「最近、頭皮のフケが増えたし、頭の痒みがひどくなった」と感じている人は、脂漏性皮膚炎の可能性があります。
脂漏性皮膚炎は放っておくとどんどん悪化します。また、脂漏性皮膚炎は治りにくく、さらに再発しやすいので、早めに対処しないといけません。脂漏性皮膚炎の症状や原因、治し方をまとめました。
脂漏性皮膚炎とは?
脂漏性皮膚炎とは、頭皮や耳の後ろ、耳の中、鼻、ワキの下などに起こりやすい皮膚炎のことです。
頭皮や耳の後ろなどの部位は、皮脂の分泌が活発な部位で、皮脂の分泌が過剰になった状態を脂漏と言います。この部位は、皮膚炎が起こりやすいのです。
脂漏性皮膚炎は3か月未満の乳児や思春期以降の成人に多く見られ、大人が脂漏性皮膚炎を発症すると、なかなか治りにくく、治ったように見えてもすぐにまた再発し、それを繰り返して慢性化していくことが多いです。
そのため、脂漏性皮膚炎は、早めに適切な対処をして治療しないといけないのです。
脂漏性皮膚炎の症状
脂漏性皮膚炎の症状を確認しておきましょう。症状を知っておけば、脂漏性皮膚炎を発症した時に早めに気づくことができます。
基本的な症状
まずは、基本的な症状からです。
・かゆみ
・かさつき
・かさぶたのような落屑
・脂っぽいかさぶたが皮膚にこびりつく
脂漏性皮膚炎の基本的な症状は、このようなものです。アトピー性皮膚炎などほかの皮膚炎と似たような症状が起こりますので、なかなか脂漏性皮膚炎とは気づかずに、「ただの痒み」と思って放っておくことがあります。
ただ、脂漏性皮膚炎は頭皮や耳の後ろ、耳の中、鼻、わきの下など皮脂腺が多い部位、すぐにべとつく部位にできやすいことが特徴です。
また、かゆみなどの皮膚炎の基本的な症状に加えて、脂っぽいかさぶたのようなものが皮膚にこびりついていることもありますので、そのような症状が出たら、脂漏性皮膚炎を疑ったほうが良いでしょう。
頭皮に脂漏性皮膚炎ができた時の症状
脂漏性皮膚炎は、特に頭皮に起こりやすいという特徴があります。頭皮に脂漏性皮膚炎ができると、とにかくフケが多くなります。
そのため、「最近フケが一気に増えた」と悩んでいる人は、脂漏性皮膚炎を疑ったほうが良いでしょう。特に、脂漏性皮膚炎では乾燥したフケも出ますが、べとついたやや黄色がかったフケが出ることが多いです。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の原因は、皮脂の分泌が多いところにカビが繁殖したことで起こります。「脂漏性皮膚炎」という名前からもわかるように、「脂が漏れる」くらい多いことが原因の1つです。
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多く、皮脂の分泌量が多い部分に起こりやすいです。その部分が頭皮や耳の後ろ、耳の中、鼻、わきの下などですね。
夕方になると、髪の毛がべたついたり、小鼻がてかったりすることがありますよね。これは、それだけ皮脂の分泌が活発だからなんです。
皮脂の分泌が活発だと、頭皮や皮膚に皮脂が溢れてきます。この状態だけなら、べとついたり、てかったりするだけなので、皮膚炎は起こりません。
もう1つの要因がカビです。脂漏性皮膚炎は、マラセチアというカビが関わっています。マラセチアは皮脂が大好物なんです。皮脂がたっぷりある場所で、どんどん増殖します。
そして、皮脂を酸化させるのです。皮脂が酸化すると、遊離脂肪酸という物質が作られますが、この遊離脂肪酸は皮膚に刺激を与えます。そうすると、皮膚炎が起こってしまうんですね。
これが脂漏性皮膚炎の原因です。マラセチアは皮膚の常在菌なので、不潔にしていたり、何かに感染したから脂漏性皮膚炎が起こるというわけではありません。
やはり、一番の原因は過剰な皮脂です。そこにマラセチアが加わることで、脂漏性皮膚炎を起こしてしまうのです。
脂漏性皮膚炎の9つの治し方
脂漏性皮膚炎は、しつこい皮膚炎です。放っておいても自然に治ることはあまりありません。一見治ったように見えても、またすぐに再発してしまうことが多く、いつまでたっても良くならずに、慢性化してしまうのです。
脂漏性皮膚炎が慢性化してしまったら、常にベトベトのフケが出ていて、顔や耳の後ろなどに皮膚炎が起こっていることになりますので、早めにきちんと治さなければいけません。
