トレなどの運動する必要がありますし、プロテイン以外にも栄養素をバランスよく摂取する必要があります。
また、トレーニングとトレーニングの間の休養も必要です。
プロテインの摂取は栄養素を補給することに当たりますが、筋肉増強剤ではなく、あくまで健康食品ですのでその誤解はなくしましょう。
②プロテインで太る
もう1つの誤解として、プロテインを飲むと太ると言うものがあります。
プロテインはホエイ、ソイ、カゼインなど種類があり、特に牛乳が原料のプロテインはタンパク質が効率的に摂取できるよう、余分な脂質や糖質が排除されています。
基本的にプロテインのカロリーは、一杯当たり100~150kcalと言われています。(ダイエット用に調整されているプロテインはこれに限りません。)
タンパク質の配合量もメーカーによって異なりますが、ほとんどの場合10g程度摂取できるように調整されています。
プロテインは低カロリーで高タンパク質の食品ですので、ダイエットに効果的なものと言えるでしょう。
もちろん1日に何杯も飲んでいるとカロリーオーバーは避けられません。しかし逆に、200kcal以上のお菓子を間食として食べるより、プロテインを摂取したほうが太らないとも言います。
プロテインのデメリット4つ
プロテインを過剰摂取することで、健康を損なってしまった人は少なくありません。
プロテインは確かに健康維持に効果的な食品ですが、摂取する方法を間違えると逆効果なのです。
好ましくない体調変化が生じることがないように、あらかじめプロテインを過剰摂取するデメリットを知っておきましょう。
プロテインは飲めば飲むほど健康的になる、痩せると言うものではありません。プロテインの過剰摂取が及ぼす、考えられる身体への影響について紹介します。
①内臓疲労
まず1つ目の考えられるデメリットは内臓疲労です。
タンパク質は体内で合成と分解を繰り返しています。この時に分解された余分なものは窒素となり排泄されます。そのためには肝臓や腎臓の働きが必要となります。
また、分解の過程で発生するアンモニアも体にとって有害な物質であり、排出されるためには肝臓や腎臓に負担がかかります。
このように、タンパク質を過剰摂取してしまうと多くの窒素やアンモニアが発生し、肝臓や腎臓など内臓にかかる負担が大きくなってしまいます。
②カロリーオーバー
2つ目の考えられるデメリットがカロリーオーバーです。
カロリーを抑えつつ、高タンパク質の食品を意識しておけば、脂肪分や糖分が出来る限り除去されたプロテインを選ぶようになるでしょう。
プロテイン自体は高カロリーではありませんが、よりタンパク質を摂取しようと適切な量以上を飲んでしまうと、結果的にカロリーオーバーとなってしまいます。
ダイエット目的で摂取しているにも関わらず、肥満を招くことも考えられます。
プロテイン以外にも、普段の3度の食事の食材や調理法を工夫して、栄養バランスを整えることも必要です。
③尿路結石
3つ目のデメリットは尿路結石のリスクが高まることです。
尿路結石とタンパク質は無関係に思われがちですが、尿路結石になる原因の1つはタンパク質の摂り過ぎです。
肉類に含まれている動物性タンパク質は、体内でシュウ酸や尿酸を増加させる働きがあります。これはカルシウムと結合しやすく、腸の中で結びつくことで排泄されやすくなります。
ただし、吸収されなかったこれらの成分は、排泄される前にカルシウムと結合すると石のような塊となってしまいます。これが尿路結石です。
タンパク質を摂取しすぎることによって、このシュウ酸や尿酸を増加させるのは、体にとってハイリスクといえるでしょう。
④腸内環境悪化
4つ目のデメリットは腸内環境の悪化です。
私たちの体内には、100種類以上100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しており、その中には悪玉菌も存在しています。
動物性タンパク質を摂取しすぎると、吸収されずに送り込まれたタンパク質が悪玉菌の餌となります。
本来は少ないはずの悪玉菌ですが、タンパク質を餌として増えてしまうと腸内環境が悪化し食中毒に感染する恐れも高まる上、発がん性物質である腐敗産物も発生する恐れがあります。
このように、タンパク質の過剰摂取は病気を引き起こす可能性もあり、大変危険です。
また、腐敗産物が増えると、口臭や体臭の原因ともなるため、腸内細菌のバランスが整っているかどうかはすぐにわかるでしょう。
タンパク質の過剰摂取の副作用5つ
タンパク質は体に欠かせない栄養素であり、たくさんの良い影響を及ぼしてくれるものでもあります。
しかし良いものであると言う認識は時に取りすぎてしまう恐れもあります。どれほど体に良い栄養素であっても、多ければ多いほど効果的であるということはありません。
タンパク質を大量摂取すると体内に悪影響が及びます。その5つの影響をご紹介します。
①息が臭くなる
まず1つ目の影響は息が臭くなると言うものです。
