ギャンブルにはまっている、ギャンブルで負けてお金が無くなったのに、またすぐにギャンブルがしたくなるという人は、ギャンブル依存症かもしれません。
ギャンブル依存症は人生を破滅させる病気です。ギャンブル依存症の特徴や原因、克服法・治療法をまとめました。ギャンブル依存症を克服する第一歩を踏み出しましょう。
この記事の目次
ギャンブル依存症とはどんな病気?
ギャンブル依存症とはギャンブルにのめりこみ、ギャンブルを止められなくなる病気です。ギャンブルにのめりこむことで、日常生活に様々な支障が出ているにも関わらず、ギャンブルを止めることができないのです。
ギャンブル依存症は「ただのギャンブル好き」や「だらしがない人」、「自制心がない人」と思われがちですが、国際的にも認められた精神疾患です。
世界的に見て、日本人はギャンブル依存症の人が多いとされています。2009年に厚生労働省が行った調査では、なんと日本の成人男性の9.6%、女性の1.6%、男女平均で5.6%がギャンブル依存症やそのリスクがある人(予備軍)であることがわかっています。
ちなみに、アメリカでは0.6%、マカオでは1.78%となっていますので、日本がいかにギャンブル依存症の人が多いかがわかりますね。
日本では競馬や競艇などの公営ギャンブルがあるほか、パチンコという身近なギャンブルがあるために、ギャンブル依存症になりやすいのかもしれません。
ギャンブル依存症の特徴
ギャンブル依存症の人の特徴を紹介していきます。ギャンブル依存症の人は、ギャンブルにのめりこみすぎて、「ギャンブルがないと生きていけない」、「止めたくても止められない」という状態になっているのです。
精神的な依存
ギャンブル依存症の人は、精神的にギャンブルに依存してしまっています。そのため、次のような症状が現れます。
・ギャンブルがしたくてしたくてたまらない
・予算オーバーになってもギャンブルを止められない
・ギャンブルをしないと離脱症状が出る
・ギャンブルをする回数がドンドン多くなる
・ギャンブルにかけるお金が多くなる
・ギャンブル以外には興味を持てなくなる
・いつでもギャンブルのことを考えている
ギャンブルをしないことでの離脱症状には次のようなものがあります。
・不眠
・幻覚(幻視)
・イライラ感
・集中力の低下
・抑うつ
・情緒不安定
・手足の震え
・発汗
ギャンブルをしないだけで、このような症状が現れるのです。
ギャンブル依存症は全てを失う
ギャンブル依存症は、ギャンブルに精神的な依存をするだけではありません。ギャンブル依存症になると、全てを失うことになります。
ギャンブル依存症は、「ギャンブルに全てを捧げている」と言っても過言ではありません。そのため、手持ちのお金が無くなったからと言って、ギャンブルを止めることはないのです。止めたくても止められないと言ったほうが正しいかもしれません。
手持ちのお金が無くなったら、どうするか?そうです。借金をして、ギャンブルを続けるのです。もしくは、家族や友人のお金を盗んで、ギャンブルを続けます。
ギャンブル依存症は借金がドンドン膨れ上がるだけでなく、家族や友人の信頼を失うことになります。
そして、ギャンブルのこと以外には興味を持てなくなる、24時間いつでもギャンブルのことを考えていますので、仕事に身が入らなくなりますし、仕事を休んでギャンブルをするようになります。
そうすれば、会社をクビになり、社会的な地位を失います。そして、家族からの信頼を失うだけでなく、家族は離れていきます。具体的には離婚、断絶ですね。
ギャンブル依存症になると、財産、社会的な地位、家族、友人など生きていく上で大切なものをすべて失うことになるのです。
ギャンブル依存症とは認めない?
ギャンブル依存症の特徴をご紹介しました。ギャンブル依存症の怖さをお分かりいただけたと思います。そのため、ギャンブル依存症は早めに治療をして克服しなければいけません。
ただ、厄介なことに、ギャンブル依存症の人は自分はギャンブル依存症であることを認めないのです。これは、他の依存症にも共通していることなのですが、依存症の人は自分が依存症であることを頑なに認めようとはしません。
自分がギャンブル依存症であることを認めないと、治療はスムーズに進みません。治療が進むにつれて、自分がギャンブル依存症であることを認識できるようになりますが、治療の最初の一歩を踏み出すのが難しいのです。
ギャンブル依存症は精神疾患を合併することも
ギャンブル依存症は精神疾患の1つですが、ギャンブル依存症の人はそれ以外の精神疾患を合併する可能性が高いのです。
アルコール依存症
ギャンブル依存症の人は、アルコール依存症になりやすいことがわかっています。「何かに依存する」という点では、ギャンブル依存症とアルコール依存症は共通点がありますので、1つの依存症を発症していると、そのほかの依存症にもなりやすいのです。
欧米ではギャンブル依存者の3割から5割がアルコール依存症を、アルコール依存者の1割から3割がギャンブル依存症を併発するというデータが得られている。
ギャンブル依存症の人は、ギャンブルに勝つと「祝い酒」と称してお酒を飲み、ギャンブルに負けると「ヤケ酒」としてお酒を飲むので、ギャンブル依存症とアルコール依存症が加速度的に悪化していくのです。
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害の人は、ギャンブル依存症になりやすいのです。躁状態が続いている時は、異常なほどの活動的になり、お金に糸目をつけない生活を送ります。
