親の介護をしたくない…義務の有無&費用の負担を減らす4つの方法まとめ

親の介護、頭が痛い問題ですよね。よほど経済的にも体力的にも時間的にも余裕がある悠々自適な生活を送っているならともかく、普通の生活を営んでいる人にとっては、親の介護は今までの平凡な生活を根底から覆すような事態になりかねない問題です。

 

親の介護をしたくない人のために、介護は義務なのかどうかや介護費用の現実、費用負担を減らす方法などをまとめました。

親の介護をしたくない!介護は義務なの?

親の介護は、本当に頭が痛い問題です。たいていの場合、子育てがひと段落したら、今度は親の介護になりますので、息をつく暇もないですよね。

 

正直なところ、親の介護をしたくないという人も少なくないと思います。介護はお金も労力もかかるものですから、自ら進んで親の介護をしたいという人は少ないはずです。

 

また、弱っていく親を見たくない、認知症になった親を見ていられないという理由から、親の介護に積極的ではない人もいるでしょう。

 

親の介護は義務なのか、介護をしたくない場合はどうすべきなのかを考えていきましょう。

 

 

法律上はどうなっている?

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親の介護は義務なのかどうか。それは、民法で決められています。

 

第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

 

引用:民法

 

民法第877条では、親子・兄弟姉妹は、お互いを扶養する義務があるとしていますので、親が要介護になったら、子どもは親の介護をしなくてはいけない、つまり介護の義務があるということになります。

 

ただ、親の介護は子どもの養育とは違いますので、親の介護はあなたの今の生活を犠牲にしてまで行わなければいけないという義務はありません。

 

まずは、自分や配偶者、子どもの生活を確立し、経済的・時間的に余裕がある中で親の介護をするというのが一般的な考え方になります。

 

つまり、親の介護は義務ではあるものの、可能な範囲で介護をする必要があるということになります。

 

 

親の介護はしたくないと思っても良い

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親の介護は「可能な範囲」ではあるものの、義務になります。「義務」と言われると、荷が重いですよね。

 

可能な範囲と言っても、介護費用は掛かりますし、労力もかかりますので、今の生活を続けながら、親の介護をするのは、負担が大きくなります。場合によっては、仕事を休職する必要も出てくるでしょう。

 

また、日中はフルタイムで仕事をして、夜は介護という厳しい生活を送らなければいけないこともあると思います。

 

親の介護は、子どもにとって負担が重いものです。これは間違いありません。誰だって、親の介護を喜んでやるという人はいないのです。

 

だから、親の介護をしたくないと思っても構いません。介護をしたくないというと、周囲の人から批判されるんじゃないか?人でなしと思われるのではないか?と思うかもしれませんが、そんなの気にしないでください。

 

人前で大声で「親の介護なんてしたくない!」と宣言するのは考え物ですが、心の中で思うのは勝手です。

 

誰だって、経済的な負担・労力の負担が増えるのは嬉しいものではありませんので、介護をしたくないと思う自分を許してあげましょう。

 

介護をしたくないと思う自分を許してあげることで、精神的な負担が少しだけ小さくなります。

 

 

現実はお金と労働力のどちらを選ぶか

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「親の介護はしたくない。でも、介護は義務である。」、この相反する2つの事実とうまく折り合いをつけるためには、どうすれば良いのでしょうか?

 

さすがに、親の介護をしたくないから、全くしないで放り出すというわけにはいきません。

 

親が要介護状態なのに、それを知っていて介護をせずに放置したら、刑法第218条の保護責任者遺棄罪に問われる可能性もあります。

 

ということは、やはり親の介護は義務なのです。

 

では、親の介護をしたくない時には、どうすれば良いのでしょうか?親の介護に関しては、次の2択になると思います。

 

・介護のためのお金を出す
・労働力を提供する

 

労力を節約したい人は、介護サービスを最大限に利用するためのお金を出さなくてはいけません。逆に、お金がない人は安く済ませるために、労働力を提供するしかないのです。

 

お金と労働力、あなたにとってどちらが重要なのか?その価値観によって、親の介護のかかわり方は変わってきます。

 

 

親の介護費用、必要なお金はどのくらい?

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親の介護をやりたくない、でも義務だから最低限、お金は出さなくてはいけない。これが現実になります。

 

では、親の介護費用は一体いくらくらいになるのでしょうか?

 

少し古い調査になりますが、厚生労働省の「平成21年度厚生労働省委託調査 仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査結果について」というアンケートによると、1 ヶ月当たり平均介護費用・平均医療費用は5万7161.7円となっています。

 

つまり、介護のために毎月5万7000円は用意しておくべきということになりますね。これを全部子どもであるあなたが用意するというわけではなく、親の年金や貯金から支出して、足りない分はあなたが負担することになりますので、あなたの負担分は5万7000円よりも少なくて済むでしょう。

 

ただ、豪華な有料老人ホームに入居させたいという場合は、介護費用は当然跳ね上がりますので、注意してください。

 

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成27年度という調査によると、介護負担の一時費用は平均80万円、月額負担は平均7.9万円という調査結果も出ています。

 

介護期間の平均は約5年となっていますので、親1人につき毎月6~8万円はかかることを覚悟しておくべきと言えるのではないでしょうか?

