お父さんやお母さんが、「アベック」という言葉を使っていて、「は?アベック?どういう意味?」と思ったことがある若い女性は少なくないと思います。お父さんお母さんではなく、祖父母が使っていたという人もいるかもしれませんね。
今回はアベックという言葉を徹底的に解説していきます。アベックの言葉の意味や語源、カップルとの違い、死語かどうかなどをまとめました。
この記事の目次
アベックの意味
まずは、アベックの意味から見ていきましょう。アベックという言葉には、主に2つの意味があるんです。
男女の2人組
アベックの意味、まず1つ目は「男女の2人組」です。アベックには、恋人同士や夫婦などの、一組の男女を示す意味があります。
「あのアベック、電車の中でいちゃいちゃし過ぎじゃない?」とか、「あのアベックは美男美女だね~」のように使われることが多いですね。
現在は、LGBTの配慮から「一組の男女」を指すのはおかしいと言われるかもしれませんが、アベックという言葉は基本的に「男と女の2人組」を意味します。
2人が同じ行動をする時の形容詞
アベックの言葉の意味には、「2人が同じ行動をする」という時にも使われます。例えば、次のような使い方ですね。
・アベック優勝
・アベック当選
このような使い方です。これらの言葉は、2人(2チーム)が同時に同じことをした時に形容詞のようにして「アベック」という言葉を使います。
このような使い方は、新聞やテレビのニュースなどでまだまだ使われていると思います。
この意味でアベックという言葉が使われる時には、性別は関係ありませんし、「2人」でなく「2チーム」でもOKです。
例えば、アベックホームランという時には、同じチームの男性2人が同じ試合でホームランを打った時に使われます。
アベック優勝の時は、男子チームと女子チームが同時優勝した時にも使われますので、2人限定というわけではありません。
アベックという言葉は、意外と幅広い意味で用いられるんですね。
アベックの語源はフランス語
アベックという言葉の語源は、フランス語です。フランス語で書くと、「avec」ですね。
ただ、フランス語でのavecの意味は、日本で使われている意味とは違います。フランス語のavecは英語のwithとほぼ同じ意味になります。つまり、「~と一緒に」という意味です。
これが日本に来て、和製外来語となり、「男女2人組」という意味や「2人で同時に同じ行動をする」という意味になったんです。
アベックの語源はフランス語ですが、本来の意味とは違い、あくまで「語源」という位置づけになります。
アベックとカップルはほとんど同じ意味
アベックと同じような意味にカップルがありますね。アベックとカップルは、何が違うのでしょうか?
意味的には、アベックもカップルもほぼ同じ意味です。男女の2人組という意味ですね。男女の2人組という意味は同じ、さらに使い方もほぼ同じです。
デジタル大辞典から、アベックとカップルの意味をそれぞれ引用して比べてみました。
まずはアベックからです。
《…とともに、の意》
1 男女の二人連れ。
2 二人または二つのものが行動をともにすること。「アベック飛行」
次に、カップルの意味を引用します。
一対。組み。特に、夫婦・恋人などの一組みの男女。「似合いのカップル」
アベックとカップルは、どちらも似たような意味で、恋人や夫婦などの1組の男女を表す言葉であることがわかると思います。
アベックはフランス語、カップルは英語
アベックとカップルは、どちらも男女2人組という意味がありますが、何が違うのでしょうかアベックとカップルは語源となる言葉が異なります。
アベックは先ほども説明しましたが、avecというフランス語が語源になっています。それに対して、カップルは英語ですね。coupleという言葉には「2人」、「2つ」、「一対の」という意味があります。
カップルには同じ行動の意味はない
アベックとカップルは、ほとんど同じような言葉の意味になりますが、アベックにはカップルにない言葉の意味もあります。
それは、「2人(2チーム)が同じ行動をする」という意味です。アベック優勝やアベックホームランという言葉はありますが、カップル優勝やカップルホームランという言葉はありません。
アベックはカップルよりも、幅広い意味を持つ言葉であると言えるでしょう。
アベックは死語になっている
アベックという言葉は、はっきり言って死語になっています。
アベックホームランやアベック優勝という言葉は、まだ現役で使われていますが、一昔前と比べると、さすがに使われる頻度は少なくなってきたと思います。
そして、2人組の男女という意味で使われるアベックという言葉は、完全に死語ですね。平成生まれの若い世代は、アベックの意味を知らない人も少なくありません。
ふざけて死語と知っていて、わざと笑いを取ろうとして「死語」という言葉を使ったというケースはあっても、普通に「アベック」という言葉を使うと、周囲の人は「は?」という反応になるでしょう。
アベックという言葉を使っていたのは
アベックという言葉が使われていたのは、昭和時代ですね。1960年代~1980年代ごろ、つまり昭和40年ごろから昭和が終わるころまでは、アベックという言葉が普通に使われていました。
このころは「カップル」という言葉はほとんど使われず、アベックが主流でした。昭和が終わると同時に、いつの間にかアベックという言葉は消え去り、カップルという言葉が使われるようになったのです。
アベックという言葉はまだまだ健在!
アベックは死語なので、私たちの日常生活で使われる機会はあまりありません。でも、実はまだまだ健在だって知っていますか?
「アベックラーメン」や「アベックトースト」という商品があって、その地域の人には昔から愛されているんです。
こちらは、主に九州で愛されているアベックラーメン。2人前の量が入っていることから、「アベックラーメン」という名前が付けられました。
出典:amazon.co.jp
こちらは秋田県で昔から愛されているパンのアベックトーストです。
どちらも地元では長く愛されている商品で、地元の人からすると「え?全国区でないの?」とビックリすることもあるんだとか。
こういうところでは、まだまだ「アベック」という言葉は健在で死語ではないんですね。
アベック以外の昭和の香りがする死語一覧
最後に、アベック以外で昭和の香りがする死語をまとめてみました。死語にはいろいろあって、「チョベリバ」などもありますが、このチョベリバは現在は死語になっていても、平成に入ってから生まれた言葉ですので、除外してあります。
・おセンチ=ナーバスになる、せつなくなること
・アッシー=送り迎え専門の男性
・メッシー=食事をご馳走してくれる専門の男性
・ナウい=今どきの、最先端の
・チャンネルを回す=昔のテレビはダイヤル式だったため
・ダイヤルを回す=黒電話の時代のこと
・半ドン=土曜日は半日勤務(授業)だった
・バイビー=バイバイが変化したもの
・よっこいしょういち
・バイナラ
・冗談はよしこちゃん
・当たり前田のクラッカー
・インド人もビックリ
・おこんばんわ
これらは、もしかしたらお父さん・お母さん世代ではなくおじいちゃん・おばあちゃん世代の流行語かもしれませんね。
アベックもそうですが、昭和の流行語は今見ると、一周回って新しい感じがするものもあると思います。
アベックの意味・語源・カップルとの違い・死語かについてのまとめ
・アベックの語源「フランス語で「~と一緒に」という語源」
・アベックはフランス語、カップルは英語。意味はほぼ一緒
・カップルには「同じ行動」の意味はない
・アベックは、1960~1980年ごろに使われていて、現在は死語になっている
・現在でも、アベックラーメンやアベックトーストの商品名には使われている
アベックの意味や語源、カップルとの違い、死語になっているかどうかなどをまとめました。アベックはカップルよりも幅広い意味を持つ言葉ですが、カップルと同じような意味出はもう使われておらず、死語になっています。
でも、アベックホームランなどの意味ではまだ使われることがありますし、「アベック」という言葉を使った商品はまだまだ愛されているので、アベックという言葉はこれからも細々と生き残っていく可能性が高いと思います。