依存症というとアルコール依存症や薬物依存症が有名ですが、実はたくさんの種類があるんです。もしかしたら、あなたも何かの依存症に当てはまっているかもしれません。
依存症とはどんな状態なのか、依存症の症状や種類をまとめました。依存症について正しい知識を学びましょう。
依存症とはどんな状態?
依存症とは、ある特定の物事にのめりこみ過ぎて、日常生活に支障をきたしている状態です。のめりこんでいるのは分かっているけれど、自分では止めることができない状態が依存症なのです。「わかっているのに止められない」という状態ですね。
「日常生活に支障をきたす」とは、具体的に以下のような支障が出てきます。
・身体的な健康を損なう
・精神的な健康を損なう
・財産を失う
・社会的地位を失う
・家族を失う
依存症になると、様々な支障が出てくるため、きちんと治療をしなければいけないのです。
依存症の症状は?
依存症は「わかっているのに止められない」という状態ですが、依存症は4つの特徴が現れます。
・強迫性=やらずにはいられない、止められない
・衝動性=思いついたら、すぐに行動に移す
・反復性=何度も同じことを繰り返す、またすぐにやりたくなる
・貪欲性=それがないと、どんな手段を使ってでも手に入れようとする
この4つの特徴が現れることから、次のような症状が出てきます。
身体的な健康を損なう
依存症になると、身体的な健康を損ないます。アルコール依存症になれば、肝障害や食道静脈瘤、慢性膵炎などを起こしやすくなります。
そのほかの依存症でも、脳の萎縮や性機能の障害、がんの発症などの症状が出てくることがあります。
精神的な健康を損なう
依存症は「わかっているのに止められない」、「どんな手段を使ってでも手に入れようとする」という特徴がありますので、精神的に不安定になり、感情のコントロールができなくなります。
そのため、少しのことでイライラしたり、不安になったり、抑うつ状態になったりします。幻覚や幻聴、不眠などの症状が現れることもありますね。
また、感情のコントロールができないために、暴言・暴力が出てしまうこともあるんです。
例えば、アルコール依存症の場合、本人を心配して家族が「もう少しお酒を控えた方が良いわよ」と言っただけで、「うるせえんだよ!黙ってろ!」と殴りかかったりするんです。
財産を失う
依存症になると、なんとしてでも依存しているものを手に入れようとします。そのため、有り金全てをそれにつぎ込もうとするんです。
アルコール依存症の人は、食べるものがなくても、住むところがなくなっても、貯金残高がなくなっても、お酒を何とかして購入しようとします。
また、ギャンブル依存症の人は、借金をしてでもギャンブルにのめりこむので、今まで頑張って溜めてきた財産をすべて失ってしまうのです。そして、それでも止めることができません。
社会的地位を失う
依存症になると、社会的地位を失います。これも、アルコール依存症を例にとって考えてみましょう。
アルコール依存症の人は常にお酒を飲んで酔っ払っていますので、仕事も酔っぱらった状態でやることになります。そうすると、当然ミスを連発しますし、上司や部下からの信頼を失うことになります。そうすると、クビになることも少なくありません。
また、少しのことでイライラしたり、普段では考えられないような場面で暴言・暴力が出るので、社会的な人間関係を壊してしまい、社会的な地位を失ってしまうのです。
家族を失う
依存症になると、家族も失うことになります。
夫婦間での暴言・暴力、乱れた生活行動によって、いっしょに生活する家族が疲弊します。夫婦関係、親子関係に悪影響を及ぼします。離婚や子どもの養育放棄や虐待の原因になることも少なくありません。
依存症の患者さんを支えていくのは、とても大変なことです。特に、依存症の患者さんは自分が依存症であると認めないことが多いのです。
依存症だと自覚して、自分から「治療して克服しよう」と思っている患者さんなら、頑張って支えようと思えます。
でも、頑なに自分で依存症だと認めない場合、どんなに支えても、それは無意味になり、無駄な努力になってしまうので、家族も疲弊してして、離婚したり離れていったりするのです。
依存症の種類
依存症の種類は、大きく物質依存とプロセス依存、関係依存の3つに分けることができます。それぞれどのような依存症があるのかを見ていきましょう。
物質依存
物質依存は、ある特定の物質・物に依存するものです。
・アルコール依存症
・麻薬依存症
・ニコチン依存症
・処方薬依存症
・カフェイン依存症
・糖質依存症
■アルコール依存症
アルコール依存は、依存症の中で最も有名なものかもしれませんね。アルコール依存はアルコールを飲まないといられない病気です。
■麻薬依存症(薬物依存)
この麻薬依存は、一般的に薬物依存と言われるもので、覚せい剤や麻薬、大麻などが当てはまります。また、脱法ハーブや危険ドラッグと言われるものも、この薬物依存症に分類されます。
■ニコチン依存症
ニコチンも依存性のある物質で、依存症の原因になるものです。ニコチンはタバコに入っている物質ですから、タバコを吸っていて、禁煙したくてもなかなか禁煙できない。禁煙してもすぐに挫折するという人は、ニコチン依存症になっているのです。
■処方薬依存症
病院を受診して、医師から処方してもらう薬で依存症になる人もいます。睡眠薬や抗不安薬などを医師の指示を守らずに乱用していると、依存症になってしまうのです。
■カフェイン依存症