 

 

親の介護、費用負担を減らすための4つの方法

親の介護のためのお金は、毎月6~8万円程度はかかることを覚悟して、今のうちから用意しておかなくてはいけません。

 

ただ、親の介護にかかるお金はできるだけ節約したい、費用の負担を減らしたいというのが本音ですよね。

 

親の介護費用の負担を減らすための4つの方法をご紹介します。

 

 

まずは世帯を分ける

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親の介護費用の負担を減らすためには、親と世帯を分けましょう。介護費用の負担は、世帯年収で決まります。

 

だから、親と世帯を分けると、あなたの介護費用の負担額は大幅に節約することができるのです。

 

あなたの住民票はどうなっていますか?親と同一世帯になっていないでしょうか?同じ住所に済んでいても、生計を別にすれば、世帯分離をすることができます。

 

そうすると、今までは世帯収入が親の収入(年金)+あなた家族の収入だったのに対し、世帯分離をすると、親の世帯年収は親の収入だけになりますので、グッと下がります。

 

そうすると、介護費用の負担額は大きく下がるので、費用負担を少なくすることができるんです。

 

 

高額介護サービス費の制度を使う

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次に、高額介護サービス費の制度を使いましょう。高額介護サービス費とは、高額療養費制度の介護版のサービスになります。

 

一定以上の介護費用を支払った場合、超過分が戻ってくるという制度なんです。この制度に、先ほどの世帯年収が関わってきます。

 

対象者の条件 負担限度額
現役並みの所得者がいる場合 4万4000円

 世帯の中に市区町村民税を課税されている人が

いる場合

4万4000円

 世帯の中に市区町村民税を課税されている人が

いない場合

2万4600円
生活保護の人 1万5000円

 

現役並みの所得者がいる場合は、月の介護負担費用が4万4000円を超えたら、超過分は払い戻してくれるというわけですね。

 

ここで世帯を分ける意味が出てくるのがわかると思います。もし、親の年収で市区町村民税を課税されない場合、月の負担限度額は2万4600円。世帯を分けなかったら、おそらく負担限度額は4万4000円になるでしょう。そうすると、1ヶ月で2万円も支払額が変わってくるのです。

 

そのため、介護費用を節約するなら、世帯を分けて、高額介護サービス費制度を利用するようにしましょう。

 

 

オムツ代も医療費控除の対象に

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あなたは医療費控除という制度を知っていますか?もし、親の年収が高く、世帯を分ける必要性がない場合、医療費控除で税金対策をしましょう。

 

医療費控除とは保険金などで賄える医療費以外の医療費が10万円を超えたら、所得控除を受けられる制度です。

 

受診した時に支払う医療費や医薬品(薬)の代金だけでなく、通院費も医療費控除の対象になります。更には、介護で必要になるオムツ代も医療費控除の対象になります。

 

オムツ代を医療費控除に含めるためには、医師が発行したおむつ使用証明書が必要になります。

 

親の介護をする時には、親の医療費もバカりなりませんので、医療費控除を受けられるようにしておくと良いでしょう。

 

 

高額介護合算療養費制度もある!

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医療費が高額になると、高額療養費制度で払い戻しを受けることができます。また、高額介護サービス費制度で、介護費用の払い戻しを受けることができます。

 

これらは、月単位での払い戻しになります。そして、さらに年単位で医療費と介護費を合わせた金額が一定以上を超えると、超過分の払い戻しを受けることができます。これが、高額介護合算療養費制度です。

 

これは、医療保険と介護保険の両方を使用していないと利用できない制度ですが、高額療養費制度と高額介護サービス費制度で払い戻しを受けたうえで、さらに利用できる制度ですので、介護費用を少しでも節約したい人には、ぜひ知っておいてもらいたい制度です。

 

 

親の介護の義務の有無と費用の負担を減らす方法についてのまとめ

・親の介護は民法上では、可能な範囲で介護の義務があると定められている

・心の中では、介護をしたくないと思っても良い

・親の介護は、介護のためのお金を出すか労働力を提供することのどちらか

・親の介護にかかるお金
「1ヶ月あたりの平均で5万円ほど」「老人ホームに入居させる場合は、平均年間で80万円」「1ヶ月あたり1人につき6~8万円かかる」

・親の介護や費用負担を減らす方法
「親と世帯をわけること」「高額介護サービス費の制度を使うと、負担が少なくなる」「オムツ代は、医療費控除の対象になる」「高額介護合算療養費制度を活用する」

 

親の介護をしたくない人のために、介護は義務なのか、費用はどのくらい必要なのか、介護費用の節約方法をまとめました。

 

親の介護は義務ですが、介護をしたくないという人も珍しくありませんし、介護をしたくないという気持ちは決しておかしいものではありません。

 

介護をしたくないなら、介護費用を負担する必要はありますが、介護費用の節約方法を知って、できるだけ費用負担を少なくするようにしましょう。

 

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