普通の感覚では、「申し訳ない」とか「かわいそう」と思うことを、いとも簡単に冷酷に行えてしまう人たちがいます。その人たちは、「サイコパス」と呼ばれています。
サイコパスとは何か、サイコパスの定義や意味、サイコパスの特徴、診断法やチェックリスト、サイコパスの被害に遭わないための対策をまとめました。
サイコパスの定義や意味
サイコパスとは日本語では「精神病質者」と呼ばれ精神障害の1つに分類されているもので、反社会的な人格を持っているのが特徴です。
簡単に言うと、サイコパスは良心や善意、愛情を持っておらず、普通の人なら「良心の呵責」で躊躇してしまうことも、サイコパスは何の躊躇もなく行うことができるのです。
「そんな人がいるの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、確かにいるのです。『良心をもたない人たち』の著者であるマーサスタウトによると、アメリカではサイコパスは25人に1人(4%)、東アジアでは0.1%の割合でいるとしています。
サイコパスの特徴
サイコパスは良心や愛情、善意を持っていない人のことです。具体的にはどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
1.良心が欠如している
通常は「これをやったら相手に悪い」という良心の呵責を持っているものですが、サイコパスは良心を持っていませんので、何の躊躇もなく犯罪を犯すことができます。
2.他人に冷淡で、相手のことを考えない
サイコパスは、他人がどうなろうと関係ありません。「これをしたら、相手が困るな」、「あの人が損をしてしまう」ということを一切考えず、自己の利益を最優先させます。
3.日常的に平然と嘘をつく
サイコパスは嘘をつくことを躊躇しません。自分の利益のため、また相手をコントロールするためなら、嘘をつくことを厭わないのです。「息をするのと同じくらい自然に嘘をつく」、これがサイコパスの特徴です。
4.罪悪感がない
サイコパスは良心がないので、罪悪感もありません。罪悪感がないので、犯罪を犯すことが悪いと思わず、自分の利益になるなら、又は自分が楽しいと思えるなら、迷わずに犯罪を犯します。
5.自分の行動に責任を持たない
サイコパスは無責任です。相手のことを考えず、自分の都合や利益を優先しますので、遅刻や欠席は当たり前のことですし、任された仕事をやり遂げず、途中で投げ出すこともしばしばあります。
6.自尊心が強く、自己中心的
サイコパスの特徴は自尊心が強いことです。自分は常に正しいと思い込み、自分を中心に世界が回っていると思っている部分があります。そして、それを害するもの、邪魔するものは徹底的に排除しようとします。
7.口が達者で魅力的
サイコパスの厄介なところは、口が上手く、人を引き付ける魅力がある人が多いことです。口が達者ですので、言葉巧みに人をだますことができます。
また、表面上はとても魅力的で、一種のカリスマ性を持っているような人が多いので、グループ内の人気者やリーダー的な役割を果たしていることがあります。そのため、相手をコントロールして、自分の支配下に置くことができるのです。
8.自慢話をよくする
サイコパスは、自慢話をよくすることも特徴です。自尊心が強いので、「自分はこんなにすごい」という承認欲求が強いんですね。
ただ、この自慢話は、本当のことではなく、事実よりも盛っていることも少なくありません。ただ、サイコパスは口がうまいので、虚構の自慢話も現実味を持って聞こえるんです。
9.刺激を常に求めている
サイコパスは、毎日平穏な生活では満足できません。常に刺激を求めています。平凡だけど、穏やかな日々よりも、リスクが大きくても、刺激的でドキドキするような日々を求めています。
だから、刺激を求めて、自分から平穏な日々を破壊し、トラブルを巻き起こすことも多いんです。
10.人を支配下に置いて洗脳しようとする
サイコパスは、人を操ろうとします。人を支配下に置くために、洗脳していくんです。何度も言いますが、サイコパスは口が達者です。誰に習ったわけでもないのに、人を洗脳し操る術を知っています。
だから、サイコパスにとっては、人を洗脳することは難しいことではないんです。
また、洗脳しやすい人を瞬時に見分けられることも、サイコパスの特徴と言えるかもしれません。
11.衝動的に行動する
サイコパスの行動は衝動的です。熟考したのちに行動するのではなく、突発的に行動します。
考えるよりも前に行動に出るタイプが多いです。すべては行き当たりばったりですが、口のうまさと能力の高さで、物事はうまく進んでいくことが多いですね。
