買い物をせずにはいられない、お金がなくても買い物をしてしまう人は、買い物依存症という病気の可能性があります。
買い物依存症は、身を亡ぼす可能性がある病気です。買い物依存症の特徴や原因、克服法・治し方をまとめました。
この記事の目次
買い物依存症とはどんな病気?買い物依存症の特徴は?
買い物依存症という病気を聞いたことはありますか?買い物依存症とは、買い物せずにはいられない病気です。これはアルコール依存症や薬物依存症と同じように、買い物に依存する精神疾患なのです。
買い物依存症は、浪費癖がある人とは違います。浪費癖がある人は、お金を使うのは好きですが、限度があることは知っています。借金をしてまで、浪費をしようとは思いません。
でも、買い物依存症の人は、お金がなくても買い物をしてしまうのです。そして、日常生活に支障が出ていても、買い物を止めることができません。
日常生活に支障が出ていても、買い物を止められない、お金がなくても借金してでも買い物をしてしまう状態が、買い物依存症なのです。
買い物依存症の特徴は、次のようなものです。
・別に欲しいわけでもないのに買ってしまう
・買ったとしても、使うわけではない
・買い物をするとスッキリする
・家族や友達にお金を借りても買い物をしたい
・買い物できないとイライラする
・買い物をした後に後悔する
買い物依存症の人は、家族や友人に借金してでも買い物をしようとします。また、家族と「もう買い物をしない」と約束しても、その約束を守れず、嘘をついてまで買い物をすることもあります。
そのため、家族や友人との関係が壊れてしまうことがあります。家族に見捨てられ、友人は離れていく。それでも、買い物を止められないんです。
家族や友人がいなくなったら、今度は「闇金」と言われるようなところで借金をするようになり、買い物を続けます。そして、どうにもならなくなって、自己破産に追い込まれることもあります。
買い物依存症の原因
買い物依存症の原因は、主に3つあります。
ストレス
買い物依存症の人は、買い物をするとスッキリするために、買い物をするんです。誰でも買い物をする時はワクワクしますし、幸福感を感じますよね。
買い物依存症の人は、買い物した時のワクワク感や幸福感を忘れることができず、ストレスを感じると、ストレスを発散する方法として、買い物をします。
これを繰り返していると、買い物をする目的が「必要なものを買うこと。入手すること」ではなく、「ストレスを発散するため」になっていきます。
そのため、特に必要ないものでも購入してしまいますので、借金をしてまで買ったのに、全然使わないままタンスの肥やしになっているものも少なくないのです。
幼少期の家庭環境
買い物依存症の原因は、幼少期の家庭環境も関係しています。買い物依存症の人は、「アダルトチルドレン」の人が多いとされています。
アダルトチルドレンとは親が親としての役割を果たしていない機能不全の家庭で育ったことで、大人になってからもトラウマを抱える人のことです。
アダルト・チルドレンは、機能不全家族の下で育った子どもたちです。「機能不全家族の下で育った子供は高い確率で依存症になる」という現象がはっきりと認められています。
幼少期に親からの愛情を感じなかった、親に守ってもらえなかった、虐待を受けていた、ネグレクトされていた人は、自己評価が非常に低く、愛情に飢えています。その不満を買い物という手段で満たしているのです。
買い物依存症の方の心の底には「虚しさ」「不安」「寂しさ」「孤独」「自信の無さ」等から来る「欲求不満」が潜んでいて、この満たされない不満の思いを埋める為に、買い物という手段が使われている事になります。
買い物に行くと、店員さんから「それ、お似合いですよ」とか「お客様、スタイル良いですね~」と褒められます。化粧品を買いに行くと、「肌キレイですね」とチヤホヤされますよね。
アダルトチルドレンの人は、自己評価が低く、小さい頃に親からきちんと愛情を貰えなかったので、買い物に行って、店員さんから褒められる、チヤホヤされるのは快感なのです。
ただ、買い物依存症の人は、買い物をした後に「また買い物をしてしまった」と激しく後悔することが多いんです。
チヤホヤされながら買い物をして快感を感じる、そしてその後は後悔して落ち込む。そうすると、またあの快感を体験したいと思って、買い物をする。買い物依存症の人は、これを繰り返すことになるのです。
クレジットカード
クレジットカードの普及も、買い物依存症の原因の1つとされています。クレジットカードを持っていると、現金を持っていなくても、買い物をすることができます。
クレジットカードを持っていなければ、お財布の中の現金がなくなれば、それ以上買い物をすることはできません。でも、クレジットカードを持っていると、限度額まで買い物をドンドンすることができるんです。
日本はクレジットカードよりもプリペイドの電子マネーを使う人が多いですが、クレジットカード大国のアメリカでは人口の6%前後が買い物依存症ではないかとされています。
買い物依存症かも?買い物依存症のチェックリスト
