DVの被害を夫から受けている人は、一刻も早く夫と別れたい、離婚したいと思っているのではないでしょうか?
ただ、離婚を切り出したら、暴力がひどくなるから、怖くてなかなか離婚できないという人が実際は多いと思います。
DV夫から安全に離婚するための方法とDV相談ができる場所・機関をまとめました。少しの勇気があなたとお子さんの未来を変えます。幸せになるためにも、DV夫と離婚しましょう。
DV夫から行政があなたを守ってくれる!
夫からDVを受けている人は、離婚したい、逃げたいと思っても、怖くてできないという人が多いと思います。
離婚を切り出したら殴られるかもしれない。また、逃げたとしても追いかけてきて、捕まったら、今までよりももっとひどい暴力があるかもしれない。
そう思ったら、なかなか離婚に踏み出せないのではないでしょうか?でも、行政と法律があなたをDV夫から守ってくれます。
平成13年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」、通称「DV防止法」が制定されました。
配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、「DV防止法」と呼ばれることもあります。
だから、しかるべき準備をして、しかるべき機関に相談すれば、法律と行政があなたを守ってくれます。
具体的には、裁判所が次のような保護命令を出します。
・退去命令=住居から2ヶ月間退去させる命令
・電話等禁止命令=電話やメール、ファックスを禁止する命令
さらに、身の安全を確保するために、婦人保護施設や民間シェルターもあります。だから、DV夫と安全に離婚することは可能です。
今のままひたすら夫のDVに耐えているなら、思い切って離婚に向けての一歩を踏み出してみませんか?
DV夫と安全に離婚するための8つのポイント
DV夫と安全に離婚するためには、ただ単に離婚届を夫に突きつければ良いというわけではありません。そんなことをしたら、あなたが心配しているように、DVが悪化してしまう可能性があります。
あなたやお子さんの身の安全を確保しつつ、スムーズに離婚するためのポイントを確認しておきましょう。
DVを受けている証拠を集める
安全に離婚するためには、まずはあなたがDVを受けている証拠を集めましょう。証拠があれば、離婚調停や裁判になった時に、DVの事実が認められて、あなたに有利な条件で離婚することができます。
DVの証拠になるものは、次のようなものがあります。
・暴力のあざや傷の写真
・暴言や怒鳴り声の録音データ
・DVがあったことを記録する日記
・暴言や脅迫を示すメールやLINE
・家族や友人の証言
これらのものは、あなたが夫からDVを受けていたことを示すものです。そのため、殴られたり蹴られたりしたら、たいしたことはないと思っても、病院に行って診断書をもらいましょう。
傷やあざがあったら、日付入りで写真を撮ってください。また、いつも怒鳴られたり、モラハラ発言がある時には、スマホの録音機能をONにしたり、ボイスレコーダーを忍ばせて持っておくのも良いでしょう。
また、日記を毎日書いて、具体的にどんなDVがあったのかを記録しておいたり、両親や友人にDVの相談をしておくと、離婚のときに役に立ちます。
最低限必要なお金を確保する
次に、最低限必要なお金を確保しましょう。あなた名義の通帳や印鑑、夫婦の共有財産を示すもの、保険の証書や有価証券などがあれば、どこにあるかを確認しておきます。これはいざ逃げる時に、持って出たいからです。
このような財産は一切なくても、逃げるための必要最低限のお金は用意しなければいけません。例えば、あなたの実家に逃げる時でも、実家までの交通費がないと逃げられません。
経済的なDVを受けていて、財布のひもをきっちり握られている場合は、この交通費という最低限のお金を用意することすら難しいこともあるでしょう。
でも、毎日少しずつでもへそくりとして溜めて言ったり、友人に理由を話して、お金を借りるようにして、とにかく交通費だけでも必要なお金を確保してください。
1対1では話し合いをしない
