最近、抜け毛が多くなっていたとか、髪の毛が薄くなったと悩んでいる人は、脱毛症になっている可能性があります。
脱毛症は放っておくと、そのまま髪の毛が抜け落ちていってしまいますので、早めに対処しなければいけません。
脱毛症の種類と種類別の症状、原因、治療方法をまとめました。抜け毛・脱毛に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
脱毛症の9種類
脱毛症とは、「抜けては生える」という髪の毛のサイクルのバランスが乱れて、抜け毛が多くなったことで、髪の毛の量が少なくなってしまった状態です。
私たちの髪の毛は、生える→成長する→成長が止まる→抜けるというサイクルのバランスが保たれていますので、毛髪の量がいきなり多くなったり、いきなり少なくなったりすることは基本的にありません。
でも、脱毛症になると、そのサイクルのバランスが乱れてしまって、生えてくる髪の毛よりも抜ける髪の毛の方が多くなってしまい、結果として毛髪の量が少なくなって、脱毛症になってしまうのです。
脱毛症の種類には、主に次の9種類があります。
2.分娩後脱毛症
3.円形脱毛症
4.牽引性脱毛症
5.脂漏性脱毛症
6.粃糠性脱毛症
7.薬剤による脱毛症
8.内科疾患による脱毛症
9.精神疾患による脱毛症
脱毛症というと、円形脱毛症や壮年期以降の脱毛症(中年の薄毛)などが思い浮かぶと思いますが、脱毛症にはいろいろな種類があるのです。
脱毛症の種類別の症状や原因、治療方法をご紹介していきます。
びまん性脱毛症の症状・原因・治療方法
まずは、びまん性脱毛症の症状や原因、治療方法を説明していきます。「びまん性脱毛症」というと、ちょっと難しいイメージを持つと思いますが、壮年期以降の男性によく見られる薄毛(AGA)のことですね。
びまん性脱毛症の症状
男性のびまん性脱毛症は、特定の一部分の髪の毛が薄くなることが多いですね。生え際の髪の毛が薄くなったり、頭頂部の髪の毛が抜けてしまったり。
そして、びまん性脱毛症は男性特有の脱毛症ではありません。女性もびまん性脱毛症になってしまうのです。
女性のびまん性脱毛症は、男性のように特定の部分が薄くなるのではなく、髪の毛全体が抜けてしまい、全体的に髪の毛が薄くなるという特徴があります。全体的に少しずつ薄くなっていくため、女性のびまん性脱毛症は、なかなか自分では気づかないことが多いのです。
びまん性脱毛症の原因
びまん性脱毛症の原因は男性ホルモンの影響が大きいとされています。男性ホルモンの働きで、毛髪の生え変わるサイクルが早くなってしまい、毛包がしっかり大きくなる前に、どんどん髪の毛が抜けてしまいます。
出典:menard.co.jp
そのため、しっかりと太い元気な髪の毛が少なくなり、うぶ毛のような髪の毛が生えるようになって、次第に髪の毛が薄くなってしまうのです。
女性の場合は、更年期になると髪の毛をきれいに美しくするホルモンであるエストロゲンの分泌量が減ってしまって、男性ホルモンが優位になるために、中年以降はびまん性脱毛症になるのですが、そのほか次のようなことが原因で、びまん性脱毛症になることがあります。
・ピルの服用
・過度のダイエットや栄養不足
・間違ったヘアケア
このような原因でも、びまん性脱毛症になる可能性がありますので、注意が必要です。
びまん性脱毛症の治療方法
びまん性脱毛症かもと思ったら、まずは精神的なストレスを取り除き、栄養のバランスのとれた食事を食べるようにしましょう。
また、シャンプーは1日1回行い、毛穴の汚れをしっかり落として、優しく丁寧に洗うなど、ヘアケア方法を見直してみましょう。
それでも、脱毛症が進むようなら、早めに病院を受診しましょう。男性のびまん性脱毛症はAGA、女性のびまん性脱毛症はFAGAと呼ばれていて、内服薬等で治療をすることができます。
早めに治療をすれば、それだけ高い治療効果を得られますので、びまん性脱毛症に悩んでいる人は、思い切ってAGA(FAGA)専門のクリニックを受診してみると良いでしょう。
分娩後脱毛症の症状・原因・治療方法
分娩後脱毛症の症状や原因、治療法をご紹介します。出産後に脱毛症に悩む女性はとても多いんですよ!