コーヒーを飲まないと落ち着かない、そわそわしてしまう。エナジードリンクを飲むと落ち着くという人は、カフェイン依存症かもしれません。カフェインも依存性がある成分なので、過剰な量を毎日摂取していると、依存症になるのです。
■糖質依存症
糖質や甘味にも中毒性があります。糖質や甘味のあるものを摂取すると、脳は幸福感を感じるのです。そしてその幸福感をもう一度味わいたいと思って、また糖質や甘味を欲するようになります。
それを繰り返していると、いつの間にか炭水化物がないとイライラする、甘いものが食べたくて仕方がないという状態になってしまうのです。
プロセス依存
プロセス依存とは、何らかの行動をすることに依存することで、それをせずにはいられないというものです。
それをやることでの刺激や興奮、幸福感を味わいたいという依存症なんです。
・ギャンブル依存症
・パチンコ依存症
・買い物依存症
・ネット依存症
・スマホ(携帯電話)依存症
・ゲーム依存症
・盗癖
・浮気依存症
・行為依存症
■ギャンブル依存症、パチンコ依存症
ギャンブル依存症やパチンコ依存症は、「お金を賭ける」という行為に興奮し、その興奮を味わいたいために、ギャンブルを繰り返すものです。
日本では気軽にできるギャンブルがパチンコですので、パチンコ依存症になる人が多いですが、それがエスカレートすると、裏カジノなどに出入りして、犯罪に手を染めるようになるんです。
■買い物依存症
買い物をした時の興奮を体験するために、お金に余裕があるわけではないのに、次から次へと買い物をしてしまう人です。
買い物依存症の人は、借金をしてでも買い物を続けようとします。
■ネット依存症、スマホ(携帯電話)依存症、ゲーム依存症
ネット依存症やスマホ依存症、携帯電話依存症、ゲーム依存症はこれがないと、イライラしたり、ソワソワしてしまいます。
インターネットがつながらないところに行くと、ソワソワ落ち着かなくなりますし、外出先で家にスマホを忘れたことに気づくと、そればかりが気になって、仕事や勉強が手につかず、早退することもあります。
また、ゲーム依存症は旅行に行くなど、ゲームができない環境に身を置くことで、不安になったり、落ち着かなくなったりするのです。
■盗癖
お金に困っているわけではないのに、万引きをする人がいます。あれは、盗癖の依存症なんです。ものを盗むことに快感を覚える、万引きする時のスリルや興奮が忘れられないという人は、それが欲しいわけではなく、そのスリルを味わうために万引きするんです。
■浮気依存症
浮気依存症は浮気をすることでのスリル、ドキドキ感を忘れられずに、浮気を繰り返してしまう依存症です。
■行為依存症
行為依存症は、行為をしている間は脳内からの快楽物質が分泌されるため、不安や心配を忘れられるため、行為に過度に依存してしまう状態です。
アメリカの俳優であるチャーリー・シーンやエディマーフィー、マイケル・ダグラス、プロゴルファーのタイガー・ウッズは、行為依存症であったことを告白しています。
関係依存
関係依存は、ある特定の人との関係性に依存してしまう依存症で、その関係性は歪んだものであることが多いんです。
・共依存
・恋愛依存症
・DV(ドメスティックバイオレンス)
■共依存
共依存はお互いに依存しあっている特殊な関係のことです。片方は相手を頼り、助けてもらうことで満足し、もう片方は頼られることで自分の価値を確認して、相手をコントロールすることで満足する関係性です。
共依存は、親子依存や恋人・夫婦依存、友人依存などがあります。
■恋愛依存症
恋愛依存症は恋愛せずにはいられない、誰かに愛され必要とされていないと不安になってしまう依存症です。
■DV(ドメスティックバイオレンス)
DV(ドメスティックバイオレンス)は、暴言・暴力によって相手をコントロールすることに満足する、興奮する依存症です。
依存症の治療法
依存症は自分で治すことはできません。精神科で専門的な治療を行う必要があります。精神科の中でも、依存症の治療を専門に行っているところで治療を行ったほうが良いでしょう。
もし、どこに依存症専門の精神科があるかがわからなかったら、近くの精神科を受診して紹介してもらうのも良いですし、地域の保健センター等に相談してみるのも良いでしょう。
依存症の治療は、依存しているものを断つ必要がありますので、最初は離脱症状が起こり、本人にとってはとてもつらい治療になりますが、依存症を克服するには、どうしてもそのプロセスは必要になります。
離脱症状が治まったら、カウンセリングを受けたり、自助グループに参加しながら少しずつ克服していくのです。
依存症を克服するには、本人の努力だけではどうにもならないことがあります。専門家による治療が必要なのはもちろんですが、家族や周囲のサポートも大切になります。
本人が克服しようと努力している場合は、家族もできる限り治療をサポートして、克服できる余蘊支援してあげましょう。
依存症の4つの症状と18個の総まとめは・・・
・依存症の種類
「強迫性」「衝動性」「反復性」「貪欲性」
・依存症の患者は、自分が依存症であることに気が付かない
・依存症の治療方法「精神科で専門的な治療をする」
依存症の特徴や症状、種類、治療法をまとめました。依存症はアルコール依存症や薬物依存症以外にも、様々な種類の依存症があるのです。
禁煙したいのに止められない人は、自分がニコチン依存症であることを知って、ドキッとした人も多いのではないでしょうか?
依存症は自分の努力だけでは克服できませんので、専門医療機関を受診するようにしましょう。