2015年にアメリカがトランス脂肪酸の制限を決めてから、日本でもトランス脂肪酸の危険性が認識されるようになりました。
トランス脂肪酸は危険で、健康に悪いらしいというのはわかっていても、具体的にどんな危険があるのか、どんな食品に多く含まれているのか、どうすれば良いのか、いまいちわからない人も多いと思います。
この記事では、超簡単にわかりやすくトランス脂肪酸の危険な効果やトランス脂肪酸が多い食品ランキング、トランス脂肪酸との付き合い方をまとめています。これで、トランス脂肪酸について丸わかりになるはずです!
この記事の目次
トランス脂肪酸とは何?
「トランス脂肪酸は危険!」、「アメリカではトランス脂肪酸は禁止されている!」ということは知っていても、いまいちよくわからないという人も多いですよね。まずは、トランス脂肪酸とは何なのかを説明します。
トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸の1つです。脂質の種類の1つと考えましょう。
不飽和脂肪酸には炭素の二重結合の周囲の違いによって、「シス型」と「トランス型」の2つがありますが、これを理解しようとすると、難しくて嫌になってしまうので、「トランス脂肪酸=脂質の1つ」と覚えておけばOKです。
細かい組成やら構造やらを覚えなくても、トランス脂肪酸の危険な効果や対策はわかりますので大丈夫です。
さて、脂質の1種であるトランス脂肪酸。実は2種類あるんです。
天然でできるもの
トランス脂肪酸は、天然の食品の中にも含まれています。牛肉や乳製品、羊肉の中には、トランス脂肪酸が含まれているんです。
でも、これらは天然で作られるもので、含有量は次に紹介する加工食品と比べると微量ですので、それほど気にする必要はありません。
加工して作られるもの
トランス脂肪酸の2種類目は、加工して作られるものです。こちらが、「トランス脂肪酸は危険!」と言われている原因のものですね。
「水素添加」という加工技術を用いて液体状の油から半固形~固形の油を作る時に、このトランス脂肪酸は発生します。
加工して作られた半固形~固形の油には、次のようなものがあります。
・ショートニング
・ファットスプレッド
しかも、この加工することでできるトランス脂肪酸は、天然でできるトランス脂肪酸に比べて、含有量が多いことが特徴です。
加工して作られた半固形~固形の油を用いて調理したものも、トランス脂肪酸を大量に含んでいることになります。ビスケットやクッキー、ケーキ、フライドポテト、ポップコーンなどは、これに当てはまることになります。
トランス脂肪酸は危険なの?トランス脂肪酸の効果は?
トランス脂肪酸についての基礎知識を説明しました。トランス脂肪酸は難しく考える必要はありません。脂質の1つで、加工して作られた油に多く含まれていることがわかればOKです。
では、トランス脂肪酸を摂取すると、何が危険なのでしょうか?トランス脂肪酸は、ほかの脂質と何が違うのでしょう?
トランス脂肪酸の危険な効果は、主に2つあります。
脂質だからカロリーが高い
トランス脂肪酸は、脂質の1つです。脂質はカロリーが高いですよね。ほかの栄養素の1gあたりのカロリーと比べてみましょう。
・タンパク質=4kcal
・脂質=9kcal
脂質は炭水化物やタンパク質の2倍以上のカロリーがあるのです。だから、トランス脂肪酸が多く含む食品を食べれば、それだけ摂取カロリーが多くなり、肥満にまっしぐらということになります。
肥満になれば、高血圧や高脂血症(脂質異常症)、糖尿病などのリスクが上がりますので、生活習慣病になり、命の危険が出てくるのです。
ただ、これはトランス脂肪酸だから危険というわけではなく、トランス脂肪酸以外の脂質にも共通した危険な効果になりますね。
動脈硬化のリスクが上がる
トランス脂肪酸の危険な効果の2つ目は、動脈硬化のリスクが上がることです。トランス脂肪酸を多く摂取すると、血液中の悪玉コレステロールが増えて、善玉コレステロールが減少してしまうことがわかっています。つまり、脂質異常症になるということですね。
脂質異常症のリスクが上がると、それだけ血液がドロドロになり、血管壁に負担をかけることになりますので、動脈硬化のリスクが上がります。
動脈硬化のリスクが上がれば、同時に心筋梗塞や脳卒中のリスクが上がります。どちらも死に直結する疾患ですよね。
だから、トランス脂肪酸は危険であり、制限すべきとされているんですね。
トランス脂肪酸が多い食品ランキング
では、どのような食品にトランス脂肪酸が多く含まれているかを見ていきましょう。トランス脂肪酸の危険性がわかっても、トランス脂肪酸がどんな食品に含まれているかを知らないと意味がありません。
ここでは、天然に含まれるトランス脂肪酸の量ランキングと加工食品に含まれるトランス脂肪酸の量ランキングで分けてご紹介します。
データは、農林水産省の「食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量」を用います。
天然のトランス脂肪酸が多い食品ランキング
天然にできたトランス脂肪酸の量が多い食品ランキングは、次の通りです。
順位 | 食品 | 100gあたりの含有量 |
第1位 | バター | 1.7~2.2g |
第2位 | 牛ハラミ | 0.79~1.5g |
第3位 | ナチュラルチーズ | 0.5~1.5g |
第4位 | 和牛サーロイン | 0.54~1.4g |
第5位 | 輸入牛サーロイン |
0.6~1.2g |
牛肉と乳製品には基本的にトランス脂肪さんは含まれていると考えておいたほうが良いでしょう。
加工してできたトランス脂肪酸が多い食品ランキング
水素添加してできたトランス脂肪酸が多い食品ランキングをご紹介します。
順位 | 食品 | 100gあたりの含有量 |
第1位 | ショートニング | 1.2~31g |
第2位 | 味付けポップコーン | 13g |
第3位 | マーガリン | 0.36~13g |
第4位 | 菓子パイ | 0.37~7.3g |
第5位 | ハヤシルウ |
0.51~4.6g |
やはり、マーガリンやショートニングなどはトランス脂肪酸が多いですね。そして、意外なところだと味付けポップコーンでしょうか。
お菓子類やカレールウ、ハヤシルウ、さらにマヨネーズなどは、全体的にトランス脂肪酸の含有量が多くなっています。
トランス脂肪酸、結局どうすべき?