分娩後脱毛症の症状
分娩後脱毛症とは、出産後に一気に抜け毛が増えてしまって、髪の毛が薄くなる脱毛症です。出産して2~3ヶ月後くらいに、一気に抜け毛が増えてしまいますが、たいていの場合は半年から1年程度で落ち着いてきます。
あまりの抜け毛の多さに、「このまま禿げてしまうのかも!?」と心配になるママも多いんです。分娩後脱毛症は、出産経験のある女性の7割が経験していると言われています。
分娩後脱毛症の原因
分娩後脱毛症の原因は、ホルモンバランスの変化です。妊娠中は妊娠を維持するために、エストロゲンの分泌量が増えています。
エストロゲンは髪の毛を成長させるホルモンですので、妊娠中は髪の生え変わりのサイクルが遅くなり、成長期がとても長くなっているんです。そのため、妊娠中は抜け毛が少なかったはずです。
それが出産後には、エストロゲンの分泌量は一気に少なくなります。そうすると、髪の毛は一気に成長を止めてしまい、休止期に入ります。休止期は2~3ヶ月続き、その後抜け落ちますので、産後2~3ヶ月すると、抜け毛が増えてしまうのです。
ホルモンバランスが落ち着いてくると、エストロゲンの分泌量が正常に戻りますので、抜け毛が減って、元の髪の毛の量に戻ってきます。
分娩後脱毛症の治療方法
分娩後脱毛症は、出産後のホルモンバランスの変化が原因ですので、出産後に無理をせずに、体を労わっていれば、自然に抜け毛は減り、髪の毛が生えてきますので、心配はいりません。
ただ、あまりにも抜け毛がひどく、地肌が見えてきそうなほど脱毛症が深刻な場合は、ホルモンバランスがひどく乱れている可能性がありますので、産婦人科の医師に相談してみてください。
円形脱毛症の症状・原因・治療方法
円形脱毛症の症状や原因、治療方法を説明していきます。脱毛症といえば、円形脱毛症を思い浮かべる人が多いと思います。「十円禿げ」ともいわれる円形脱毛症は、どのような脱毛症なのでしょうか?
円形脱毛症の症状
円形脱毛症はコインのように円形の脱毛斑ができることが特徴です。頭に1つだけできることもありますが、複数できることも珍しくありません。また、脱毛の円形の大きさも豆粒のように小さなものから、500円玉以上の大きさのものまで様々です。
重症になると、脱毛斑がどんどん大きくなり、最悪の場合は頭髪だけでなく、全身の毛が抜けてしまうこともあります。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症は毛髪の根元の部分の毛根が炎症によって破壊されることが原因で、髪の毛が抜けてしまいます。
円形脱毛症は自己免疫疾患の1つと考えられています。
自分の身体を細菌やウイルスといった外敵から守るために活躍する「リンパ球」とよばれる細胞があやまって毛包を攻撃してしまうことによって生じると考えられています。
円形脱毛症の治療方法
円形脱毛症は小さな脱毛斑が頭に1~2個できているだけなら、そのまま放っておいても、自然に治ることがほとんどです。
ただ、炎症がひどくなり、頭にたくさんの脱毛斑ができていたり、脱毛斑がどんどん大きくなっていくようであれば、炎症を止める治療が必要になりますので、ステロイドを内服したり、点滴したりします。
牽引性脱毛症の症状・原因・治療方法
牽引性脱毛症の症状や原因、治療方法について説明していきます。「牽引」とは引っ張ることですよね。この名前で、どのような脱毛症なのかピンときた人はいるでしょうか?
