モラハラやパワハラは、昨今ではよく耳にする言葉になりました。ただ、これらの意味や違いについてはご存知でしょうか?
今回は、モラハラとパワハラの定義や違い、詳しい事例などについて詳しくご紹介します。
この記事の目次
モラハラ・パワハラの意味
モラハラとは、モラルハラスメントのことです。簡単に言うと、物理的な暴力を伴わない、精神的な暴力、嫌がらせのことになります。加害者と被害者が存在し、加害者は被害者の非難しやすいポイントをみつけ、ねちねちと攻撃し、精神的に追い詰めていきます。
加害者の目的は被害者の価値を下げることであり、加害者は被害者を見下すことで、優越感を得ます。加害者は自分の自尊心のなさを、他人を攻撃することによって穴埋めしているとも言われています。
加害者は常に同じ事を繰り返す傾向があります。被害者が何かを譲歩したからと言って加害者が攻撃を止めることはありません。
一方、パワハラとはパワーハラスメントのことで、主に職場内で起こります。地位や人間関係、優位性などの背景に、加害者が被害者を精神的・身体的に参らせる行為のことです。職場環境を悪化させることもあります。
一般的には、上司が加害者で、部下が被害者というケースが圧倒的に多いです。また、女性の場合は、ボス的な女性社員が加害者で、優しすぎる人間や弱そうな人間が被害者になります。被害者にとってだけでなく、会社にとっても不利益になることが多いです。
このため、本来は会社全体で取り組むべき問題と言えそうですが、現実は逆で、会社全体がパワハラの温床になっているケースも多いようです。
モラハラの定義・パワハラの定義と6つの分類
まずはモラハラの定義についてみていきましょう。一般的には、モラハラは家庭内で起こります。いわゆる密室です。夫婦関係が主であり、夫が加害者、妻が被害者というケースがごく普通です。
しかし、これは数的に多いと言うだけであって、実際には、家庭内だけではなく職場でもモラハラは起こります。上司が加害者、部下が被害者というケースが多いです。
また、例外も多く、妻が加害者、夫が被害者もあれば、部下が加害者、上司が被害者というレアなケースもありえます。さらに立場が同等な友人同士、恋人同士でも起こることがあり、親子関係でもモラハラは起きることがあります。
どんな状況や相関図であったとしても、加害者は被害者の中に弱い部分を見つけ、攻撃し、陥れることによって、優越感を得ます。加害者は一人の被害者のみに行うというわけではなく、弱そうな人間を見つけるとモラハラを行う傾向があると言われています。
モラハラに慣れているため、攻撃の仕方が巧妙であり、精神的に追い詰めて満足感を得ます。暴力が伴わないため立証しにくく、非常に難しいケースも多いです。
一般的には、加害者は実は臆病な人間であると言われています。強そうな人間に対しては、モラハラを仕掛けることはありません。弱そうな、攻撃できそうな人間だけを狙うとされています。ある意味で確信犯と言えるでしょう。
次に、パワハラの定義です。一般的に、職場内で優位性の高い者が加害者になり、低い者が被害者になります。ここで優位性とは、役職や上下関係だけでなく、専門知識、経験、人間関係、本人の性格などによる優位性も含みます。
優位性の高い者が低い者に対して、いじめや嫌がらせを行うことをパワハラと言います。具体的なパワハラは6つに分類されます。それぞれ見ていきましょう。
①精神的な攻撃
人の目のあるところで罵倒される、叱咤される、恥をかかされるなどの攻撃のことです。
②身体的な攻撃
蹴る、叩く、殴るなどの文字通りの攻撃のことです。雑誌で顔を叩く、頭を叩くなども入ります。
③人間関係からの切り離し
一人だけ孤立した席にさせられる、送別会に出席できないなどの攻撃のことです。
④過大な要求
慣れない仕事を押しつけられる、無理と分かっていることを依頼されるなどの攻撃です。
⑤過少な要求
事務なのに掃除だけやらせる、営業なのにコピー取りだけやらせるなどの攻撃のことです。
⑥個の侵害
配偶者について悪口を言われる、恋人について執拗に質問されるなどの攻撃のことです。
モラハラの特徴・パワハラの7つの特徴
モラハラの困った特徴として、異常な支配関係が長期にわたって続きやすいことがあります。被害者は加害者の支配から抜け出ることができないことが多いのです。
冷静に考えれば何かがおかしいと気づくはずですが、加害者の精神的な攻撃、操作の仕方が巧妙であったり、その状態が長期にわたると、「この状態が当たり前」と双方ともに思い込んでしまう傾向があります。