DV夫と離婚の話になった時、1対1では絶対に話し合わないようにしてください。DV夫は、基本的にあなたと離婚したくありません。なぜなら、暴力をふるう相手がいなくなってしまうからです。
DV夫にとっては、あなたは暴力をふるえば、自分の命令を聞いてくれる便利な存在です。そんな便利な存在を自分から手放そうとはしないはずです。
何かの拍子で離婚の話になったとしても、その時には核心を突いた話し合いはせずに、うまくごまかすようにしてください。
もし、1対1で具体的に離婚の話し合いを進めたら、いつDV夫が激高して、あなたに暴力をふるってくるかわかりません。
だから、1対1での話し合いは絶対に避けるようにしましょう。
情は一切捨てる
DV夫と安全に離婚するためには、DV夫への情は一切捨てて下さい。好きで結婚したのですし、一緒に暮らしていたのですから、情が湧いている人もいるでしょう。
離婚調停や裁判の最中、または離婚後にあなたに夫から連絡が入った時、情があると、無視することができず、電話に出たり、メールを返したりすることがあるかもしれません。
でも、本気で離婚して、安全・安心・穏やかな生活を送りたいなら、情は一切捨てて、離婚の話が本格的に進みだしたら、連絡を取ってはいけません。
情が湧いて、いつまでもDV夫と連絡を取っていると、ズルズル関係が続いて、離婚しても内縁状態になり、DVが再発することになるからです。DV夫に情は必要ないのです。
専門機関に相談する
DV夫と離婚するためには、必ず専門機関に相談しましょう。DVからあなたを守ってくれる専門機関に相談すれば、DV夫が追いかけてきた時にも、あなたを守ってくれますし、裁判所の保護命令も出やすくなります。
DV被害からあなたを守る専門機関はいろいろなところがあります。詳しくはこの後説明しますが、1人で離婚に向けて行動するよりも、DV被害からあなたを守るプロである専門機関を頼ったほうが、確実に安全に離婚することができるでしょう。
また、離婚後の生活の基盤を築きやすくなるというメリットもあります。
身を寄せる先を確保する
DV夫と離婚するためには、身を寄せる先を確保しましょう。DV夫から逃げた場合、あなたはどこに身を寄せますか?DV夫の行動にもよりますが、激高しながらあなたを探し回る可能性もあります。
できれば、今住んでいるところよりもできるだけ遠くに身を寄せるようにしましょう。実家でも良いですし、信頼できる友人宅でもOKです。
実家もないし、信頼できる友人もいないという時は、先ほどの専門機関に相談すれば、シェルターなどを紹介してくれます。
離婚の準備はばれてはいけない
DV夫と安全に離婚するためには、あなたが今離婚準備を始めていることを絶対にばれてはいけません。あなたが離婚したいことがばれたら、DVはさらに悪化します。また、今まで集めた証拠は全部捨てられる、もしくは削除されるでしょう。
そして、お金やスマホもすべて取り上げられ、身動きが取れない状態になってしまいます。
だから、ばれないように細心の準備を払って、離婚準備を進めましょう。これが、DV夫と離婚するためには、最も重要なことかもしれません。
勇気を出す
DV夫と安全に離婚するためのポイント、最後は勇気を出すことです。DVを受けている女性が、DV夫から逃げ出すことは、本当怖いと思います。
「周囲の人からはさっさと逃げなよ。」と言われているかもしれませんが、実際に逃げるとなると怖いですよね。
逃げたのに捕まって引き戻されたらどうしよう?また殴られるかもしれない。殺されるかもしれない。今よりも状況が悪化するかもしれない。
このように考えたら。なかなか離婚への勇気が湧いて来ないかもしれません。でも、今行動を起こさなかったら、何も変わりません。離婚もできません。ずっとあなたは夫からのDVを受け続けることになります。
それなら、勇気を出して、離婚へ一歩踏み出しましょう。平和で明るい未来が待っているはずですから。
DVから逃げるために相談できる場所・機関
DVから逃げて安全に離婚するためには、専門機関に相談するべきであると先ほど説明しました。ここでは、具体的にDV相談に乗ってくれて、場所や期間をご紹介します。
