「産後クライシス」、この言葉を最近よく耳にするようになったと思いませんか?産後クライシスは、離婚の原因にもなるもので、夫婦が協力して解決しなければいけないものです。
産後クライシスの原因や解決法をまとめました。今現在、産後クライシスで離婚の危機に直面している人、今から出産を控えていて、産後クライシスが心配な人はぜひ参考にして下さい。
離婚の原因もなる産後クライシスとは?
「産後クライシス」という言葉を聞いたことはありますか?新聞やインターネットのニュースなどで、ここ数年よく目にするようになった言葉だと思います。
産後クライシスとは、出産後2~3年以内の間に夫婦仲が悪化することを言います。出産経験のある女性は、「あ~、わかる~。」と思うのではないでしょうか?
出産後は、それまで夫婦2人の家族だったところに、赤ちゃんが加わります。そうすると、家族内での役割や考え方に変化が生まれます。
夫婦間でこの家族内の役割や考え方にズレが生じることで、夫婦仲が悪化し、産後クライシスが起こるのです。
産後クライシスは、日本の夫婦の離婚の大きな原因の1つと言えます。
出典:mhlw.go.jp
この厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によると、死別ではなく離婚で母子世帯になった時の子供の年齢は0~2歳というケースが全体の3分の1以上を占めています。
子どもが0~2歳の時に離婚する原因はいろいろありますが、その中の1つに産後クライシスがあると考えられます。
産後クライシスは離婚の原因にもなるもので、夫婦で乗り越えなければいけないものなのです。
産後クライシスの6つの原因
離婚の原因にもなる産後クライシス。産後クライシスの原因には夫側の原因と妻側の原因があります。
また、産後クライシスは1つの原因だけで起こるものではありません。今からご紹介する原因が複雑に絡み合って起こるものになります。
夫が父親にならない
産後クライシスの1つ目は、夫が父親にならないことです。出産して赤ちゃんが生まれると、妻は母親になります。
もちろん、「妻」という役割を放棄したわけではないのですが、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をするためには、「母親」という役割を重視しないとやっていけません。
そのため、出産後は女性の役割は「母親>妻」となります。でも、男性は違うんですよね。
男性は赤ちゃんが生まれても父親にならない人がいます。男性は妊娠しないので、なかなか父性が湧いてこないんですね。生まれても、自分の子という実感が湧いてこないというケースも少なくありません。
そうすると、「父親」という役割を果たさず、育児に非協力的になりますので、妻は不満が溜まってしまって、産後クライシスが起こるのです。
夫が幼稚すぎる
夫が幼稚すぎることも、産後クライシスの原因になります。妻が母に変わってしまったことに不満を持って、「妻が女を捨ててしまった」とか「妻が自分をかまってくれない。子供のことばかりで、自分は放っておかれる」と思ってしまうんです。
これは、妻側から見れば、あまりにも幼稚に見えてしまいます。育児に協力してくれないどころか、「僕をかまってくれない」と不満を持っているんですから。
そうすると、妻は夫への愛情がどんどん減ってしまいます。そして、「夫=大きくて手がかかる息子」としか思えなくなり、離婚したほうが良いかもと思ってしまうんですね。
ホルモンバランスの変化
産後クライシスの原因の3つ目は、ホルモンバランスの変化です。妊娠・出産を経ると、ホルモンバランスは大きく変化します。
妊娠中は女性ホルモンの分泌がどんどん増えていきますが、出産で一気に女性ホルモンの分泌量は減るんです。
妻が精神的に不安定でつい夫に当たってしまう。そして、夫側はそれを受け止めることができない、またはホルモンバランスの変化によるもの理解していないと、けんかになってしまいますよね。
ワンオペ育児
産後クライシスの原因は、ワンオペ育児もあります。育児をしていると、女性はどうしても孤独になりがちです。
赤ちゃんを抱えていると、思うように外出できません。ママ友を作る機会もありません。また、赤ちゃんのことを全部一人でやっていると、自分の時間を作ることができず、育児と家事で1日が過ぎていきます。
ワンオペ育児をしていると、どうしても世界が狭くなり、育児疲れが溜まっていき、孤独を感じるようになる。そのため、イライラや不安が募り、外で自由にしている夫に不満が溜まり、夫婦仲が険悪になって産後クライシスに陥るのです。
産後の体調不良
産後の体調不良も産後クライシスの原因の1つです。個人差はありますが、産後はどうしても体調が悪くなりますよね。
3キロの赤ちゃんをお腹から出すのですから、体調が悪くなって当然です。最低でも、1ヶ月はできるだけゆっくりとしている必要があります。
でも、「ゆっくりする」なんてできない状況のママもいます。退院したら、すぐに育児はもちろん、家事もして、夫の世話もして。そうしたら、なかなか体調が回復しません。