被害者はモラハラの操作を受け入れてしまい、自己批判に走る傾向があります。被害者はおおむね自立心や自尊心が低いことが多く、加害者の態度や操作に惑わされやすいです。
「被害者は駄目な人間で、加害者は唯一の理解者」という一種のファンタジックな構図ができていることも多いです。このため、被害者はずるずると加害者に支配されたままになります。
また、加害者は当たり前のことをしていると思い込んで、モラハラをしていることに気づいていないことも多いです。加害者が自分の過ちに気づいたり、自分を責めたりすることはほとんどありません。被害者が加害者の心を変えようとしても無駄なのです。
次にパワハラの特徴についてです。パワハラを行う上司の特徴はかなりはっきりしていて、あるあると言えるケースも多いようです。パワハラ上司(上司でなく専門職やその他の人間のこともあり)の特徴についてあげてみました。
①ターゲットは一人
一人だけをターゲットにして、そのターゲットにだけ違う態度をとり続ける。上司は優越感を感じているため、終わることがありません。
②ストレス解消のターゲット
公私のうっぷんを部下にぶつける上司もいます。ストレス解消のはけ口です。こちらの問題ではなく、日によっても違うため、対処が難しいです。
③解雇をにおわす
主に派遣社員など立場が弱い人間に対して行います。いつでも取り替え自由、解雇できるなどと発言するのも特徴です。
④揚げ足を取る
ターゲットとなる部下の揚げ足を常に取るタイプです。狙われており、快楽になっているケースがあります。ターゲットには非常に厳しい態度を取ります。
⑤早出出勤を強要する
30分や1時間の早出出勤を強要します。上司自身はいいかげんな出勤であることも多いです。周りでターゲットだけが早出出勤なら、立派なパワハラです。
⑥無理難題な業務を押しつける
ターゲットのみに無理な仕事を強要します。できないと人前で叱咤します。
⑦陰で噂話を流す
悪意があり、ターゲットを陥れるために陰で噂話を流します。ターゲットの前ではにこやかな事もあり、裏と表、二枚舌の典型例です。
モラハラの6つの事例・パワハラの3つの事例
モラハラの事例は小さなものから大きなものまで、雑多にあります。いくつかご紹介しましょう。職場の例がわかりやすいので、職場のケースであげてみました。
・加害者は、他の全員には気さくに話すのに、特定の人(被害者)には話かかけない。
・加害者は、特定の人(被害者)が話しかけてきたら、無視する。
・加害者は、特定の人(被害者)がちょっとなにかをするたびに、咳払いやため息をつく。
・挨拶をしても、特定の人(被害者)だけが無視される。
・加害者は、特定の人(被害者)に明らかに難しい仕事を振り分け、できないと罵倒する。
・加害者は、特定の人(被害者)から仕事の質問を受けても、常にスルーする。
見極める基本は、特定の人に悪意を持って攻撃しているかどうかです。分かりやすく言うと、攻撃される特定の人が常に決まっており、人格を攻撃され続けていたら、モラハラと言えるでしょう。
個人攻撃や、人格否定、仲間から孤立させる、神経を参らせる、などが加害者の主な手口です。
次にパワハラの事例です。職場ではいろんなことがありますよね。ご紹介するのは男性のケースですが、こんな職場は地獄にちがいありません。ちゃちな給料でこういう扱いを受けるなんて、会社って何だろう?と思ってしまいます。
日本の社会はサラリーマンの養成所と言われ、世界でも奇異な国の1つです。子供の頃からサラリーマンになるための教育を受けているのですね。現代では起業が声だかに奨励されていますが、教育が教育ですから、すぐには変えられません。職場の問題は根強いと言えそうです。
①パワハラによる不当な異動
退職勧奨が2ヶ月間続き、それを拒み続けたところ、倉庫に異動になったケース。この社員は大卒で、倉庫には大卒が配属した前例はなく、給料も半分に減給されました。
裁判では、異動は降格命令のため無効とされ、給料ももちろん無効になり、精神苦痛の慰謝料の支払い命令も下されました。
②パワハラによる精神疾患
上司から人前での叱咤、意見の相違による苦悩、理不尽な業務などが続き、適応障害の精神疾患になったケース。裁判では、精神疾患は労災認定されました。
③会社全体がパラハラ
社内でパワハラの相談をしたところ、「上司の言うことは神の意見と同じ」と相手にされず、逆に、「協調性がない」とレッテルを貼られたというケース。裁判沙汰にはしなかったようですが、転職も考えたに違いありません。