DV相談ナビ
出典:gender.go.jp
DV相談ナビは、DVに悩んでいる人がどこに相談して良いかわからないという悩みを解決するために作られた行政機関です。
発信地から最寄りの相談機関に転送される仕組みになっています。内閣府が作った行政機関ですから、安心して利用することができます。
電話番号は全国共通で0570-0-55210で、ホームページもあります。ホームページは、DV相談ナビについて | 内閣府男女共同参画局を見てください。
配偶者暴力相談支援センター
DVの相談ができる機関の1つ目は、配偶者暴力相談センターです。配偶者暴力相談センターは、配偶者からの暴力を防止し、被害者の安全を図るために、相談やカウンセリング、保護命令の情報提供や援助、一時保護などを行っている行政機関です。
各都道府県には1ヶ所以上設置されています。
婦人相談所
DVの相談ができる機関には、婦人相談所もあります。婦人相談所は、配偶者暴力相談支援センターの機能を担う施設の一つで、女性の相談・指導・一時保護などを行う施設です。
警察
警察でもDVの相談を受け付けています。身体的なDVは、夫婦間であっても傷害罪や暴行罪に当たります。
そのため、警察でもDV相談を受け付けています。警視庁や道府県県警では、「犯罪被害者の相談窓口」及び「警察総合相談電話」を用意していますし、夫からの暴力で緊急性が高い時には、最寄りの警察署や交番に逃げこともできます。
警察に相談したという事実を作っておくと、あとから有利に働く場合もあります。
弁護士
DVの相談は、弁護士にしてもOKです。弁護士は法律の専門家ですから、暴力から保護してくれるだけではなく、裁判所への保護命令の申し立て、警察への要請、離婚手続き、慰謝料や財産分与、親権や養育費の手続きなどをすべて行ってくれます。
法テラス
弁護士費用がないというケースも多いと思いますので、法テラスへ相談するのも良いと思います。
法テラスは正式名称を日本司法支援センターと言い、法的なトラブルを解決するための情報やサービスを受けられるように作られた制度です。
弁護士を紹介してくれるだけでなく、弁護士費用を立て替えてくれて、分割で返済していくような制度もありますので、経済的な余裕がない人は法テラスを使ってみてはいかがでしょうか?
民間シェルター
DVを受けている女性が逃げ込む場所、相談する場所には、民間シェルターもあります。民間シェルターはNPO法人など運営している女性の一時保護施設です。
各都道府県・政令指定都市が把握している民間シェルターを運営している団体数は全国で115(平成28年11月1日現在)です。民間シェルターは被害者の安全の確保のため、所在地が非公開になっています。
民間シェルターは所在地非公開であることからもわかるように、とにかく女性の安全を第一にした施設です。
女性センター
DVを相談するのは、女性センターもあります。女性センターは都道府県や市町村が運営している女性のための総合施設で、配偶者からの暴力専門の相談窓口を設置しているところもありますし、先ほど紹介した配偶者暴力相談支援センターを併設しているところもあります。
福祉事務所
DV相談の専門機関の最後は、福祉事務所です。福祉事務所はこれから新しい生活を始めたい人のための相談窓口で、母子の保護と自立を支援するための母子生活支援施設に入所する場合もこの福祉事務所が窓口になります。
DV夫と離婚するポイントについてのまとめ
「DVを受けている証拠を集める」「最低限必要なお金を確保する」「1対1で話し合いをしない」「情は一切捨てる」「専門機関に相談する」「身を寄せる先を確保する」「離婚の準備はバレてはいけない」「勇気を出す」
DV夫と安全に離婚するための方法やDV相談窓口となる専門機関をまとめました。DV夫と離婚するためには、まずは秘密裏に離婚準備を進め、離婚への一歩を踏み出す勇気を持ちましょう。
またご紹介したDV相談の専門機関は必ずあなたの味方になってくれるはずです。DVから解放されて、自由で平和な生活を手に入れるためにも、勇気を出して一歩踏み出してみましょう。