禁煙したいけれど、何度も挫折してしまう。タバコをやめたいとは思いつつも、ついつい吸ってしまうという人は、ニコチン依存症です。
ニコチン依存症の原因や症状、禁断症状、克服法・治療法をまとめました。禁煙したい人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
ニコチン依存症とは?
ニコチン依存症とは、タバコを吸わずにはいられないという状態で、依存症の1つになります。ニコチンはタバコに含まれる物質で、高い依存性があり、身体的依存+心理的依存が起こります。
ニコチンの依存性は、非常に高く、他の薬物に比べてもトップクラスの依存性があるとされているんです。
ニコチン依存症になると、タバコを吸ってニコチンを摂取せずにはいられなくなりますので、禁煙したくても禁煙できない、タバコを吸わずにはいられなくなってしまうんです。
「ニコチン依存症」というと、大げさな印象を受けるかもしれませんが、禁煙したいのに禁煙できない、「タバコをやめようかなぁ。でもなぁ。」と思っている人は、みんなニコチン依存症なんです。
ニコチン依存症の4つの原因
ニコチン依存症の原因は、タバコを吸うことですね。これは、間違いありません。ニコチンが含まれてるタバコを吸うことで、ニコチン依存症になるんです。
ニコチン依存症になるメカニズムを説明していきます。
①脳内にニコチン受容体ができる
タバコを初めて吸うと、「おいしい」とは思いませんよね。でも、それでもタバコを吸い続けると、脳内にニコチン受容体ができてきます。
このニコチン受容体は、脳内でニコチンを受け取るための神経です。ニコチン受容体ができると、ニコチン依存症への最初の一歩を踏み出したことになります。
②ニコチン受容体からドーパミンが放出される
タバコを吸って、ニコチンを摂取すると、ニコチンはニコチン受容体と結合します。そうすると、ニコチン受容体からドーパミンが放出されるんです。
ドーパミンは快楽や報酬感を覚える神経伝達物質ですので、ドーパミンが脳内で増えると、「気持ちが良い」、「ホッとする」、「ストレスがなくなった」などの快感を感じるようになるんです。
③快感をもう一度味わいたいと思う
ニコチンはタバコを吸ってから数秒で脳内に達します。でも、脳内から消えるのも速いんです。
ニコチンは吸収が速く,体内から消失するのも速いため,常習喫煙者では喫煙後30分程度でニコチン切れ症状を生じ「次の1本」の願望を生じるようになる。
ニコチンがなくなると、快感が味わえなくなりますので、またすぐに同じ快感を味わうために、タバコが吸いたいと思うようになるんです。これで、ニコチン依存症の基礎が完成されました。
④脳がもっとニコチンを要求するようになる
脳はニコチンによるドーパミンの快楽が忘れられずに、もっとニコチンが欲しいと思うようになります。
そうすると、「朝起きてすぐにタバコを吸って、朝食を食べたらタバコを吸って、会社に着いたらタバコを吸って」と習慣的にタバコを吸うようになり、ニコチン依存症が完成するようになります。
ニコチン依存症の症状と判定方法
ニコチン依存症の症状は、ずばりタバコを吸うことを習慣化していることです。
・起床後タバコを吸う
・朝食後、タバコを吸う
・出勤して、喫煙室でタバコを吸う
・休憩中にタバコを吸う
・昼食後にタバコを吸う
・帰宅後すぐにタバコを吸う
・夕食後にタバコを吸う
・入浴後にタバコを吸う
・1本タバコを吸ってから寝る
このようにタバコを吸うのが習慣化していて、生活の一部になっている、タバコが手元にないと落ち着かない、いつものようにタバコを吸えないとソワソワするという場合は、ニコチン依存症になっていると思います。
また、ニコチン依存症かどうかは、起床後何分で喫煙するかでわかります。
5分以内…..最も強い依存症
30分以内…強い依存症
60分以内…中程度の依存症
60分以上…軽い依存症
朝起きて、まずはタバコを吸うという人は、重度のニコチン依存症になっている可能性があります。
