すぐに誰とでもセックスしてしまう、セックスしている時だけ心が休まるという人は、セックス依存症の可能性があります。セックス依存症は、精神疾患の1つですので、治療が必要になります。
セックス依存症の症状や原因、危険性、改善・治療法をまとめました。「私、セックス依存症かも?」と思っていても、誰にも相談できなくて悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
セックス依存症の症状
セックス依存症とはセックスをせずにはいられなくて、セックスをすることに依存してしまっている状態のことです。セックス依存症は性依存症とも言います。
セックス依存症は、アメリカのプロゴルファーであるタイガー・ウッズや元大統領のビル・クリントンなどの告白で、日本でも一気に認知されるようになりましたよね。
でも、まだまだ「ただのセックス好き」、「性欲が強いだけ」と思っている人が多いのも事実です。セックス依存症は病気ですので、ただの性欲が強いセックス好きとは違います。
ここでいう性依存症は、国際疾病分類(ICD-10)でいうところの性嗜好障害、アメリカの精神医学界が出している精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM-5)ではパラフィリア障害群を内包しており、近年では専門治療を必要とすべき病気として捉えられています。
セックス依存症は、精神疾患の1つと認められている病気ですので、専門的な治療が必要になるんです。
セックス依存症になると、次のような症状が現れます。
- 1. 性的な行動がやめられない(不倫、のぞき、自慰行為)
2. セックスをしている時だけ心が満たされる
3. 不特定多数の人とセックスをする
4. 性犯罪を犯してでも性的行動をしてしまう(痴漢、盗撮、レイプ)
5. 経済的に困窮しても風俗通いをやめられない
6. ポルノ収集やテレフォンセックスをやめられない
7. 性行為に関する妄想を止められない
8. 性行為に関する妄想をすると心が落ち着く
セックス依存症は、セックスをするだけでなく、性的な行動全てが含まれます。性的な行動をやめられない、性的行動をする時だけ心が満たされる、依存しているという人は、みんなセックス依存症なのです。
セックス依存症の原因
セックス依存症になるのは、性的行動をしていると、脳内にドーパミンが分泌されるため、脳が快感・快楽を覚えてます。そうすると、脳が「もっとドーパミンを!」と思うようになるため、セックスや性的行動をやめることができなくなってしまうのです。
ただ、他の依存症ではなくセックスに依存しているのは、幼少期の親からの愛情不足が原因であるとされています。
子どもの頃に親からネグレクトや性的虐待を受けていた場合、親から愛情を注がれていない、愛されていないと感じるようになります。
親から愛情を注がれなかった人は、「誰かに愛されたい」、「誰でもいいから愛されたい」、「愛されていると実感したい」と強く感じるようになりますので、一般的には愛を確かめ合う行為とされているセックスに依存していくようになるのです。
そのため、誰かとセックスしている時だけ心が満たされると感じるようになり、セックスや性的行動に依存していって、セックス依存症になってしまうのです。
また、大人になってからの強いストレスでも、セックス依存症になることがあります。
セックス依存症は、心の傷やストレスなどがあることで、それを埋めようとしたり、忘れようとすることで発症するのです。
セックス依存症になる危険性
「セックス自体は悪い行為ではないんだから、セックス依存症になったって良いじゃない!」と思うかもしれません。でも、セックス依存症は危険性が高く、身の破滅をもたらす可能性があるのです。
性病
セックス依存症の人は、性病に感染するリスクがあります。セックス依存症の人は、コンドームなどの避妊具を使わずにセックスする傾向があるとされています。
不特定多数の人と避妊具を使わずに性行為をしたら、性病に感染するリスクが高くなります。性病に感染すると、女性の場合は将来の不妊につながります。
また、何よりもHIVに感染する危険がありますね。医学の発達で、HIVに感染しても、早期に薬を服薬することで、AIDSの発症を抑えることができるようになりましたが、それでもHIVに感染していることを治すことはできません。
しかも、自分では気づかないまま、他の人に性病をうつしてしまうこともあるのです。性病は、自分が被害者になるだけではなく、加害者になる可能性もあるんですね。
望まない妊娠