低炭水化物で高タンパク質の食生活をしていると、炭水化物の代わりに脂肪をエネルギーとして使い始めます。これはダイエット効果としては好影響ですが、口臭には悪い結果となります。
なぜなら、脂肪を燃やす際、体が化学物質を生成するからです。この化学物質はマニキュアの除光液を飲み込んだかのような異臭を発します。
これは体内環境が悪化して体の内部から臭うものなので、歯磨きやデンタルフロス、デンタルリンスなど様々な対策を行ってもほとんど効果がありません。
栄養バランスのとれた食生活が本当に大切です。
②気分がマイナスに
2つ目の影響は気分が落ち込むと言うものです。
脳のムードを調節しているホルモンには、セロトニンと言うものがあります。この成分を促進させるためには炭水化物が欠かせません。
ダイエットのために高タンパク質の生活を行っていると炭水化物を制限しがちです。セロトニンの生成が抑制されると、機嫌が悪くなったり怒りっぽくなったり、不満を感じやすくなります。
ある研究によると、過剰体重の成人に厳格な低炭水化物ダイエットをさせた結果、高炭水化物の食生活を維持した人よりも不機嫌になり、体重も変化なしだったという結果になっています。
③腎臓の調子が悪化
3つ目の影響は腎臓の調子が乱れると言うものです。
タンパク質を摂りすぎると窒素副産物が一緒にとりこまれることになります。この余分なものは尿と一緒に排出されますが、その際に腎臓が普段以上に働かなければならなくなります。
長期的にタンパク質を過剰摂取していると、将来的には腎臓障害を生じさせる可能性もあります。
④胃腸の問題発生
4つ目の影響は胃腸の問題が発生するというものです。
筋肉を作る優秀なタンパク質には、食物繊維が一切含まれていません。
全粒穀物や豆類、野菜やフルーツなど食物繊維豊富な食材を、タンパク質で置き換えてしまうと食物繊維の1日の必要量を摂取することが難しくなります。
そうすると便秘になったり、お腹が張ったり浮腫が生じます。これはタンパク質の摂取だけを意識してダイエットを行っているかたにありがちな問題です。
⑤体重増加
5つ目の影響は体重が増えると言うものです。
もちろんダイエットに高タンパク質な食生活は効果的です。ただしそれは短期的なものに限定されます。
他の栄養素を摂らずにタンパク質だけで乗り切ろうとすると、体重が増えていきます。
食べるだけで痩せる食材などは存在しません。タンパク質も食べれば食べるほどカロリーを摂取することになり、それらがカロリーオーバーとなることもあります。
プロテインの肝臓への副作用とは?
先ほどタンパク質の過剰摂取が及ぼす影響の中で、簡単に腎臓と肝臓への影響を挙げました。ここではさらに肝臓への副作用を詳細に紹介します。
筋肉を発達させ美しい体を作るために、プロテイン摂取される方にとって確かに効果的かもしれません。しかし摂取の仕方を間違えると、体の各器官や機能を悪化させることになります。
健康のためにせっかくプロテインを摂取していたのに、病気になってしまったと言う本末転倒な事態にならないために、肝臓への副作用についてもご紹介しておきたいと思います。
肝臓の働きとは?
まず肝臓にはどのような働きがあるのでしょうか。
肝臓は栄養素を分解し合成し、代謝し貯蔵するという働きがあります。必要な栄養分を貯めておいて、それが必要になったときに送り出してくれるのが肝臓です。
また、肝臓によって解毒もできます。
有害な成分は肝臓で無毒化して排出しています。また脂質を分解するための胆汁も肝臓で作り出されています。
プロテインが肝臓に与える影響
体内で素晴らしい働きをしてくれている肝臓ですが、プロテインはこの肝臓にどんな影響を与えるのでしょうか。
プロテインは腸にたどり着き、そこでタンパク質からアミノ酸に分解されます。この分解される際にアンモニアが発生します。
アンモニアは有害物質ですので、タンパク質分解時に発生したアミノ酸とともに肝臓に向かうことになります。肝臓の無毒化機能によってアンモニアを無害な尿酸に変えてくれます。
しかし、大量のタンパク質を長期的に摂取し続けると、肝臓が常に働かなければならなくなり負担がかかります。そのような肝機能が弱っている状態 は解毒処理機能も弱まっています。
そのような状況でアンモニアが発生すると、無毒化されずに血液中にまわってしまう恐ろしい可能性も考えられます。
プロテインの正しい使い方のポイント3つ
プロテインを正しく使うために3つのポイントをご紹介します。
①飲み方
まずは飲み方です。プロテインを飲むタイミングは目的に応じたものにする必要があります。
3つの目的に応じた正しい飲み方を紹介します。
筋力向上
筋力を向上させるためには、トレーニング後に筋繊維が傷ついている際、回復力を高めるためにプロテインを摂取することが必要です。
トレーニング終了後の30分以内がゴールデンタイムとなります。
もしここで栄養補給を行わないならば、エネルギー不足に陥り筋肉量が減ってしまう可能性も考えられます。
栄養バランス
栄養バランスを改善させるためにプロテインを摂取することもできます。