牽引性脱毛症の症状
牽引性脱毛症は分け目部分や生え際などが薄くなってきて、地肌が目立ってしまうという症状があります。分け目の線が太くなって、目立ってきたという人、おでこのあたりの生え際が後退してきたという女性は牽引性脱毛症かもしれません。
牽引性脱毛症の原因
牽引性脱毛症の原因は、髪の毛を引っ張ったことです。いつも同じ分け目で1つにまとめた髪型をしている人、毎日きっちりポニーテールをしている人はいませんか?
髪の毛をいつも同じ方向に引っ張った髪型をしていると、たとえその時は髪の毛が抜けなくても、毛根にダメージを与えてしまって、髪の毛が生えてこなくなってしまうのです。
牽引性脱毛症の治療方法
牽引性脱毛症の人は、まずは髪型を変えましょう。分け目を変えて、ポニーテールをやめて、毛根に負担をかけずに、毛根を休ませるようにしてください。
そして、頭皮マッサージをして、頭皮の血流を促進するようにしましょう。毛根の細胞に十分な酸素と栄養素が行き届くようになれば、また、そこから髪の毛が生えてくるようになるでしょう。
脂漏性脱毛症の症状・原因・治療方法
脂漏性脱毛症の症状や原因、治療方法を説明していきます。
脂漏性脱毛症の症状
脂漏性脱毛症とは、皮脂が毛穴を詰まらせることで、髪の毛が生えてこなくなる脱毛症のことです。脂漏性皮膚炎を併発することも多く、脱毛症になるだけでなく、頭皮にかゆみが現れることもあります。
脂漏性脱毛症の原因
脂漏性脱毛症の原因は、毛穴が皮脂で詰まってしまうことです。皮脂の分泌が過剰になってしまう原因には、次のようなものがあります。
・肌に合わないシャンプー
・シャンプー後のすすぎが足りない
・爪を立ててシャンプーをしてしまう
このような原因で、毛穴からの皮脂の分泌量が増えてしまうために、脱毛が起こることがあります。
脂漏性脱毛症の治療方法
脂漏性脱毛症の治療方法は、食生活とヘアケア方法を見直すことです。栄養のバランスの取れた食事、脂質を控えた食事を摂るようにしましょう。
そして、アミノ酸系シャンプーのような肌に優しい低刺激性のシャンプーを使って、優しく髪の毛を洗うようにしてください。もちろん、十分にすすいで下さいね。
それでも、脱毛症が治らない人や脂漏性皮膚炎を併発している人は、皮膚科を受診して、脂漏性皮膚炎を治療してください。
粃糠性脱毛症の症状・原因・治療方法
粃糠性(ひこうせい)脱毛症とは、どのような脱毛症で、どのような症状、原因、治療法があるのでしょう?
粃糠性脱毛症の症状
粃糠性脱毛症はフケが大量に出ることで、毛穴が詰まってしまい、毛根にきちんと栄養素や酸素が届かなくなるため、髪の毛が生えてこなくなります。
抜け毛が多く、髪の毛が薄くなってきた人の中で、フケの量が多いという場合は、粃糠性脱毛症かもしれません。
粃糠性脱毛症の原因
粃糠性脱毛症の原因は、フケが増えることですが、フケが異常に増えてしまう原因はシャンプーや食生活にあります。
・整髪料のつけすぎ
・整髪料やシャンプーが落ちていない
・栄養の偏り
・不規則な生活習慣
このような原因で、フケが増えて、脱毛症になってしまうのです。
粃糠性脱毛症の治療方法
粃糠性脱毛症の人は、まずは生活習慣を見直してみましょう。規則正しい生活を送り、ビタミンやミネラルをしっかり摂ることができる食事を食べてください。
またシャンプーは頭皮に刺激が少ないアミノ酸系シャンプーを使って、優しくシャンプーをしましょう。フケの量が減るまでは整髪料は控えたほうが良いと思います。
それでも、フケの量が減らず、脱毛が治らない時は、皮膚科に行って相談すると良いでしょう。
薬剤による脱毛症の症状・原因・治療方法
薬剤を服用している人は、脱毛症になることがあります。薬剤による脱毛症の症状や原因、治療方法をまとめました。
薬剤による脱毛症の症状