ニコチン依存症の禁断症状
ニコチン依存症の怖いところは、禁断症状があることです。タバコをやめたいと思っても、タバコを一定時間吸わないと、禁断症状が出てきてしまって、それが辛いために、またタバコを吸ってしまうのです。
ニコチン依存症の禁断症状は、次のようなものがあります。
・抑うつ症状
・集中力の低下
・タバコを吸いたくてたまらない
・イライラする
・怒りっぽくなる
・ソワソワ落ち着かない
・眠れなくなる
・強い眠気に襲われる
・便秘
・頭痛
・倦怠感
重度のニコチン依存症の人は、2~3時間タバコを吸わないだけで、このような禁断症状が現れ始めます。
そして、禁煙後1~4日でこの禁断症状は最高潮に達します。ただ、その後は少しずつ症状は緩和されていき、禁煙後3~4週間で消えてしまいます。
つまり、ニコチン依存症の人が禁煙するなら、最初の4日間が勝負であり、それを乗り越えて、1ヶ月経てば、禁煙してニコチン依存症を克服できる可能性が高くなるということです。
ニコチン依存症の5つの克服・治療法
ニコチン依存症は、早めに克服しましょう。ニコチン依存症になると、健康への悪影響が心配になります。ニコチンはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患やがん、心筋梗塞などのリスクを上げます。
また、スモーカーズフェイスという老け顔になりますし、妊娠中の女性がタバコを吸うと、流産や早産、低出生体重児の原因にもなるんです。
さらに、自分への影響だけではなく、受動喫煙で周囲の人の健康にも悪影響を及ぼします。そのため、ニコチン依存症は自分だけでなく、大切な家族や友人にも迷惑をかけるものなんです。
ニコチンの禁断症状のピークは、禁煙してから1~4日間です。この期間を何とかやり過ごせば、禁断症状が少しずつなくなっていって、禁煙が成功しやすくなるはずです。禁断症状のピークがわかれば、頑張れますよね。
ニコチン依存症の克服法や治療法を説明していきます。いつも、禁煙に失敗してしまうという人は、ぜひ参考にしてください。
行動パターンを変える
ニコチン依存症のを克服するためには、まずは行動パターンを変えましょう。ニコチン依存症の人は、もうタバコを吸うことが日常生活内に組み込まれていると思います。
それなら、いつもと日常生活の行動パターンを変えて、タバコを吸わないような生活にすれば良いんです。
・朝起きてから最初に行動することを変える
・食事後はゆっくりしない
・お酒の席にはいかない
・ストレスを溜めない
・夜はすぐに寝る
いつもと生活パターンを変えつつ、このようなことに気を付けると、「タバコを吸いたい」と思う機会が少なくなると思います。
朝起きて、すぐにタバコを吸いたくなる人は、朝起きてすぐに歯を磨く、水を飲む、洗顔をするなど、タバコ以外のことを行って忙しく行動しましょう。
また、満腹になってからゆっくりしてしまうと、ついタバコを吸いたくなりますので、食事が終わったら、すぐに席を立って、違うことを行いましょう。
禁煙中はお酒は避けましょう。お酒とタバコはセットと思っている人は多いですよね。実際に、禁煙中にお酒を飲んだことで、タバコに手を出してしまって、禁煙に失敗し、またニコチン依存症に逆戻りという人は多いんです。
そのため、ニコチン依存症を克服したいなら、お酒の席は避けましょう。仕事でどうしても必要な飲み会ならともかく、それ以外は「もうタバコを吸いたいと思わない」、「ニコチン依存症を克服できた」と自信を持って思えない限り、お酒の席は避けたほうが良いでしょう。
また、ストレスを感じると、脳がドーパミンを求めますので、タバコを吸いたくなりますし、夜更しをしていると、つい手持無沙汰になりますので、タバコを吸いたくなってしまうんです。
そのため、できるだけストレスを感じないように注意しながら、夜はやるべきことをやったら、サッサと寝てしまいましょう!