トランス脂肪酸の危険な効果やトランス脂肪酸を多く含む食品ランキングをご紹介しましたが、結局のところトランス脂肪酸はどうすべきなのでしょうか?どのくらい摂取すべきなのか、どうすれば減らせるのかわからないですよね。
トランス脂肪酸との上手な付き合い方や対策をご紹介します。
天然に含まれている量は気にしない
トランス脂肪酸は動脈硬化のリスクを上げるから、トランス脂肪酸は摂取してはいけない!トランス脂肪酸は禁止したほうが良い!と思っているかもしれません。
では、あなたは牛肉や乳製品を一切取らない生活をするのですか?戦前の日本ならそれも可能だったと思いますが、現代の日本では牛肉を食べない、乳製品を食べないというのは、さすがに無理があります。
特に、乳製品は取っているつもりがなくても、食品の中に入っていることが多いですから。だから、天然でできたトランス脂肪酸、つまり乳製品や牛肉に含まれているトランス脂肪酸は、そこまで気にしなくても良いでしょう。
超ブクブクに太るほど牛肉と乳製品を食べていなければ、天然でできたトランス脂肪酸をあえて控えるようなことはしなくても良いと思います。
摂取量目安は1日のカロリーの1%未満で
トランス脂肪酸の摂取量の目安は、1日のカロリーの1%未満に抑えるようにしましょう。
- 国際機関が生活習慣病の予防のために開催した専門家会合(食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合)は、食品からとる総脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の目標値を2003年に公表しました。その中で、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告をしています。
日本人の成人のカロリー摂取量は1900~2000kcalですから、大体2gを目安にすると良いでしょう。2g以上取ると、摂りすぎになりますので、注意が必要になります。
代用食品でトランス脂肪酸を減らす効果あり!
トランス脂肪酸の摂取量を1日2g未満に抑えるためには、やはり水素添加で作られたトランス脂肪酸をいかに食べないようにするかがポイントになります。
トランス脂肪酸を減らすためには、マーガリンやショートニングは使わないようにしましょう。これは基本です。
値段は高いですが、健康のためですので、バターやオリーブオイルを使うようにしてください。お菓子作りのレシピにマーガリンやショートニングが出てくることがありますが、バターを使えば、トランス脂肪酸の量は、大幅に減らすことができます。
また、できるだけお菓子類は手作りしたいですね。手作りをすれば、マーガリンやショートニングを使わずに済みます。
と言っても、実際にケーキやクッキーを手作りするのは厳しいものがありますので、ケーキやクッキーを食べたいと思ったら、時々は和菓子やお煎餅で代用してみてはいかがでしょうか?
和菓子はマーガリンやショートニングを使いませんので、トランス脂肪酸の量を大幅に減らすことができます。
食事も洋食中心の人は、和食中心に変えると、それだけ乳製品を使わなくなりますのでトランス脂肪酸の摂取量を減らすことができます。
トランス脂肪酸をまったく摂らないというのは無理ですが、ちょっとした工夫で摂取量を減らすことはできますので、健康のためにも、トランス脂肪酸を減らすようにしましょう。
トランス脂肪酸の危険性・多く含む食品ランキングについてのまとめ
・トランス脂肪酸の種類
「牛乳や乳製品など天然でできている物」「マーガリンやショートニングなど加工してできている物」
・トランス脂肪酸が危険といわれる理由
「脂質だからカロリーが高い」「動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクが上がるといわれている」
・トランス脂肪酸を摂る方法
「天然に含まれている量は気にしなくてOK」「摂取量の目安は、1日のカロリーの1%未満」「なるべくマーガリンやショートニングは使わない」
・トランス脂肪酸が多い天然食品1位は、バター(1.7~2.2g)
・トランス脂肪酸が多い加工食品1位は、ショートニング(1.2~31g)
トランス脂肪酸の危険な効果と多く含む食品ランキング、トランス脂肪酸との上手な付き合い方や減らす工夫をまとめました。
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングに含まれていますので、まずは冷蔵庫の中からマーガリンとショートニングをなくすことから始めましょう。