ゆっくりできても、産後の肥立ちが悪い人もいますよね。体調が悪ければ、どうしてもイライラが募ります。そこに夫の理解がなければ、さらにイライラします。
産後の体調も産後クライシスの一因になるんですね。
将来への不安
産後クライシスの原因、最後は将来への不安です。子供が生まれると、親としての責任感を感じるようになります。
「この子をきちんと育てないといけない。」、「良い教育を受けさせなければ」、「幸せになってほしい」、このように思うのが親心ですよね。
そして、子供を育てるにはお金が必要になります。経済的な不安を感じるようになるママは多いんです。今の収入でやっていけるのか、子供きちんと育てられるのかを不安に感じて、夫と話し合いを持ちたい。
でも、夫は「たぶん大丈夫」としか言わなかったり、「何とかなるよ」とか「なるようになるよ」とか「今はそんな話したくない」とか。
きちんと話し合いをしてくれないと、妻は悶々とした気持ちが募ってイライラし、さらに夫を頼りなく思って、夫への愛情がどんどん薄れていってしまうんです。
結局のところ、産後クライシスは、ホルモンバランスとかワンオペ育児とかの要素はあるものの、妻と夫の意識の差が生み出すものと言えるのかもしれませんね。
産後クライシスの8つの解決法
産後クライシスに陥った夫婦は、そのままにしておくと離婚へ一直線になります。でも、何とか離婚は回避したいものですよね。
産後クライシスを解決して、夫と仲良くやってくための方法を8つご紹介します。
やってほしいことは口に出して伝える
産後クライシスの解決法、1つ目はやってほしいことは口に出して伝えることです。あなたは、夫にやってもらいたいことをきちんと口に出して伝えていますか?
男性は女性に比べると「察する」能力は異常に低いです。きちんと言葉で伝えないと、わかってくれないんです。
「私がこんなに大変なことをわかってくれているはず」、「言わなくてもわかるよね。夫婦だもん。」、この考えは、今すぐさっさと捨ててください。
ちなみに、「育児を手伝ってほしい」という伝え方ではNGです。もっと具体的に言わないとわかってもらえません。
「子供をお風呂に入れてほしい。」、「夕食の片づけを率先してやってほしい」、「夕食を作っている時は、スマホを置いて子供の面倒をきちんと見てほしい。」、このくらいきちんと具体的に指示しないとわからないんです。
女性からすると、「いやいや、大人だし、そこまで指示しなくてもわかるでしょ?」と思いますよね。でも、残念ながら男性はわかってくれません。
だから、やってもらいたいこと、手伝ってほしいことは具体的に明確な指示を出して、言葉で伝えるようにしましょう。
そうすれば、旦那さんも家事・育児を手伝うようになってくれるはずです。
実家を頼る
産後クライシスの解決法の2つ目は、実家を頼ることです。夫が激務の人は、いくら旦那さんが育児が大変なことに理解を示していても、心では育児を手伝いたいと思っていても、無理なこともあります。
そうすると、ワンオペ育児になり、あなたのストレスは溜まります。夫も激務で、精神的な余裕はないでしょう。これで、一気に産後クライシスの出来上がりです。そして、離婚に一直線。
そうならないためには、できるなら実家を頼りましょう。2年も3年もず~っと実家を頼っているのは問題ですが、産後1年間、チョコチョコ実家のお世話になるくらいなら、何の問題もないでしょう。
実家のご両親も、産後クライシスで離婚するくらいなら、頼ってほしいと思うはずです。
だから、遠慮せずに頼れる実家がある人は、産後落ち着くまでは実家を頼るようにしてください。
外出の機会を増やす
産後クライシスの解決法、次は外出の機会を増やすことです。あなたは、毎日外出していますか?乳児がいると、どうしても家の中に引きこもりがちになりますよね。
外で赤ちゃんが泣くと、周りに気を遣って疲れます。ベビーカーで外出すると、エレベーターを探さなくちゃいけなくて、満員だと思うように乗れなくて。
でも、家に引きこもっていると、気持ちがどんどん後ろ向きになっていきますから、可能な範囲で外出しましょう。
お子さんとちょっとお散歩に行くのも良いですし、児童館や子育て支援センターのようなところに行くのも良いでしょう。子育て支援センターは最初は知らない人ばかりで緊張するかもしれませんが、同じように乳児連れの人ばかりですし、ママ友を作るきっかけにもなります。
電車やバスでの移動も、ラッシュアワーを避けて、時間に余裕を持っておけば大丈夫です。
外に出ると、それだけでスッキリすることがありますし、ママ友を作れば、同じような悩みを抱えている人同士で、愚痴を言い合うこともできます。
そうすると、気持ちに余裕ができて、夫に対しても優しく接することができて、産後クライシスを乗り切ることができます。
一人の時間を作れるように工夫する
産後クライシスを解決する方法、次は一人の時間を作れるように工夫することです。産後は、基本的に赤ちゃんと24時間一緒に過ごしていますよね。それが母親と言われてしまえばそれまでですが、でも父親の夫は仕事とはいえ外で自由な時間を過ごしています。
