無事に出産を終えたら、喜びが湧いてくると共に、早く2人目が欲しいなと思う人もいるでしょう。2人目を希望する場合、気になるのはいつから生理が再開するのか、いつから妊娠してOKなのかということです。
2人目の妊娠を希望している人のために、出産後に生理が再開する時期や妊娠可能な時期、いつ頃妊娠すると良いのかなどをまとめました。
この記事の目次
出産後のホルモンバランスはどうなっているの?
出産後に生理はいつごろ再開するのかを説明する前に、まずは出産後のホルモンバランスについて説明します。
出産後は、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチンという3つのホルモンが大きく変化する時期です。
エストロゲンとプロゲステロンは、生理再開に必要なホルモンであり、プロラクチンは母乳を分泌させるホルモンです。
エストロゲンとプロゲステロンは出産後一気に激減し、プロラクチンは増加します。
出産後の生理再開はいつから?
出産後の生理再開は人によって差がありますが、母乳育児をしている人は、出産してから6ヶ月から1年後に再開する人が多く、人工ミルクで育てている人は産後2~3ヶ月で再開する人が多いようです。
なぜ、母乳育児をしている人は生理再開が遅いのでしょうか?それは、ホルモンバランスの影響です。
生理が来るためには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンがきちんと分泌される必要がありますが、プロラクチンが分泌されていると、エストロゲンとプロゲステロンはなかなか分泌されません。
なぜなら、「エストロゲンとプロゲステロンを分泌せよ!」と指令を出す部位とプロラクチンを分泌する部位は同じ下垂体だからです。
出産が終わっても、おっぱいが良く出ているうちは、この下垂体の後ろの部分から“おっぱいを出すホルモン”がたくさん出ているので、前側の妊娠と関係しているホルモンはお休みして月経がこない状態にされているのです。
つまり、下垂体は授乳している間はおっぱいを出すプロラクチンの分泌に忙しく、エストロゲンとプロゲステロンを分泌せよという指令を出す余裕がないのです。
だから、母乳育児をしている人は、生理の再開が遅めなんです。ただ、出産後の生理の再開は個人差が大きく、母乳育児をしていても、産後2ヶ月で生理が再開する人もいますし、1年半経っても生理が来ない人もいます。
出産後の妊娠可能な時期は?いつから妊娠OK?
出産後に2人目が早めに欲しいと思ったら、いつ頃から妊娠可能なのでしょうか?出産後の妊娠可能な時期について説明します。
生理が再開していなくても妊娠する!
生理が再開していないと、妊娠しないと思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。生理が再開していなくても、妊娠する可能性はあります。
たとえば、出産後の生理が再開する直前のタイミングだったら、排卵があって子宮内膜も分厚く増えてきていますので、その時に避妊せずに夫婦生活をすれば、妊娠する可能性があるんです。
特に、出産は最大のデトックスと言われていて、出産後は子宮の中が一度きれいになった状態ですので、出産後は妊娠しやすい、着床しやすいとも言われています。
出産後は生理が来ていなければ妊娠しないというわけではありませんので、出産後の夫婦生活は妊娠する可能性を考慮して、必要があればきちんと避妊をしなければいけません。
生理が再開していれば、基本的に準備OK
出産後の妊娠可能な時期の目安は、やはり生理が再開することです。生理が再開すれば、出産後に妊娠可能なくらいに回復したというサインになります。
ただ、出産後に生理が再開したばかりの頃は、まだホルモンバランスが乱れていて、生理周期が乱れたり、無排卵月経の可能性がありますので、生理が再開したからといって、すぐに妊娠できるとは限りません。
ただ無排卵性の月経であることも多く、普段の生理よりも少なかったり、長引くこともあります。
生理再開は、あくまでも妊娠可能であるという目安になります。
帝王切開は1年以上開けて
出産後に生理が再開したとしても、帝王切開で出産した人は、出産から1年以上妊娠までの期間を開けたほうが良いでしょう。
帝王切開は子宮を切開して出産しているので、自然分娩の人よりも子宮のダメージが大きく、子宮を休ませる必要があるのです。
私は、帝王切開後の方の一ヶ月後健診では、次回の妊娠まで1年以上は空けることをお勧めしています。
これは絶対に一年以内に妊娠してはいけないということではありません。
ただ、次回の妊娠が癒着胎盤になってしまったり、子宮破裂を起こしたり、という頻度が一年以内だと高くなるといわれています。
帝王切開で出産した人は、たとえ生理が再開していても、次の妊娠は出産後1年以上経ってからにしましょう。
できれば2年はあけましょう
自然分娩の人は生理が再開すれば、妊娠可能な時期になります。帝王切開の人は、次の妊娠まで最低1年はあけましょう。
でも、「どうしても今すぐに2人目が欲しい!どうしても待てない!」というのでなければ、次の妊娠は出産から2年はあけたほうが良いんです。
その理由はWHO(世界保健機関)のガイドライン「乳幼児の栄養法(Infant and young child feeding)」に記されています。
※日本語訳
・出産後6ヶ月以内に妊娠すると妊婦死亡率が高くなる
・出産後18ヶ月以内に妊娠すると、新生児死亡率・乳児死亡率、低体重出生児や胎児発育遅延、早産のリスクが高くなる
・次の妊娠は24ヶ月以上、流産の場合は6ヶ月以上あけるようにアドバイスしましょう
ママの身体のためにも、赤ちゃんの健康のためにも、次の妊娠は2年間待った方が良いでしょう。
2人目をすぐに妊娠できるとは限らない!?