また、すでに慢性化している人も、今からご紹介する9つの治し方を実践すれば、少しずつ治っていくはずです。
脂っこい食事は避ける
脂漏性皮膚炎の治し方、1つ目は脂っこい食事は避けることです。脂漏性皮膚炎は、皮脂が多すぎることが原因でしたよね。それなら、脂っこい食事を止めて、あっさり系の食事にすれば良いのです。
食事から摂取する脂質の量を少なくすれば、自然に皮脂の量も減ってきます。洋食中心の食生活を送っている人は、和食中心の食事に変えるだけで、脂質の量を大幅に減らすことができます。
また、次のようなことにも注意してみましょう。
・間食は控える
・揚げ物を食べたいならノンフライヤーで
サラダはあっさりしていて健康に良いので、脂漏性皮膚炎の人におすすめですが、油たっぷりのドレッシングをかけていては、あまり脂質の量を減らせないので、ノンオイルドレッシングを選びましょう。
また、間食は控えてください。スナック菓子やクッキー、チョコレート、生クリームなどは、脂質が多いです。どうしても間食したい人は、フルーツやゼリーなどを食べるようにしましょう。
ビタミンBやビタミンCを多く摂る
脂漏性皮膚炎の治し方の2つ目は、ビタミンBやビタミンCを多めに摂取しましょう。ビタミンBやビタミンCは肌のターンオーバーを助けて、脂漏性皮膚炎の症状を早く治してくれる効果があります。
<ビタミンBを多く含む食べ物>
・肉類、レバー、しじみ、牛乳、卵、大豆など
<ビタミンCを多く含む食べ物>
・野菜や果物
脂漏性皮膚炎の症状が出ている時には、これらの食品を積極的に摂るようにしましょう。また、症状がひどい時には、サプリメントに頼るのも良いと思います。
症状がひどいと、かゆみに耐えられず、かきむしってしまって、皮膚炎がひどくなり、さらに症状が悪化するという悪循環に陥りますので、サプリメントを使って、できるだけ早く症状を軽減するようにしましょう。
刺激物は避ける
脂漏性皮膚炎の治し方の3つ目は、刺激物は避けることです。具体的には、次のようなものですね。
・カフェイン
・唐辛子
・香辛料
これらの食品・成分は、皮脂の分泌を促す効果がありますので、脂漏性皮膚炎の症状が出ている時には、避けたほうが良いのです。
皮脂の分泌量を減らすためにも、刺激物は避けるようにしてくださいね。
肌を清潔に保つ
肌を清潔に保つことも、脂漏性皮膚炎の重要な治し方の1つになります。脂漏性皮膚炎は、皮脂をマラセチアが酸化させてしまうことが原因です。
それなら、入浴時にきちんと髪の毛や肌を洗って、マラセチアを洗い流してしまいましょう。また、余計な皮脂を洗い流すこともできますね。マラセチアは常在菌なので、皮膚のマラセチアをゼロにすることはできませんが、数を少なくすれば、脂漏性皮膚炎は改善できます。
ただ、少しでもマラセチアを洗い流そうとして、ごしごしと皮膚炎が起こっている部位を洗うのはNGです。炎症が起こっている場所をごしごし洗ってしまうと、それが刺激になって、皮膚炎が悪化してしまいます。
そうならないように、低刺激性のシャンプーやボディソープ、せっけんを使って、それらを良く泡立てて、なでるように優しく洗いましょう。それだけで、マラセチアも余計な皮脂も洗い流すことができます。
もう1つ注意しなければいけないことは、いくら肌を清潔に保ちたいからといって、1日何度も入浴するのは止めることです。1日1回で十分です。
1日に何度も洗ってしまうと、必要な皮脂まで洗い流してしまうので、肌が乾燥してしまい、余計に皮脂の分泌量が多くなってしまうことがあります。
抗真菌薬配合のシャンプーを使う
脂漏性皮膚炎の治し方、5つ目は抗真菌薬配合のシャンプーを使うことです。マラセチアはカビ(真菌)です。だから、抗真菌薬が入っているシャンプーを使うと、マラセチアの増殖を抑えることができ、脂漏性皮膚炎の症状が落ち着くことがあります。
抗真菌薬配合のシャンプーはこちらのコラージュフルフルネクストです。
出典:amazon.co.jp
コラージュフルフルネクストは、抗真菌成分のミコナゾール硝酸塩が配合されています。脂漏性皮膚炎専用のシャンプーと言っても良いかもしれません。