タンパク質を補給することで胃腸の働きを活発にし、体内環境を修復させることができるでしょう。
食前食後は吸収されやすいのでおすすめです。また、就寝中は成長ホルモンの分泌が促進されるため、就寝前のプロテイン摂取もおすすめです。
ウエイトアップ
ウエイトアップを目的としたプロテイン摂取は、除脂肪体重を増やすのに効果的です。
よくあるのはプロテインを飲めば飲むほど体重が増えると誤解しているケースです。しかしタンパク質の吸収量には限界があり、過剰摂取すると悪影響が及ぶので注意しましょう。
引き締まった体を目指しているのであれば、運動や食前食後に取り入れるのが1番有効的です。また、間食に取り入れることによってトレーニング効果を高めることもできるでしょう。
②何と混ぜるか
プロテインを摂取する際に考えるべきなのは、何と混ぜるかです。
市販のものの中には、プロテインならではの味の癖があり飲みにくさを感じる方は少なくありません。フレーバーが付いているものであれば比較的飲みやすいでしょう。
また、溶かすものを間違えると吸収率が低くなる可能性もあります。おすすめの混ぜる水分をご紹介します。
水
1番基本的なものは水です。最もプロテインの効果が発揮できるのは水に溶かしたものです。
余分な成分が混入しないため、プロテインそのままの栄養素をしっかり補給でき、吸収率もそのままで維持することができます。
牛乳・豆乳
腹持ちを良くしたいのであれば牛乳や豆乳を使って混ぜる方法もあります。乳製品に抵抗がない方は味も良くなるのでおすすめできます。
ただし水に比べて吸収スピードが遅くなるので、トレーニング後のゴールデンタイムにはあまりおすすめできません。
腹持ちを良くしたい時や間食に使うのであれば、絶好の組み合わせと言えるでしょう。
柑橘系
柑橘系のジュースと合わせる方法もあります。
乳製品が苦手な方やフルーツの味を楽しみたい方にはぴったりです。その場合、100%果汁のジュースがおすすめです。
柑橘系のドリンクに含まれているクエン酸の働きによってプロテインの栄養効果を高め、疲労回復を促すことができます。
またジュースに含まれている糖質によってタンパク質の吸収率を向上させることができるでしょう。
③量・温度
プロテインはタンパク質です。
タンパク質は体内で吸収する量に限界があります。過剰に摂取すると内臓に負担をかけたり脂肪を蓄積させる結果になります。
飲むだけで筋肉が増えるわけではありませんので、1日に適切な量だけ飲むようにしましょう。
大体プロテイン15gに対して飲料が200〜300mgの割合で溶かすと良いでしょう。
また、プロテインの温度にも注意しましょう。プロテインによっては温度が高くなると性質が変化してしまう可能性があります。また、低温度もタンパク質の変性が生じることがあります。
微生物が繁殖したりしないよう、保管方法には充分注意しましょう。
プロテイン摂取の注意点3つ
プロテインを摂取する際のデメリットや正しい摂取方法についてご紹介してきました。かなり正しい知識を身に付けることができたはずです。
最後にプロテイン摂取の注意点について3つの観点からご説明します。
①アレルギー
まずはアレルギーです。
食物アレルギーがある方はプロテインを選ぶ際、成分にも注意しなければなりません。確認不足で、プロテインを摂取した後に体調不良を訴えるケースは意外と少なくありません。
購入する際は、プロテインのパッケージに記されている情報にしっかり目を通しましょう。アレルギー成分が含まれていないかチェックしましょう。
②トレーニング
またトレーニングを中断しているときには、プロテインの摂取量を見直しましょう。
運動していないのにプロテインを摂取することで、過剰なカロリー摂取により体脂肪が増加してしまう危険性もあります。
食事内容を考えながら、プロテインの継続期間を決めておくと良いでしょう。
③食事
プロテインを摂取しているからといって食事を抜いてもいいわけではありません。
プロテインは補助的な栄養食品ですから、栄養バランスの整った食事をしっかり摂るようにしましょう。
プロテインについてのまとめ
・プロテインのデメリット
「内蔵疲労」「カロリーオーバー」「尿路結石」「腸内環境悪化」
・たんぱく質の過剰摂取の副作用
「息が臭くなる」「気分がマイナスになる」「腎臓の調子が悪化」「胃腸の問題発生」「体重増加」
・プロテインの正しい使い方
「筋肉向上や栄養バランスのために飲む」「プロテインの効果が発揮できるのは水」「牛乳と豆乳は腹持ちがよくなる」「プロテイン15gに対して飲料が200~300mgが適量」
・プロテインを摂取するときの注意点
「アレルギーに目を通す」「トレーニングを中断するときはプロテインの量を見直す」「食事はきちんと」
プロテインはトップアスリートからOLまで、様々な人が使っている栄養補助食品です。
プロテインの正しい使い方を理解し、過剰摂取しなければ、デメリットを感じることはないでしょう。
体に負担をかけないように、プロテインの摂取方法に注意するようにしましょう。