薬剤の副作用で髪の毛抜ける場合、少しずつ抜けるのではなく、一気にごそっと抜けてしまうことがほとんどです。また、頭の一部分だけではなく、頭髪全体が抜け落ちてしまいます。
薬剤による脱毛症の原因
薬剤による脱毛症は、抗がん剤やC型肝炎の治療薬であるインターフェロンを使って治療している時に起こりやすくなります。
抗がん剤やインターフェロンは、がん細胞などの細胞分裂が活発な細胞を標的にして、その細胞を殺すのですが、細胞分裂が活発な健康な細胞も一緒に殺してしまいます。
毛根の細胞は細胞分裂が活発ですから、抗がん剤やインターフェロンで治療をすると、毛根細胞が死んでしまって、髪の毛が抜けてしまうのです。
薬剤による脱毛症の治療方法
薬剤による脱毛症は、薬を使って治療をしている限り続きます。でも、治療を終えて、薬を使わなくなると、また自然と生えてきますので、治療が終わるまで待っていれば大丈夫です。
内科疾患による脱毛症の症状・原因・治療方法
内科疾患でも脱毛症になることがあるのです。
内科疾患による脱毛症の症状
内科疾患でも脱毛症になることがあります。内科疾患による脱毛症は、特定の一部分だけ毛髪が抜けるのではなく、頭髪全体が薄くなることが特徴です。
内科疾患による脱毛症の原因
内科疾患による脱毛症の原因疾患は、次のようなものがあります。
・糖尿病
・貧血
・肝硬変
・甲状腺機能低下症
・大手術
これらの内科疾患はエネルギーを大量に消費したり、エネルギーを産生できなくなるため、髪の毛を生やして、成長させるだけのエネルギーを毛根に回すことができなくなるため、髪の毛が抜けてしまうんですね。
内科疾患による脱毛症の治療方法
内科疾患で髪の毛が抜けて脱毛症になってしまった人は、まずは原因となる内科疾患を治しましょう。
脱毛の原因の病気が治れば、毛根に髪の毛をはやすためのエネルギーが行くようになりますので、また自然に髪の毛は生えてきます。
精神疾患による脱毛症の症状・原因・治療方法
精神疾患でも脱毛症になることがあります。精神疾患による脱毛症の症状や原因、治療方法をまとめました。
精神疾患による脱毛症の症状
精神疾患による脱毛症は、トリコチロマニアと言います。精神疾患による脱毛症は、円形脱毛症のように一部分に限定して脱毛が起こるという特徴があり、さらに手が届きやすいところに限られています。
精神疾患による脱毛症の原因
精神疾患による脱毛症(トリコチロマニア)は、自分で無意識に髪の毛を抜いてしまうことが原因です。欲求不満を感じたり、ストレスが溜まっていたり、精神的に不安定になっていると、自分で髪の毛を抜いてしまうのです。
大人よりも小学生の子供に多い脱毛症になります。
精神疾患による脱毛症の治療方法
精神疾患による脱毛症の治療は、親による心のケアが大切になります。何に欲求不満を感じているのか、なぜストレスが溜まっているのか、精神的に不安定なのはなぜなのかを考え、子供に接するようにしていきましょう。
自分で髪の毛を抜くという行為自体は、無意識にやっていることが多いので、指摘してあげることで、治ることがほとんどです。ただ、元の精神的な問題を解決しないと、またすぐに自分で髪の毛を抜いてしまったり、違う形で症状が出てきたりします。
精神科や心療内科を受診するのも良いと思います。
脱毛症の種類・症状・原因・治療法についてのまとめ
・脱毛症の種類はおおまかに分けて9種類ある
・脱毛症の症状はフケや毛穴のつまり、ホルモンバランスによるものが多い
・脱毛症の原因はシャンプーが合わない、ストレス、間違ったヘアケアが多い
・脱毛症の治療法は、食事・生活習慣の改善やヘアケアの見直しが基本
脱毛症の種類と種類別の症状・原因・治療法をまとめました。脱毛症にはいろいろな種類があり、種類によって原因や治療法が異なりますので、自分の脱毛症の種類を見極めて対処していくようにしましょう。