出産後は生理が再開すれば、妊娠可能になります。でも、ママと赤ちゃんの健康を考えると、次の妊娠まで2年はあけたほうが良いのですが、そんなに悠長に待っていられないというケースもあります。
年齢的に次の出産を急いだ方が良いというケースもありますし、2人目不妊というケースもあるのです。
1人目はスムーズに妊娠して出産できたとしても、2人目がなかなかできなくて悩んでいるママはたくさんいるんです。
2人目不妊の原因は、年齢以外では次のようなものが考えられます。
・出産時の出血や感染症
・不妊症気味だったけど、1人目は運良く妊娠できた
・出産後のホルモンバランスの乱れが戻らない
2人目不妊があると、いくら出産から次の妊娠まで2年間あけても、なかなか妊娠できずに時間ばかりが過ぎていくことになってしまいます。
1人目がスムーズに妊娠・出産できたとしても、2人目はなかなかできないかもしれないことは覚えておきましょう。
妊娠しやすい体作りを
生理が再開しても、出産から2年間は次の妊娠を控えたほうが良いのですが、悩みどころは2人目不妊の可能性があることです。
2人目を望むなら、次の妊娠までの2年間を無駄にせず、妊娠しやすい体作りをしておきましょう。妊娠しやすい体作りとは、ホルモンバランスを整えることです。
適正体重の維持
出産後は、なかなか体重が戻らなくて悩む女性は多いですよね。なかなか体重が落ちないと言って、そのまま何もせずにいると、肥満が原因で妊娠しにくい可能性があります。
肥満になると、体重あたりの女性ホルモン量が少なくなるので、妊娠しにくくなってしまうのです。
そのため、出産後は無理のない範囲でダイエットをして、適正体重に戻すようにしましょう。
ストレスを溜めない
出産後にホルモンバランスを整えるためには、ストレスをできるだけ溜めないようにしましょう。出産後は育児と家事に追われてストレスフルな状態が続きます。
慣れない育児は大変だし、夜は授乳で3~4時間ごとに起きなければいけないので、常に睡眠不足になります。それでも、最低限の家事はしなくちゃいけないので、自分の時間なんて出産後は1時間も取れずに、ストレスが溜まるというママは多いんです。
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れて、ホルモンバランスがなかなか戻りませんから、出産後はできるだけストレスを溜めないようにしましょう。
たとえば、旦那さんやご両親の協力を得て、1週間に2時間だけでも1人で外出できるようにすると、良い気分転換になると思います。環境的に誰も預かってくれないという場合は、地域の託児所の一時預かりを利用しても良いと思いますよ。
また、疲れたら、家事は手抜きをしてOKです。1日掃除をしなくても誰も死にません。どうしても疲れたら、家事代行サービスを利用するのも良いでしょう。
育児に追われて大変だと思いますが、様々な方法で、ストレスを溜めない生活を心がけましょうね。
食生活の見直し
ホルモンバランスを整えるには、食生活を見直してみましょう。出産後は忙しいからといって、食事が適当になっていませんか?栄養のバランスが偏ると、ホルモンバランスが乱れます。
ビタミン類中心に、しっかり栄養を摂るようにしましょう。忙しくて自分の食事に気を使っている余裕がないという人は、食材宅配サービスやサプリメントなどを利用したり、週末に旦那さんに赤ちゃんを見てもらって、その間に作り置きをしておくと良いですよ。
冷え性の改善
冷え性の人は、冷え性の改善に努めましょう。冷え性の人は、血行が悪くなって卵巣機能が低下します。そうすると、産後はなかなかホルモンバランスが戻らず、ホルモンの分泌が悪くなりますので、出産後は身体を冷やさないようにすると良いでしょう。
基礎体温をつけよう
2人目の妊娠を望む人は、生理が再開したら、基礎体温をつけるようにしましょう。授乳中は夜も3~4時間ごとに起きなくてはいけないので、基礎体温が正確に測れないこともあると思います。
でも、生理再開後は基礎体温をつけるようにしておくと、ある程度排卵があるのか、無排卵月経なのかがわかります。
無排卵月経が長く続くようなら、早めに医師に相談して、必要があれば不妊治療を始めるようにしましょう。
出産後の生理再開の時期と妊娠可能な時期についてのまとめ
・出産後の生理再開は、個人差が大きいため時期はハッキリと決まってはいない
・出産後は、生理が再開していれば基本的に妊娠が可能
・帝王切開出産をした人
「1年間あける」「自然分娩の場合は2年あける」「2人目はすぐに妊娠できるとは限らない」
・生理再開後は、妊娠しやすい体づくりを行うことが大切
・妊娠しやすい体づくりの方法
「適正体重に戻す」「ストレスを溜めない」「食生活の見直し」「冷え性の改善」「基礎体温を習慣づける」
出産後の生理再開の時期と妊娠可能な時期、2人目の妊娠に適した時期、2人目妊娠までのホルモンバランスの整え方をまとめました。
出産後に生理が再開すれば、身体の機能的には妊娠可能になりますが、ママと赤ちゃんの健康と安全を考えると、出産から次の妊娠までは2年は空けたほうが良いんです。
また、出産後は生理が来ないからといって、避妊せずに夫婦生活を始めると、産後半年以内に予定外の妊娠をしてしまったということもあり得ますので、出産後の夫婦生活はきちんとした家族計画のもとに行いましょうね。