かつて就職氷河期に就活をした世代は未だに苦労しており今後再来する可能性もあるため特徴や対策を知っておくことが大切です。
今回は現在の内定率、就職氷河期世代の年齢や特徴、時系列的に最悪なパターンの末路、対策を紹介します。
この記事の目次
最近の就職状況! 有効求人倍率&内定率を紹介
どのタイミングで就職をするかは人によって違いますが、大学を卒業してから就職するパターンが多いことは事実でしょう。
ただ、大学へ行けば無条件で内定が得られるかというと、そうではありません。
その時の景気や、学生個人の努力によって、内定を得られる時期も変わってくるのです。
そこで、最近の就職状況について見ていきましょう。
有効求人倍率
2017年4月の有効求人倍率は、1.48倍(厚労省調べ)です。
リーマンショック以降、世界的な景気の悪化が懸念されてきましたが、1.48倍という数値については非常に良く、バブル期の水準を上回っています。
内定率
2018年1月17日に公開されたデータによると、2018卒の内定率は86.0%(厚生労働省及び文部科学省調べ)でした。
この数値は、前年よりも1.0%上回っていますし、とてもいい数値と言えます。
「86%ってどうなの?」と思う人もいるかもしれませんが、過去を踏まえれば十分高い数値です。
また、データが公開されたのは1月です。
したがって、大学生が卒業する3月までに、数値がもっと上がっていると思います。
就職氷河期とは?きっかけと特徴
今は政府の努力もあって景気が回復していますが、少し前は「就職氷河期」と言われる時期がありました。
分かりやすく言うと、求人倍率が下がり、内定を取るのが難しくなった時期ですね。
その始まりは、1993年~です。
では、なぜここから就職氷河期になってしまったのでしょうか。
その理由をご説明します!
きっかけはバブルの崩壊
日本では、1986年に「バブル景気」という社会現象が起きました。
資産価値が非常に上がり、景気が格段に良くなったのです。
その当時は物価も上がりましたが、裕福な暮らしを実現させた人も多かったため、当時を再現した映画も制作されたほどです。
ただ、バブルの好景気はそう長くは続かず、円高や貿易関係など諸事情が重なり、1991年に崩壊しました。
それを機に、日本は瞬く間に不景気になってしまったのです。
その後10年間は厳しい時代に…
バブルの崩壊によって悪化した景気は、そう早くは回復しませんでした。
そのため、雇用も控える企業が多くなり、就職氷河期も長く続いたのです。
そこで、1992年以降の大卒の求人倍率を見ていきましょう。
卒業年
1992年:2.41
1993年:1.91 ←バブル崩壊による影響
1994年:1.55
1995年:1.20
1996年:1.08
1997年:1.45
1998年:1.68
1999年:1.25
2000年:0.99
2001年:1.09
2002年:1.33
2003年:1.30
2004年:1.35
2005年:1.37
2006年:1.60
2007年:1.89
ご覧いただくと分かる通り、1993年に一気に数値が落ち込んでから、なかなか安定しないことが分かります。
2006年から数値がはっきり良くなりましたが、それまではヒドい状況ですね。
就職することを前提に生きていかなくてはならない中で、求人倍率が安定しないというのは非常に大きな問題です。
就職できなければ、人は生活できず路頭に迷ってしまいますからね。
就職氷河期世代の年齢&特徴とは?