あなたは買い物が好きですか?買い物をするとストレス発散になった気がしませんか?もしかしたら、あなたは自分で気づいていないだけで、実は買い物依存症かもしれません。買い物依存症の可能性があるかどうか、チェックリストを用いてチェックしましょう。
<買い物依存症のチェックリスト>
□ 買い物をすると、嫌なことを忘れられる
□ 店員さんに褒められたり、チヤホヤされると気分が良い
□ 買ったは良いけれどタンスの肥やしになっているものがたくさんある
□ 買い物をした後に激しく後悔する
□ もう買い物はしないと誓ったのに、すぐにまた買い物をしてしまう
□ どんどん高いものが欲しくなる
□ 買い物を止めよう、買い物できないと思うとイライラする
□ 借金してでも買い物をしたい
□ 買い物をするために家族や友人に嘘をついたことがある
□ 買い物のために人間関係が壊れたことがある
参考:買い物依存症チェック|買い物依存症治療の専門病院 大石クリニック
参考:心療内科医・涼子 NO.4 買い物依存症(心理学総合案内こころの散歩道)
この中で4つ以上当てはまる人は、買い物依存症の可能性が高いでしょう。
買い物依存症の克服法や治し方
買い物依存症を克服するには、どうしたら良いのでしょうか?買い物依存症の克服法や治し方を3つご紹介します。
病院を受診する
買い物依存症は、精神疾患の1つです。そのため、自分の努力で治すことはできません。専門医療機関を受診して、克服するようにしましょう。
買い物依存症で受診する診療科は、精神科です。本来なら、依存症の治療を専門に行っている精神科が良いのですが、そのような精神科がどこにあるかわからない時は、近所の精神科を受診して、依存症治療を専門にしている精神科を紹介してもらうと良いでしょう。
買い物依存症の治療法は、以下のようなものになります。
・内観療法
・SST
・条件反射制御法
内観療法とは心理療法の1つで、自分の内側を客観的に見つめることで、ありのままを受け入れ、精神疾患を克服する治療法です。
自分の身近な人(親、兄弟、配偶者、子など)に対しての今までの関わりを繰り返し思い出すことによって、自分や他者への理解・信頼を深め、自己の存在価値・責任を自覚し、社会生活の改善につなげていく心理療法(日常内観療法)です。
SSTとは生活技能訓練(Socail Skills Training)の略で、認知行動療法の1つです。
買い物依存症の人は、買い物をせずにはいられないという問題を抱えていますので、その問題とどう向き合うのか、買い物をしたくなったら、どうすれば良いのか、どのような行動を取るのが適切なのかを考えていくことになります。
条件反射制御法は、買い物したいという気持ちを抑えるための治療プログラムです。
条件反射制御法はパヴロフ学説が示すヒトの行動原理に基づく技法です。この技法は、不適切な行動の根源となる欲求、好まない感情や感覚、パターン化された業務における不注意等を制御あるいは予防します。
引用:条件反射制御法学会
これらの治療法を用いて、少しずつ買い物依存症を克服していくことになります。
カード類は持たない
買い物依存症の人は、カード類は持たずに生活しましょう。クレジットカードを持っていると、どうしても必要以上に買い物ができてしまいます。
そのため、クレジットカードを持つのは絶対にダメです。キャッシュカードも持たないほうが良いでしょう。さらに、電子マネーも危険です。
常に現金決済にして、現金も必要最低限だけを持っておくようにしましょう。
しばらくテレビやインターネットを断つ
先ほどご紹介した医療機関での治療がある程度進むまでは、テレビやインターネットは控えたほうが良いでしょう。
テレビを見ていると、CMや通販番組を目にする機会がありますので、どうしても「買い物したい!」、「これが欲しい!」と思ってしまいます。
インターネットも同じですね。通販サイトを思わず見てしまい、「買い物したい」と思ってしまうのです。
ですから、治療が進むまではテレビやインターネットからは離れるようにしたほうが良いでしょう。
買い物依存症の特徴と原因・克服法・治し方についてのまとめ
・買い物依存症の症状
「欲しいわけでもないのに買ってしまう」「買ったとしても使うわけではない」「買い物ができないとイライラする」「買い物をするために家族や友人、金融会社や闇金からお金を借り続けてでも買い物をする」
・買い物依存症は最終的には、自己破産に追い込まれることもある
・買い物依存症の原因
「ストレスや幼少期の家庭環境」「クレジットカードを持っている」
・買い物依存症の治し方
「精神科で受診をする」「買い物依存症を克服するまでは、クレジットカードなどのカード類は持たない」「しばらくテレビやインターネットを経つ」
買い物依存症の特徴と原因、克服法・治し方をまとめました。買い物依存症は、買い物せずにはいられない病気です。買い物することによってストレスを発散したり、精神的な満足感を得ているのです。
買い物依存症は精神疾患ですから、専門機関できちんと治療を受けないといけません。また、治療を受ける時は家族や周囲の人がサポートしてあげるようにしましょう。