モラハラとパワハラの違い
モラハラとパラハラの違いをご存じでしょうか?一般的には、パワハラは仕事上の力関係が伴っているハラスメントで、一方、モラハラはそういう関係が伴わない精神的暴力や嫌がらせのことです。
具体的には、パワハラは部下と上司、モラハラは夫と妻、の関係になります。ただし、これはあくまでも数的に多いケースと言うだけであって、実際の相関図は非常に幅広いです。
ポイントは、仕事の上下関係が絡んでいればパワハラ、そうでなければモラハラ、と考えておけば良いでしょう。パワハラは金銭的に回避できないことが多く、モラハラは精神的に回避できず、ずるずると長続きすることが多いです。もちろん職場でのモラハラもありえます。
一般的に他人を責めるタイプは加害者になりやすく、自分を責める人間は被害者になりやすいと言われています。中間のバランスが取れて客観的な物の見方ができる人なら最低でも被害者になることはないのかもしれません。
もしくは、ずるずると支配されることもないのかも。自分を責めることだけは止めたほうが良いでしょう。
モラハラやパワハラについての口コミ
私がなんで怒ってるかわかる?クイズ、出題者は女性だと限定されがちだけど、俺が何に怒っているのかお前はわかっていないと何時間も彼氏・夫に詰め寄られたと相談を受けたことが過去何回もあるので、この手のクイズ出題者は男女問わずモラハラ加害者だと認識してほしいかなって。
— ぬえ (@yosinotennin) 2017年6月20日
学生の頃「社員は家族!アットホームな会社です!」を掲げる会社でバイトしてたんだけど、オフィス内は常に「誰のおかげで仕事できてると思ってんだ!」「そんな態度なら、お前の契約切ったっていいんだぞ!」みたいな怒号が飛び交ってて、モラハラ夫のいる家庭って感じで非常にアットホームでした。
— 深爪@重版御礼「深爪式」絶賛発売中 (@fukazume_taro) 2017年6月22日
自分の支配欲を満たすために、相手を侮辱しつづけ、相手に無力感を与えるケース。(攻撃側に、自覚が全くなく、むしろ良き助言者であると本心から思っている場合も多い)
— モラル・ハラスメント (@mayawhite222) 2017年6月16日
豊田真由子議員による秘書への暴言と暴力に、「秘書がトロかった」「秘書のヘマが原因」の声が出るとこにパワーハラスメント根絶の難しさが出るよな。トロかったりヘマだったりしても殴ったり怒鳴ったりしてはいけないのが当たり前にならんとな。「アイツなら仕方がない」視線が当人をより苦しめるわ。
— ナスカの痴情ェ (@synfunk) 2017年6月24日
モラハラやパワハラに悩んでいる人、現場を目の当たりにしたことのある人は多いようです。自分が同じような状況になっていないか、逆に加害者になってしまっていないかを振り返ってみると良いかもしれません。
モラハラやパワハラを受けても自分を責めないことが大切
・パワハラとは、職場内の地位や人間関係が優位になっている人が自分よりも下の人を精神的と心身的に参らせること
・モラハラとパワハラの6つの定義
「精神的な攻撃」「身体的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過少な要求」「個の侵害」
・モラハラとパワハラの特徴
「ターゲットが一人」「ストレス解消のターゲットになる」「解雇をにおわす」「揚げ足を取ってくる」「早出出勤を強要してくる」「無理難題な業務を押し付けてくる」「悪意を持って影で噂話を流す」
・モラハラとパワハラの事例
「特定の人に悪意を持って攻撃しているケースが多い」「被害を受けた人は精神疾患などを患っている」
・パワハラの対象→部下と上司。モラハラの対象→夫と妻
多少気になる程度ならよくあることかもしれませんが、それが続くようなら本当のハラスメントかもしれません。気のせいで済むレベルではなかったら注意が必要です。
相手の性格を変えようとしても無駄なため、労力を使うことはおすすめできません。まずは冷静になって、相手の思うつぼにハマらないことです。また、いろんな人に話してストレスを回避することも必要と言えるでしょう。気分も晴れるかもしれませんよ。
絶対にやっていけないのは自分を責めることです。なにもわざわざ加害者に荷担する必要はありません。加害者はある種の罪を犯しているんですから。
以上、モラハラ・パワハラについてのおまとめでした。