今は、就職氷河期ではありません。
多くの人が企業に就職することができます。
そのため、今の好景気の中で生活している学生からすると、「当時の就職氷河期世代ってどんな人たちなんだろう」という疑問を抱くのではないでしょうか。
この章では、厳しい環境の中で内定を得ることができた就職氷河期世代の特徴をご紹介しましょう。
具体的な世代&年齢
そもそも、就職氷河期に生まれた人のことを、就職氷河期世代と言うわけではありません。
就職氷河期に就職活動をした人たちのことを言います。
したがって、1970年~1983年生まれの人たちが該当しますね。
今は2018年ですので、その人たちは35歳~48歳くらいになっています。
バブル世代よりも優秀な人が多い
バブル世代であれば、職選びに苦労することがほぼありませんでした。
面接を受ければ内定を得られる、というくらいにトントン拍子に決まるケースが多かったのです。
そのため、能力の低い人でも大企業に就職できたということです。
今考えてみるとちょっと考えられませんよね。
それに対し、就職氷河期世代の場合は、厳しい環境の中で採用試験を勝ち抜いていく必要があります。
そのため、狭き門の大企業には、必然的に能力の高い人間が集まってくるというわけです。
貯蓄重視の人が多い
バブル景気の時と違って景気が悪いですので、高い賃金を払う企業ばかりではありません。
そのため、理想の収入を得られるような環境で働けていない人は、将来のことを考えて当然貯蓄を重視しますね。
また、バブル崩壊によって衝撃を受けた人も多いですので、そういった心理的な問題も重なり、貯蓄重視の人が多いというわけです。
確かに貯蓄をすれば安心できますが、多くの人がお金を使わないと経済は良くなりません。
貯蓄傾向の人が多すぎることは、経済にとってはマイナスと言えるでしょう。
そういったことも、就職氷河期を長引かせる一つの要因になっていたのだと思います。
結婚・出産を避ける人が多い
経済的に安定していないければ、結婚には踏み切れません。
特に、夫には家族を養っていくという点で責任が伴いますので、将来性をできる限り見通した上で結婚の判断をすることになるでしょう。
ただ、あいにくの不景気により、先々の見通しが難しかったのは事実です。
したがって、結婚を先送りしていた人が多かったようです。
また、早めに結婚したとしても、経済面を踏まえ出産を避けるケースが多かったですね。
就職氷河期世代の末路とは?【時系列的に最悪パターンを紹介】
就職氷河期という環境の中でも、就職できた人はいます。
ただ、そういう人ばかりではありません。
厳しい環境ですので、希望する職につけなかった人も大勢います。そこで、そのような人たちがとった選択肢や、その後の末路について段階的にご説明しましょう。
非正規社員が多い
就職氷河期の時は、有効求人倍率も低いです。
職を一切選ばなければ当時でも就職は可能だったでしょう。
しかし、ついこの前までバルブ景気に生きていた人々の全てが「職を選べないなりに最善の対策」ができたかというと、それは考えづらいですよね。
バブル景気であれば誰でも大企業に就職できたわけですので、無理もありません。
実際に「簡単に就職できるでしょ!」と思っていた学生たちが次々と不採用をくらってしまい、途方に暮れました。
そこで、結果的に多くなったのが「非正規社員」の人々です。
正規での内定が難しい状況が続く中で、泣く泣く生活するために取った選択肢ということですね。
つまり派遣社員やアルバイトという立場で仕事をすることを選びました。
もちろん、もともと非正規を選びたかった人もいると思いますが、非正規ならではのデメリットを考えれば、正規を希望する人が昔も今も大多数ですね。
職を転々と…
非正規で仕事をしている人は、その多くが「こんなはずじゃなかった…」と思っているでしょう。
理想とする正社員で働けていないわけですから、どんどん不満が溜まっていきます。
それが頂点に達した時、「転職」という選択をするわけですね。
ただ、当時の厳しい状況の中で、非正規から正規の職に就くというのはとても難しいことです。
したがって、非正規→非正規というパターンで転職を繰り返す人も多いのです。
ただ、収入の低さや環境の悪さが変わらないのであれば、何回転職しても意味がありませんね。
それが、より深刻な状況を招くことになります。
最終的には引きこもりに…
職を変えても、ストレスを溜め続けるようであれば、そのうち仕事そのものが嫌になります。
また、鬱に近い状況にまで陥る人もいるでしょう。
そういった人々の中には、やがて仕事をしなくなり、自宅に引きこもってしまうケースもあります。
引きこもりにまでなってしまうと、ホワイトな環境を目指す以前に、社会復帰をどうすべきかについて考えなくてはなりません。
とても深刻な状況ですね。
これからの就職氷河期対策4つ!
今は就職氷河期ではありませんが、いずれまた同じような厳しい時代が来るかもしれません。
そのため、なるべく早い段階で就職対策をしておく必要があるでしょう。
そこで、この章では対策面について具体的にご説明します。
徹底的に企業を知る!