12.謝らない
サイコパスは、間違ったことをしても謝りません。これは、自尊心が高く、「自分が正しい、間違ったことはしていない」と信じ込んでいるからです。
だから、間違いを指摘されても、決して謝りません。口がうまいので、延々と言い訳を続け、最終的には間違いを指摘したほうを謝らせてしまうこともあります。
13.浮気&二股
サイコパスの特徴、13個目は浮気や二股を平気ですることです。サイコパスは、男性も女性も、よく言えば「性に解放的で奔放」、悪く言えば、欲求の赴くままに行動します。
だから、たとえ恋人や配偶者がいても、浮気や二股は当たり前。下手をすれば、二股どころか、三股以上もあります。そして、もちろん罪悪感はありません。
14.離婚歴が多い
サイコパスは、離婚歴が多いことも特徴ですね。離婚歴が多いからといって、必ずサイコパスであるわけではありません。
でも、3回も4回も離婚歴がある人は、サイコパスの可能性はあります。サイコパスは口がうまくて魅力的。だから、モテます。
ただ、浮気癖があるので、すぐに離婚になるんです。
15.人生の目標は持たない
サイコパスは、人生の長期的な目標を持っていません。人間は大人になれば、ある程度長期的な視野に立って、人生を真面目に考えます。
でも、サイコパスは衝動的で行き当たりばったりで生きていますので、人生の長期的な目標はないんです。
もし、「人生の目標は?」と聞かれても、「世界征服」とか「みんなを俺の前にひれ伏させること」のように非現実的な目標を当たり前のように答えます。
16.集中力が高い
サイコパスは、集中力が高いことも特徴の1つです。普段は集中力が高いようには見えないサイコパスも少なくありません。
でも、自分の興味を持っていること、やりたいことに関しては、異常なほどの集中力を発揮します。
もちろん、誰でも好きなことには集中力が高まりますが、サイコパスの場合は、その集中力の高さが異常ともいえるほどなんです。
17.結果がすべてという思考
サイコパスの特徴は、「結果がすべて」という思考回路であることです。サイコパスにとっては、結果がすべてであり、過程は問いません。
だからこそ、自分が求める結果を出すために、どんな冷酷な手段でも躊躇なく行うことができるんです。
そして、それは他人にも求めます。「頑張ったけれど、最大限努力したけれどダメだった」という場合でも、「それはやっていないのと同じ」と冷淡に切り捨てます。
18.共感力は皆無
サイコパスは、共感力はありません。「他人の感情を考え、他人に共感する。」、普通の人間なら、無意識にやっていることですが、サイコパスはこれをやらないんです。
「相手の気持ちなんてどうでも良いし、共感する必要もない。」と考えているからです。サイコパスに共感を求めても無駄です。むしろ、あなた自身が傷つくだけです。
19.犯罪歴がある
サイコパスには、犯罪歴があることが多いです。サイコパスは自分の目的のためなら、手段は問いませんから、犯罪に手を染めることを躊躇しません。
だから、子どもの頃から、補導歴があり、大人になってからも逮捕歴があるサイコパスは多いんです。
「中年になっても、犯罪歴が全くない」というサイコパスはほぼいないでしょう。もし、そんなサイコパスがいたら、それは完全犯罪を簡単にできるほどのIQの高さを持っている天才的な犯罪者と言えると思います。
20.言っていることが薄っぺらい
サイコパスの特徴、20個目は言っていることが薄っぺらいことです。サイコパスは、異常なほどに口がうまいです。
でも、実は言っていること内容は大したことがなく、薄っぺらい表面的な事であるケースが少なくありません。
別にサイコパスは学者などの専門家ではありませんので、深い知識は持っていないんです。でも、深い知識を持っているかのようにふるまい、説明することがうまいだけです。
21.他人に依存した行動をする
サイコパスは他人に依存していることが多いです。これは、精神的な依存ではありません。物理的・経済的な依存です。
うまく他人に取り入って、お金を援助してもらったり、物を貰ったりするのは、サイコパスにとっては朝飯前のことです。
22.自分をコントロールできない&しない
サイコパスは自分をコントロールすることができません。先ほど、サイコパスは衝動的に行動すると説明しましたが、衝動的に行動するので、「気づいたら人を刺していた」、「気づいたら盗んでいた」ということが多く、自分自身をコントロールできないんです。