禁煙のための環境を整える
ニコチン依存症を克服するためには、禁煙のための環境を整えましょう。禁煙することを決めたら、まずはタバコグッズを全部今すぐ捨ててください。
「これ、ちょっと良いライターなんだよね」とか「タバコケースがブランド物で」とか関係ありません。タバコグッズを持ったままだと、タバコを思い出すことがありますし、タバコが身近にあるままになりますので、禁煙を失敗する可能性があります。
そうならないためにも、思い切って全部捨ててしまいましょう。
また、家族や職場の人、友人にも禁煙中であることを宣言してください。そうすれば、飲み会を断っても、悪い印象を持たれずに済みますし、一緒にいる時にはタバコをできるだけ吸わないようにお願いすることも可能です。
そのほか、タバコが吸いたくなるような場所には近づかないようにするなど、禁煙のための環境づくりには気を遣うようにしましょう。
タバコが吸いたくなった時の代替え法を工夫する
ニコチン依存症の克服方法、3つ目はタバコが吸いたくなった時の代替え方法を工夫することです。
「タバコを吸いたい!」と思った時に、やり過ごすための方法を工夫するんです。「タバコを吸いたい!」という時に、これをやるとタバコを忘れられる、我慢できるという方法を見つけておきましょう。
・深呼吸をする
・水やお茶、炭酸水を飲む
・シャワーを浴びる
・散歩に行く
・ガムをかむ
・飴をなめる
・部屋の掃除をする
・スマホゲームに熱中する
- このようにちょっとしたことでタバコを吸いたい気持ちをごまかして、やり過ごすようにすると、禁煙を続けていくことができると思います。
市販の禁煙グッズを使う
ニコチン依存症の克服・治療法、次は市販の禁煙グッズを使うことです。禁煙グッズとして、市販のニコチンパッチやニコチンガムなどがあります。
ニコチンパッチは8週間で禁煙するためのものです。朝起きてニコチンパッチを貼って、夜の就寝前に剥がすことを8週間繰り返します。
ニコチンガムは少しずつガムの個数を減らしていって、禁煙するものです。1日20本以下の人は8週間、1日30本以下の人は10週間、31本以上の人は12週間で禁煙を目指します。
ニコチンパッチを使っての禁煙は、禁煙グッズを使わずに禁煙する時よりも、1.7倍も禁煙成功率が高いそうですので、禁煙に自信がない人は、薬局で禁煙グッズを購入してチャレンジしてみましょう!
禁煙外来を受診する
ニコチン依存症を本気で治療したい人、自分で禁煙したいけれど、いつも失敗してしまうという人は、禁煙外来を受診しましょう。
ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上など一定条件を満たせば、保険診療ができますので、治療は3割負担で済みます。
出典:kinennohi.jp
禁煙外来では初診日に禁煙を開始し、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後に診察を行い、禁煙を成功させます。
禁煙外来でしっかり5回診察を受ければ、約半数の人が禁煙成功できるのです。「たった5割?」と思うかもしれません。でも、禁煙外来を使わないと、さらに禁煙成功率は下がります。
禁煙外来で1回しか通院しなかった人の禁煙成功率はたったの6%です。それを考えると、禁煙外来はそれだけ禁煙効果が高い治療を受けることができるんです。
また、ニコチン依存症はそれだけ治療するのが難しく、ニコチンの依存性は高いのです。早く禁煙したい人は、禁煙外来を使うようにしましょう。
ニコチン依存症の原因・症状・禁断症状・克服・治療法についてのまとめ
・ニコチン依存症の原因
「脳内にニコチン受容体ができる」「ニコチン受容体からドーパミンが放出」「快感をもう一度味わいたいと思う」「脳がもっとニコチンを求めるようになる」
・ニコチン依存症の症状
「タバコが日常的に習慣化している」「起床後の本数が5分以内が最も重い」
・ニコチン依存症の禁断症状
「抑うつ」「集中力が低下」「イライラ」「怒りっぽくなる」「頭痛」「便秘」「タバコを吸いたくてたまらない」
・ニコチン依存症の克服方法と治療法
「行動パターンを変える」「禁煙のための環境を整える」「タバコが吸いたくなった時の代替え法を工夫する」「市販の禁煙グッズを使う」「禁煙外来を受診する」
ニコチン依存症の原因や症状、禁断症状、克服法・治療法をまとめました。ニコチンはとても依存性が高いものです。健康にも悪影響ですから、できるだけ早くニコチン依存症を克服するようにしましょう。
自分ではなかなか禁煙できないという人は、禁煙外来を受診すると、禁煙できる確率が高くなりますよ!