選考を受ける企業については、できる限り分析する必要があります。
就職後の取り返しのつかないミスマッチを防ぎ、面接で中途半端な回答をしないための対策でもあるのです。
「弊社の実績について考えを述べてください」と質問された時に、ろくな回答ができないようでは問題ですね。
何社も受けることになりますので、それぞれの企業についてしっかりと分析するのは大変かもしれません。
だからこそ、早め早めの対策が必要になるということですね。
筆記試験対策を着実に進める!
多くの企業では、面接の前に筆記試験を受けることを義務付けています。
筆記試験を軽視する学生もいますが、ここを乗り越えることができなければ面接にすら進めませんね。
ただ、学業最優先で活動するのが学生ですので、勉強は得意なはずです。
そのため、SPI対策や一般常識テストの対策など、できることから積極的にやることをおすすめします。
多くの企業から筆記試験選考クリアの知らせが届けば、モチベーションもアップすると思います。
シビアな状況が続く就活において、高いモチベーションを維持できることはとても重要なポイントなのです。
ヒューマンスキルを身につける!
履歴書に記載する資格など、目に見えるスキルをアピールできることは、とてもプラスです。
高度な資格をアピールできれば、それだけで採用に大きく近づくことでしょう。
ただ、資格だけあれば後はどうでもいいかというと、決してそんなことはありません。
「ヒューマンスキル」があるかどうかも、大事なポイントになります。
ヒューマンスキルとは、対人関係能力とも言い、良い人間関係を作るにあたって必要な能力のことを意味します。
職場では、良好な人間関係を作ることが非常に重要であり、それができなければビジネスパーソンとして大成することなどできません。
そのため、ある程度のヒューマンスキルがあることを面接の場において示すことが重要になりますね。
「ヒューマンスキルなんてないんだけど」と思う人もいるかもしれませんが、このスキルは後からでも身につけられます。
そのため、面接試験までに着実にスキルアップを図りましょう!
就職エージェントサービスの活用!
就職サイトに登録するのは当然ですが、就職エージェントというものも活用してみてはいかがでしょうか。
就職へ向けたサポートをしてくれる人がいれば、スムーズに内定を得られる率も上がりますね!
求人紹介はもちろんのこと、履歴書の書き方や面接対策など、色々と相談に乗ってもらえるケースも多いですので、このようなサービスを活用することも有効な手段でしょう。
「お金かかるんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、就職関連のエージェントサービスは利用が無料であることが基本ですので、その点の心配は要らないでしょう。
ただ、就職エージェントにも色々あります。
評判の高さもエージェントによって違いますので、サービス内容や口コミなどの情報を参考にした上で決めてはいかがでしょうか。
就職氷河期世代の年齢と特徴・末路・対策についてのまとめ
・就職氷河期の特徴「バブルの崩壊」「10年間は就職がしづらかった」
・就職氷河期世代の特徴と年齢
「1970年~1983年生まれ」「バブル世代よりも優秀な人が多い」「貯蓄重視の人が多い」「結婚や出産を避ける人が多い」
・就職氷河期世代の末路
「非正規社員が多い」「職を転々とする」「最終的には引きこもりになる」
・これからの就職氷河期対策
「徹底的に企業を知る」「筆記試験対策を着実に進める」「ヒューマンスキルを身につける」「就職エージェントを活用する」
今回は、就職氷河期の意味や、その世代の特徴、そして就職対策法についてご説明してきました。
就職氷河期によって正規での就職が叶わず、最終的に引きこもり状態になってしまった人は数多くいます。
とても悲惨なことですが、引きこもり支援を行う自治体もありますので、何とか再起してほしいものですね。
また、これから就職活動を控える人たちは、景気の悪化を前もって予測し、きちんと対策をしていく必要があります。
転職エージェントを使ったり、就職試験対策を綿密にやっていくことができれば、早い段階で希望の会社への内定を得ることができるでしょう。
複数の内定を得て、そこからよりマッチしたところを選べるような状況になれば、とてもいいですね!