セックス依存症の人は、避妊せずに性行為をすることで、望まない妊娠をすることもあります。女性にとって、望まない妊娠をした場合、中絶をするしかありません。中絶は将来的に不妊になる可能性もあるのです。
何より、この世に生まれてくるかもしれなかった新しい命を、人為的に消してしまうことになります。
「望まない妊娠は女性だけの問題だから、男には関係ない問題」と男性は思っているかもしれません。確かに、男性は中絶する時にでも体の痛みは感じません。
でも、中絶費用や慰謝料などがかかりますし、場合によっては家庭や社会的地位を壊すこともありますので、「男性だから妊娠は関係ない」というわけにはいかないのです。
不倫
セックス依存症の人は、セックスをしたいという欲求を満たすために、不倫をすることがあります。
ただ、不倫はとても危険な行為ですよね。ここ数年、日本では不倫に対してとても厳しい目が向けらるようになっています。不倫は民法上の不貞行為に当たりますので、法律に違反する行為です。
不倫をすると、配偶者から慰謝料を要求されます。また、離婚の危機も訪れます。お子さんがいる人は、子どもに会えなくなるかもしれません。社会的な制裁を受けて、退職に追い込まれたり、左遷されることもあります。
自分が独身で既婚者と不倫している場合、将来縁談があった時に、身の上を調査されて、過去に不倫していたことがばれてしまい、縁談が破談になることもあるんです。
性犯罪
セックス依存症の人は、性犯罪を犯すリスクが大きくなります。セックスをするために、買春・売春をする人もいますし、レイプをすることもあります。
また、実際にセックスするわけではなくても、のぞきや盗撮、痴漢などの犯罪を犯すこともあるのです。
セックス依存症を放っておくと、犯罪を犯してしまって、社会的地位や大切な家族、友人、仕事などを全て失ってしまうこともあるのです。
セックス依存症の改善・治療法
セックス依存症になると、性病、望まない妊娠、不倫、性犯罪などのリスクがあります。そして、セックス依存症は精神疾患の1つですから、きちんと改善・治療をする必要があるのです。
セックス依存症は病気なので、自分では改善することができませんので、精神科を受診しましょう。ただ、きちんと精神療法を行っている精神科を受診してください。
セックス依存症は認知行動療法などの精神療法で治療する必要があります。薬物療法だけでは治すことができません。
認知行動療法とは、考え方を変えることで、行動を改善していく治療法になります。セックス依存症の人は、性行為・性行動に対する考え方、異性(特に女性)に対する考え方に歪みが生じていますので、これを精神科医や臨床心理士とカウンセリングしながら、歪みに気づき、矯正していく必要があります。
歪んでいた考え方を矯正することができれば、セックスに依存することが間違っていることに気づくことができますので、症状を改善することができるのです。
また、薬物療法も補助的な意味で行うことがあります。薬物療法だけで、セックス依存症を治療することはできませんが、性欲を抑えたり、衝動性を抑えることで、セックスに依存することがなくなっていくのです。
アメリカでは、このセックス依存症が精神疾患の1つであると広く認知されていて、患者数も多いため、セックス依存症患者専門の入院治療施設があるのですが、日本ではまだほとんど入院施設はありません。
でも、セックス依存症(性依存症)を専門に治療をする精神科はありますので、そのような精神科を探すと良いでしょう。
もし、自分ではどういう精神科が良いのかわからない場合は、地域の保健所や各都道府県の精神保健福祉センターに相談してみることをおすすめします。
保健所や精神の県福祉センターなら、セックス依存症の治療をしてくれる精神科を紹介してくれますし、自助グループも紹介してくれると思います。
セックス依存症の症状と原因・危険性・改善と治療法の総まとめ
・セックス依存症の原因は、幼少期の親からの愛情不足
・セックス依存症になる危険性
「性病に感染するリスク」「望まぬ妊娠や不倫」「性犯罪」
・セックス依存症の改善と治療法
「認知行動療法」「精神療法」「薬物療法」「精神科や自助グループに相談する」
セックス依存症の症状や原因、危険性、改善・治療法をまとめました。セックス依存症は、セックスに精神的に依存してしまう状態ですが、性病や望まない妊娠、不倫、性犯罪などのリスクがありますので、専門的な治療を受けるようにしましょう。
セックス依存症は自分の身の破滅をもたらすだけでなく、家族にも迷惑をかけることがありますので、きちんと治療してくださいね。