オワハラというハラスメントを知っていますか?オワハラは就活生に対して企業が行うハラスメントのことです。オワハラで他社の内定辞退を強要されることもあるのです。
オワハラの基礎知識やオワハラの3パターン、オワハラの事例や対策をまとめました。
オワハラとは?
オワハラとは、正式名称を「就活終われハラスメント」と言います。企業が就活生に対して、「就活を終わらせろ!」、「就活を終わらせえれば、内定を出してやる。」、「他社の内定を辞退しろ」のように就職活動を終わらせるように迫ることですね。
オワハラをすることで、優秀な学生を自分の企業に入社させようとするのです。就活生にとっては、内定は喉から手が出るほど欲しいものです。内定をもらえないと、卒業後の進路は未定になってしまいますから。
でも、内定をもらったからといって、その企業に入社しなければいけないと決まったわけではありません。ほかの企業の採用試験を受けて、もっと良い企業に内定をもらいたいと思っている人もたくさんいます。
1回きりの人生、後悔したくないですから、チャレンジを続けるためにも、自分で納得いくまで就活を続けたいと思うのは当たり前のことです。
でも、企業から受けるオワハラによって、そのチャレンジができなくなることもあるのです。
NPO法人DSSは、このような動画を出して、オワハラに対して警告を出しています。
オワハラは優秀な学生を囲い込みたい企業の思惑
オワハラという言葉が生まれたのは、2015年と言われています。2015年に、2016年新卒採用のための面接選考解禁日を「4月1日~」から「8月1日~」と経団連が変更したのです。
これは、就活の時期が早まると、学生が学業に専念できないために政府が経団連に要請して、行われました。
ただ、この8月1日から面接選考解禁というのは、法的拘束力はありませんし、経団連に加盟している大企業しか従っていません。つまり、中小企業は8月1日よりも前に面接を行っているのです。
中小企業の面接が終わり内定が出た後に、大企業の面接が始まります。中小企業は、内定を出した優秀な学生が大企業にとられてしまうのを恐れ、「内定を出すから、ここで就活を終わりなさい!」、「他社の内定はすべて辞退しなさい」とオワハラをするようになったのです。
一般的な学生は、中小企業よりも、大企業に勤めたいと思っていますよね。だから、中小企業で内定をもらっても、その後に大企業の内定がもらえれば、中小企業の内定は辞退して大企業に入社します。
そうすると、中小企業は優秀な人材をすべて大企業に持っていかれてしまい、さらに必要な新入社員の人数すら確保できなくなる可能性があるため、オワハラをするようになったのです。
オワハラを肯定するつもりは全くありませんが、中小企業は中小企業なりに苦しい部分はあるのです。
オワハラの4つのパターン
オワハラは、就活を終わらせることを学生に迫るハラスメントのことです。オワハラには、主に3つのパターンがあるとされています。どのようなオワハラパターンがあるのかを説明していきます。
交渉型オワハラ
オワハラのパターン1つ目は、交渉型オワハラです。この交渉型オワハラは、内定を出す直前に行われます。
内定が出る前に、「内定を出して上げるから、これで就活を終わらせて、うちに入社しないか?入社を約束してくれるなら、内定を出してあげるよ。」と企業が交渉してくるんです。
「就活を終わらせることを約束しないと、内定は出さない」とほのめかして、学生を囲い込もうとしているんです。
日程束縛型オワハラ
オワハラの2つ目のパターンは、日程束縛型オワハラです。これは、内定を出した後に、ほかの企業の面接を受けにくくするタイプのオワハラですね。
例えば、大企業の面接は8月1日スタートですが、内定者研修を8月1日から1週間毎日行うようにして、大企業の面接を受けられなくしたり、面接の回数を多くして、ほかの企業の面接を受けにくくしたりなどですね。
就活生の日程をその企業が独占してしまうことで、物理的に就活を終わらせるように仕向けるんです。
同情型オワハラ
同情型オワハラは内定辞退をしにくくするタイプのオワハラです。
同情型オワハラは、内定者を集めて食事会をしたり、現役社員と懇親会を開いて、あとから内定辞退をしにくい雰囲気を作ります。何となく雰囲気に流されて、内定を承諾せざるを得なくするのが、同情型オワハラですね。
脅迫型オワハラ
脅迫型オワハラは、内定を辞退しようとしたら、企業の人から怒鳴られたり、「内定を辞退するなんてどうなるかわかっているのか!」と詰め寄られたりするタイプのオワハラですね。
このように脅迫されることで、内定を承諾せざるを得なかったという学生もいるのです。
企業から受けたオワハラの事例
企業から受けたオワハラの事例をご紹介します。企業から受けたオワハラには、どんなものがあるのか、具体例を知っておくと、万が一オワハラを受けた時でも、慌てずにきちんと対処することができるはずです。
交渉型オワハラの事例
交渉型オワハラの事例には、次のようものがあります。