ただ、このシャンプーは抗真菌薬が配合されているといっても、医薬品ではなく医薬部外品です。つまり、薬ではありません。
だから、人によってはあまり効果が出ないこともありますので、そこは注意が必要です。でも、しつこい脂漏性皮膚炎に悩んでいる人は、試してみる価値は十分にあると思います。
紫外線対策をする
脂漏性皮膚炎を発症している人は、紫外線対策をしましょう。特に、頭皮に脂漏性皮膚炎の症状が出ている人は、頭皮が紫外線に当たらないように、日傘や帽子などを使う必要があります。
紫外線は肌へダメージを与えます。頭皮にも当然ダメージを与えます。髪の毛は紫外線を遮ってくれるものではありません。何も紫外線対策をせずに、外にいれば、紫外線はダイレクトに頭皮にダメージを与えます。
そうすると、脂漏性皮膚炎が悪化しますし、紫外線から肌を守ろうとして、皮脂の分泌量が増えてしまいます。
そうならないためにも、紫外線対策はしっかり行いましょう。もちろん、頭皮だけでなく、脂漏性皮膚炎の症状が出ていて、さらに紫外線に当たる部位も紫外線が当たらないようにしてくださいね。
ストレスを溜めない
脂漏性皮膚炎の治し方、7つ目はストレスを溜めないことです。ストレスが溜まっていると感じている人は、今すぐストレス発散方法を見つけて実行してください。
ストレスを感じると、交感神経が優位になりますので、男性ホルモンの分泌量が増え、皮脂の分泌量が増えてしまうのです。
皮脂の分泌量を減らすためには、ストレスを解消して、男性ホルモンの分泌量を抑え、ホルモンバランスを整えなければいけません。
ストレス解消法は何でもOKです。あなたに合ったストレス解消法を見つけて、ストレスを溜め込まないようにしてください。
睡眠はしっかりとる
睡眠をしっかりとることも、脂漏性皮膚炎を治すためには大切なことです。睡眠をとって、規則正しい生活を送ることは自律神経のバランスを整えます。
また、睡眠をとると疲労回復につながりますよね。疲労の蓄積は自律神経のバランスを乱します。つまり、睡眠をとると、自律神経のバランスがしっかり整うのです。
先ほども少し触れましたが、交感神経が優位になりすぎると、皮脂の分泌量が増えますので、自律神経のバランスを整えると、皮脂の分泌量を適正に保つことができます。
そのため、脂漏性皮膚炎を治すためには、質の高い睡眠をしっかりとることが大切なのです。
・早寝早起きをする
・スマホはベッド内で使わない
・就寝前はリラックスできるような環境を整える
・就寝2時間前までには夕食を食べ終える
・就寝前に入浴して体を温めておく
このようなことに注意すると、質が高い睡眠をとれて、自律神経のバランスが整うはずです。
皮膚科を受診する
脂漏性皮膚炎の治し方、最後は皮膚科を受診することです。皮膚科を受診して、きちんと治療を受ければ、脂漏性皮膚炎は早く治ります。
皮膚科での治療方法は、主に抗真菌薬とステロイド外用薬を使います。抗真菌薬でマラセチアの増殖を抑え、ステロイド薬で皮膚の炎症を抑えます。
ただ、皮膚科での治療を始めても、しっかりと治るまでには1ヶ月以上かかります。見た目には良くなっていても、まだマラセチアが潜んでいることがあり、薬を使うのを止めると、また再発してしまうことがあります。
そのため、勝手に自己判断で治療を中断せずに、医師の指示に従って、医師がもう治療の必要はないと判断するまでは、きちんと薬を使って治療をするようにしてください。
脂漏性皮膚炎の原因や症状・治し方についてのまとめ
・脂漏性皮膚炎の症状
「皮膚の赤みやかゆみ」「かさつき」「かさぶたのような落屑」「脂っぽいかさぶたが皮膚にある」「フケが多くなる」
・脂漏性皮膚炎の原因
「皮脂の分泌が多いところにカビが繁殖した」
・脂漏性皮膚炎の治療方法
「脂っこい食事を避け、和食中心の食事に変える」「ビタミンBやビタミンCを多く摂る」「アルコールやカフェイン、香辛料などの刺激物は避ける」「肌を清潔に保つ」「抗真菌薬配合のシャンプーを使う」「紫外線対策をする」「ストレスを溜めない」「睡眠をしっかりとる」「皮膚科を受診する」
脂漏性皮膚炎の症状や原因、治し方をまとめました。脂漏性皮膚炎は、しつこい皮膚炎です。早く治すためにも、自宅でできる治し方を実践するのはもちろんですが、早めに皮膚科を受診して、きちんと治療をするようにしてください。