そして、自分自身をコントロールできないからといって、コントロールできるように努力しようとするわけではなく、別に困ることはないから、コントロールしようとしないこともサイコパスの特徴ですね。
23.意外と社交的
サイコパスは、意外と社交的という特徴もあります。サイコパスは冷酷な性格をしていますが、普段から無口で冷酷であるというわけではありません。
実は、普段は社交的で人づきあいがうまく、友達も多いことが珍しくありません。だから質が悪いんです。
社交的で人当たりが良い姿に騙されて、サイコパスを信用し、被害に遭う人は多いです。
24.目に感情がない
サイコパスは目に感情がないことも少なくありません。よく「目が笑っていない」という表現がありますが、サイコパスも目が笑っていないことが多いです。
でも、目に怒りの表情がこもることもありません。目に感情がないんです。どこかぼんやりとしているような印象だったり、人形のような感情のない目をしています。
25.人とは違う表情をする
サイコパスの特徴、25個目は人とは違う表情をすることです。サイコパスは共感力がありませんから、みんなで会話をしている時に、1人だけ違う表情・違うリアクションを取ってしまうことがあります。
みんなが爆笑するような会話内容の時でも、どこかバカにしたような表情をしたり、涙なくては見られない映画を見ている時に呆れたような表情をしていたり。
人とは違う表情をする人があなたの周りにいるなら、その人はサイコパスの可能性があります。
サイコパスと反社会性パーソナリティ障害の違い
サイコパスと似たような精神疾患に反社会性パーソナリティ障害(非社会性パーソナリティ障害)があります。
反社会性パーソナリティ障害の特徴は次のようなものです。
・相手の権利や感情を無視した行動を取る
・平気で嘘をつく
・自分の利益のためなら人をだます
・衝動的に行動を起こす
・口が達者で他者を陥れる
・幼少期から問題行動を繰り返す
この特徴を見ると、サイコパスと反社会パーソナリティ障害はよく似ていることがわかりますね。ただ、サイコパスと反社会性パーソナリティ障害には大きな違いがあります。
前者では,衝動性や攻撃性などの問題行動に加え,共感性や罪悪感の欠如など,内面的な側面も重視して基準が設けられているのに対して,後者では,問題行動のみを評価対象としています。
つまり、サイコパスでは良心や善意がない、罪悪感がないということが診断基準で重要な部分を占めていますが、反社会性パーソナリティ障害は問題のある行動、反社会的な行動をするかどうかが診断基準の重要な部分を占めているということです。
ということは、反社会性パーソナリティ障害の人の中には、サイコパスも含まれているということになりますね。
サイコパスの診断法、チェックリスト
サイコパスの診断法やチェックリストをご紹介します。
医学的に用いられる診断テスト
医学的にサイコパスを診断できるテストは、犯罪心理学者ロバート・D・ヘア博士によるPCL-Rテストです。
次の20項目に0~2点でどれだけ当てはまるかを回答します。
- 1.口が達者で表面的な魅力がある
- 2.自信家で自慢話が多い
- 3.すぐに退屈して、新しい刺激を求める
- 4.平気でたくさんの嘘をつく
- 5.人を操る、操作しようとする
- 6.良心の呵責や罪悪感がない
- 7.浅薄な感情
- 8.他者に冷淡、共感しない
- 9.誰かに寄生して生活している
- 10.行動がコントロールできない
- 11.奔放な性行動
- 12.子供の頃に問題行動があった
- 13.現実的かつ長期的な目標の欠如
- 14.衝動的である
- 15.無責任な行動
- 16.自分の行動に責任が取れない
- 17.多数の結婚・離婚歴を持つ
- 18.非行に走っていた
- 19.仮釈放を取り消されたことがある
- 20.様々な犯罪歴がある
この20項目を0~2点で答えていき、30点以上はサイコパス、20点未満はサイコパスではないと診断されます。
簡単サイコパス診断
インターネット上でも有名なサイコパス診断を5つご紹介します。簡単にできますので、ゲーム感覚でやってみてくださいね。
Q1:夫の葬式に訪れた夫の同僚に一目ぼれをした未亡人は、その夜に息子を殺害しました。その理由は何でしょうか?
一般解答例:夫の同僚との恋愛に息子が邪魔だから
サイコパス解答例:息子の葬式をすれば、また同僚に会えるから
Q2:自宅マンションのベランダに出たら、男性が女性をナイフで刺しているのを目撃して、犯人の男性と目が合っってしまいました。その男性はあなたの方を指さして、一定の動きで手を動かしました。この動きは、一体どのような意味があるのでしょう?