「うちが第一志望でないと内定を出せないよ」と言われた
「内定を出すから、ほかの採用試験は受けないでもらいたい。信頼関係が大切だから。」と最終面接で言われて、その場で決断を迫られた
「内定を承諾してくれると約束してくれるなら、今ここで内定を出すよ。でも、そうでないなら、内定は約束できない」と言われた。
日程束縛型オワハラ
日程束縛型オワハラの事例には、次のようなものがあります。
4月下旬に内定が出たのに、「ゴールデンウィーク明けには内定を承諾するか決めてほしい」と言われた
面接の回数が多く、直前にならないと面接の日時を教えてもらえなかったので、ほかの企業の面接を受けられないことがあった
大手企業の面接が始まる8月1日から内定者研修が始まり、その研修に出ないと、内定を取り消すと言われた
同情型オワハラ
同情型オワハラの事例は、次の通りです。
8月から毎週のように内定者と社員との懇親会があり、内定承諾前提で、入社後の話をしていて、ちょっと怖くなった
内定者向けの無料の飲み会やバーベキュー、花火大会などのイベントが何度も開かれて、「こんなに楽しいんだから、うちに入社してくれるよね?まさかほかの企業人入社しないよ?」と言われた
内定をもらった後に、社長に高級懐石をご馳走になり、最後に「こんなに高いものを奢ったんだから、うちに入社しなさい。」と言われた
脅迫型オワハラ
最後に、脅迫型オワハラの事例をご紹介しましょう。
内定辞退を申し出たら、それまで親切だった人事の人が突然豹変したように、「ふざけんな!今まで親切にしてやったのに、内定を辞退する気か!」と怒鳴りつけてきた
内定辞退の連絡をしたら、「もう君の大学の学生は今後一切採用しないよ。それでも内定を辞退するの?承諾しておいた方が良いと思うよ。」と脅されるように言われた
企業からオワハラを受けた時の3つの対策
企業からオワハラを受けた時には、どうすれば良いのでしょうか?オワハラに泣き寝入りをすると、もしかしたらもっと良い企業で働けるかもしれないのに、そのチャンスを棒に振ってしまうことになります。
人生を後悔しないためにも、オワハラを受けたら、正しく対処をできるように、オワハラ対策を知っておきましょう。
ハッキリと自分の意見を伝える
企業からオワハラを受けたら、ハッキリと自分の意思を伝えましょう。内定をもらってから、内定を辞退するのは悪いことではありません。
憲法では職業選択の自由を保障されています。また、民法では退職の自由を保障されています。だから、内定をもらっても、ほかの企業の面接を受けるのは全く問題ないですし、あなたの自由があります。
そして、内定を辞退する自由も保証されていますので、内定を辞退するのも、悪いことではないのです。
だから、オワハラをされて、内定を辞退する時に罵倒されたら、おどおどせずに、きちんと自分の意見・意思を伝えましょう。
また、ほかの企業の内定を辞退するように言われた時も、しっかりと自分の意見を伝えるようにしてください。
オワハラはたいてい気が弱い人を狙って行われることが多いので、ハッキリと自分の意見を伝えることで、オワハラを防ぐことができることもあります。
内定承諾を迫られたら、両親と相談したいと言い訳する
最終面接で、その場で内定承諾を迫られたら、両親と相談したいと言い訳して、時間稼ぎをしましょう。
「内定をいただけるのは、大変光栄なのですが、両親と相談した上で、最終的な決断をさせていただきたいと思っております。」と伝えれば、少し時間をもらえるはずです。
大学のキャリアセンターに相談する
オワハラを受けたと感じたら、1人で悩まずに、大学のキャリアセンターに相談するのが一番おすすめの対策です。あなたはただの大学生です。でも、相手は企業です。学生1人で太刀打ちできる相手ではありません。
だから、大学のキャリアセンターに相談するんです。最近は、大学のキャリアセンターはオワハラ対策に力を入れていますので、相談したら良いアドバイスをしてくれるはずです。
1人で悩んでいると、冷静に考えられず、きちんと対応できないこともありますので、冷静になる意味でも、大学のキャリアセンターにに相談して、どう対応すべきかをアドバイスしてもらうと良いでしょう。
オワハラについてのまとめ
・オワハラは「就活終われハラスメント」の略称
・オワハラのパターン
「交渉型オワハラ」「日程束縛型オワハラ」「同情型オワハラ」「脅迫型オワハラ」
・オワハラを受けた時の対策
「職業選択の自由や退職の自由を伝える」「両親と相談したいと言い訳をする」「大学のキャリアセンターに相談する」
他社の内定辞退を迫るオワハラの4パターンや企業から受けたオワハラの事例、対策などをまとめました。
オワハラを受けたら、その場は何とか取り繕って、まずは大学のキャリアセンターに相談することをおすすめします。学生VS企業では分が悪いので、大学の力を借りて対応するようにしましょう。
オワハラに負けると、あなたの将来の選択肢を狭めることになりますので、オワハラに屈することなく、納得するまで就活を続けられるように頑張ってください。