それが夫への不満につながり、産後クライシスへと発展するのです。
母親だって、1人の自由な時間が欲しいですよね。だから、1人の時間を作れるように工夫しましょう。
月に1回、半日だけ、いや2時間だけでもいいから、旦那さんにお子さんを預けて、1人ゆっくりと外出するのも良いですし、お子さんと旦那さんで外出してもらって、家の中でダラダラするのも、お昼寝するのも良いでしょう。
旦那さんが無理なら、両親・義両親に預けるのも良いですし、ファミサポを利用するのも良いですよね。
「お母さんと子供は24時間一緒」、こんな時代はもう終わりました。今は「ママだって1人の時間が必要」な時代です。
だから、遠慮せずに旦那さんや預けられる人にお子さんを預けて1人の時間を作るようにしてください。
妊娠中から夫を教育しておく
産後クライシスの解決法、次は妊娠中から夫を教育しておくことです。妊娠中から、産後クライシスとは何か、なんで起こるのかを夫婦2人で勉強して、どうすれば産後クライシスが起こらずに済むのか、どうすれば良いのかを話し合っておきましょう。
そして、出産後にやってほしいこと、絶対にやってほしくないことなどをあらかじめ伝えておくと、夫も産後クライシスへの危機感を持つことができますので、深刻な産後クライシスが起こりにくくなります。
夫への過度な期待は止める
産後クライシスの解決法、6つ目は夫への過度な期待をやめることです。イクメンがもてはやされるようになったのは、ここ5~6年でしょうか?
イクメンがもてはやされるようになってから、妻の夫への期待値が大きくアップしたように思います。イクメンであることが普通になったと言えばよいのでしょうか?
イクメンは素晴らしいですし、イクメンであることが普通の世の中になってもらいたいものですが、現実はそうはいきません。
夫が完璧なイクメンであることを期待しすぎていませんか?世の中は「イクメン!」「イクメン!」と言っていますが、実際にイクメンである男性はほんの一握りです。
「外でしっかり働いてきて、ある程度お金を稼いできてくれる、育児もある程度参加してくれるのであれば、それでまぁよし」とすると、気持ちが楽になります。
「諦める」という言い方はよくありませんが、イクメンであることを求めすぎるのは必ずしも良いことではないんです。
どうしてもやってほしいこと、最低限はやってほしいことだけやってもらって、あとは外でしっかり稼いできてもらえばOK。このくらいの気持ちでいれば、そんなにイラつかなくなると思います。
だって、世の中には乳幼児がいてもギャンブル依存症になったり、アルコール依存症になったり、浮気ざんまいだったり、働かなくなったりする人もいるんです。
それを考えたら、「うちの旦那もまぁ良い方かな」と思えるようになりませんか?
ほめて伸ばす!
産後クライシスの解決方法、7つ目は褒めて伸ばすことです。男性は、叱って伸ばすのではなく、ほめて伸ばす方が良いと言われています。
あなたが「これをやって」とお願いしたことをやってもらったら、「ありがとう!本当に助かる!」とちょっと大げさなくらいにほめて感謝してください。
そうすると、夫は「やってよかったな」と思いますので、次も同じようにやってくれるはずです。
あなたも、「やってもらって当然」という気持ちでなく、感謝の気持ちを忘れずに接すれば、産後クライシスを乗り越えられるはずです。
夫婦2人の時間を作る
産後クライシスの解決方法、最後は夫婦2人の時間を作ることです。あなたの中で「子供>夫」になっていますよね。これは当たり前のことなんですが、たまには夫婦2人の時間を作って、コミュニケーションをとるようにしましょう。
子どもが寝た後のちょっとした時間に、お互いスマホを置いて、ゆっくり話すようにしても良いですし、たまには両親にお子さんを預けて、デートをしても良いでしょう。
夫婦でしっかりコミュニケーションをとっておくことで、お互いが考えていることがわかりますし、どんなことに不満を感じているのかもわかるようになります。
産後クライシスを解決するためには、夫婦でしっかりコミュニケーションをとるようにすることが大切なのです。
産後クライシスの原因・解決法についてのまとめ
・産後クライシスの原因
「夫が父親にならない」「夫が幼稚すぎる」「ホルモンバランスの変化」「ワンオペ育児」「産後の体調不良」「将来への不安」
・産後クライシスの解決法
「やってほしいことは口に出して伝える」「実家を頼る」「外出の機会を増やす」「一人の時間を作れるようにする」「妊娠中から夫を教育しておく」「夫への過度な期待は止める」「夫を褒めて伸ばす」「夫婦2人の時間を作る」
離婚につながる産後クライシスの原因と解決方法をまとめました。産後クライシスは、いろいろな原因が絡み合って起こるものですが、その根本には夫婦間の認識のずれがあります。
産後クライシスは離婚に直結しますので、ご紹介した解決方法を実践して、お互いにしっかりコミュニケーションをとって乗り切りましょう!