一般解答例:「次はお前を殺す」の意味
サイコパスの解答例:あなたがいるマンションの階数と部屋の位置を確認していた
Q3:家に強盗が侵入しました。あなた武器も携帯電話も持っておらず、隠れることしかできません。あなたは家のどこに身を隠しますか?
一般解答例:物置や地下室、押し入れ(自分の身を守れる場所)
サイコパスの解答例:ドアの裏(自分に有利な状況で反撃できる)
Q4:あなたは知人を殺してしまいました。死体を捨てる時に、1人で捨てることもできるのに、別の友人に頼んで一緒に捨ててもらうことにしました。1人で捨てるのではなく、友人を巻き込んだ理由は何でしょう?
一般解答例:1人で捨てるのが面倒だったから
サイコパス解答例:秘密を共有することで、その友人をコントロールしやすくなるから
Q5:あなたは犯罪を犯して、警察に捕まりました。そこで、警察に聞かれる前から、自ら進んで自白をして、洗いざらし全部話しました。なぜ全て話したのでしょう?
一般解答例:全部話したほうが罪が軽くなるから。面倒だから。
サイコパス解答例:自分の犯した犯罪がいかにすごいかを自慢したいから
サイコパスから逃げるためには
サイコパスは犯罪を犯すことを躊躇しませんので、いつの間にかサイコパスの犯罪に巻き込まれてしまうことがあります。それを避けるためにも、サイコパスからは逃げるようにしましょう。
サイコパスの標的になりやすい人を知っておく
サイコパスの標的になりやすい性格の人がいます。
・自分に自信がない
・自分の意見を言わない
・自分よりも他人を優先する
・他人に依存する
・従順なイエスマンタイプ
このような人は、サイコパスに標的にされて、巧みな嘘などでコントロールされやすいので、「自分は標的になりやすい」と自覚しておきましょう。
また、他人を助けたい、手を差し伸べたいと思っている人、博愛精神が強いカウンセラーや教師タイプの人も、逆にその博愛精神を利用されて、いつの間にかコントロールされていることがありますので、注意が必要です。
常識が通じない人がいることを知っておく
一般の人からすると、「そんな嘘をつくわけがない」、「良心の呵責はあるはずだ」、「罪悪感に苛まれているかも」と常識的に思うことでも、サイコパスは全くそんな常識は通用しません。
常識や良心、罪悪感をサイコパスに期待してもダメですし、常識が全く通じない人がいることを知っておきましょう。「良心があるから大丈夫」は通用しないのです。
嘘つきや約束を守れない人とは距離を置く
平気でうそをつく人や約束を守れない人は、サイコパスの可能性がありますので、距離を置くようにしましょう。「嘘をつくけど、良い人だから」と思うかもしれませんが、嘘をつく時点で良い人ではありません。また、約束を守れない人も同様です。
自分の直感を信じる
サイコパスの人と接していると、「あれ?なんかこの人、変かも?」と思うことがあると思います。その時は、あなたの直感を信じて、距離を置いてください。
「変かも?」と思っても、「そんなわけないよね」とその考えを打ち消してしまうと、サイコパスから逃げるきっかけを失うことになります。
「変かも?」と思ったら、一度距離を置いて、客観的にその人を観察してみると、サイコパスかどうかが見えてくることがあります。
サイコパスについての総まとめは・・・
・東アジアでは0.1%の割合でサイコパスがいるといわれている
・サイコパスの特徴
「良心が欠如しているのが大きな特徴」「反社会性パーソナリティ障害の中の一部」
・サイコパスから逃げる方法
「標的になりやすい人を知っておく」「常識が通じない人がいることを知っておく」「嘘つきや約束を守れない人とは距離をおく」「変だと感じたら自分の直感を信じて、距離を置く」
サイコパスの定義や意味、症状、診断テスト、サイコパスから逃げる方法をまとめました。サイコパスは、私たち一般人の常識は全く通じない人たちです。
良心、愛情、善意という人間のとても大切な部分が欠けているのです。そういう人と深く付き合うと、いつの間にか犯罪に巻き込まれていたり、大きな被害をうけることになりますので、自分を守るためにも、サイコパスからは逃げるようにしましょう。