その時にギャンブルに手を出すと、負けても負けてもギャンブルを繰り返すようになりますので、ギャンブル依存症になってしまうのです。
このほか、統合失調症や過食嘔吐型の拒食症や過食症の摂食障害もギャンブル依存症の人が合併しやすいとされています。
あなたもギャンブル依存症?ギャンブル依存症のチェックリスト
ギャンブル依存症かどうか、あなたもチェックしてみましょう。もしかしたら、気づかないだけで、あなたもギャンブル依存症かもしれません。
アメリカの精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ-TR)に基づいたチェックリストを作成しましたので、ギャンブル依存症かどうかをチェックしてみてください。
<ギャンブル依存症のチェックリスト>
□ いつもギャンブルのことばかり考えてしまう
□ ギャンブルに使うお金がどんどん増えている
□ ギャンブルを止めたいのに止められない
□ ギャンブルをしないと、イライラ落ち着かない
□ ストレスが溜まるとギャンブルをしたくなる
□ ギャンブルで負けた分を、ギャンブルで取り返そうとする
□ ギャンブルのことを隠そうとして、家族や周囲の人に嘘をつく
□ ギャンブルのお金を得るために、盗みや着服、詐欺などを行う
□ ギャンブルで人間関係や仕事、勉強に支障が出ている
□ ギャンブルで作った借金を家族などに肩代わりしてもらった
この10項目の中で、5つ以上当てはまる人はギャンブル依存症の可能性が高くなります。
ギャンブル依存症の原因
ギャンブル依存症の原因は心理的要因、遺伝的要因、環境要因の3つがあります。
心理的要因
ギャンブル依存症の原因は、ストレスです。ギャンブルをしている間はストレスのことを忘れられるので、ギャンブルをしてしまいます。ギャンブルが終わると、またストレスのことを思い出してしまうので、またギャンブルに手を出すのです。
また、ギャンブルで負けると、そのこともストレスになります。そのストレスを忘れるために、再びギャンブルをすることもあるんです。
そして、ギャンブルをしていると、ドキドキ感や興奮を感じます。さらに、ギャンブルに勝つと、快感を覚えます。
ギャンブルのドキドキ感、興奮、快感をもう一度体験したいと思って、ギャンブルを繰り返すようになるんです。
ギャンブルは心理的にのめりこんでしまう要素がたくさんあるというわけなんですね。
遺伝的要因
ギャンブル依存症には遺伝的な要因も関係しています。
Slutske教授は、ギャンブル依存症の要因は、環境要因よりも遺伝要因の割合がが大きいと報告しています。実際、両親または兄弟にギャンブル依存者がいる人は、いない人に比べてギャンブル依存症に4倍なりやすいという研究データが出ているようです。
親兄弟にギャンブル依存症の人がいる場合は、あなたもギャンブル依存症になりやすいことは知っておきましょう。
環境要因
環境的な要因も、ギャンブル依存症の原因に関係しています。例えば、小さいころから親に連れられて、競馬場に行っていたとかパチンコ店に出入りしていたという人は、ギャンブルをすることへのハードルが非常に低く、ギャンブルをすることに抵抗を感じません。
また、親がギャンブルでストレスを発散していた場合、「ストレス発散方法=ギャンブル」と思うようになりますので、自分もストレスが溜まった時には、自然とギャンブルをするようになるのです。
ギャンブル依存症の克服法や治療法
ギャンブル依存症は精神的な疾患です。そのため、ギャンブル依存症を克服するためには、専門的な治療が必要になります。
“ギャンブルの問題を持つ”ことは、長年にわたり個人の道徳的観念の欠如や意思の弱さ が原因であるとされてきましたが、近年では、医学上の問題としての側面があることが 知られてきています。すでに国内外では、医学的治療や福祉的支援がギャンブルの問題に 効果的であることが多数報告されています。
ギャンブル依存症の治療法
ギャンブル依存症の治療には、以下のようなものがあります。
・認知行動療法
・SST
・条件反射制御法
・内観療法
これらの中で、特にギャンブル依存症の治療に効果が高いとされているのは、認知行動療法です。認知行動療法は、物事の考え方や捉え方の歪みを修正して、適切な行動を取れるようにしていく精神療法です。
ギャンブル依存症の場合は、ギャンブルへの考え方、ストレスへの考え方、借金をすることへの意識などに歪みが生じていますから、それを治療者(精神科医や臨床心理士)と一緒に少しずつ修正していき、ギャンブル依存から抜け出せるようにしていきます。
SST(社会生活技能訓練)では、日常生活内でギャンブル依存症の人が直面する問題への適切な対処法を考えます。
条件反射制御法は「ギャンブルをしたい」という欲求をどうやって抑えていくかを身につけて行く治療法で、内観療法は自分自身を見つめ直し、社会生活の改善へとつなげていく心理療法になります。
家族や周囲の人の理解が大切
ギャンブル依存症を克服するには、本人の努力だけでは不可能です。家族や周囲の人の理解とサポートが必要なんです。
家族や周囲の人が、ギャンブル依存症は精神疾患であること、ただ「だらしがない」、「意志が弱いギャンブル好き」とは違うことを理解してください。
それだけで、ギャンブル依存症の人は救われます。また、ギャンブル依存症の治療が上手く進むようにサポートしましょう。
さらに、家族や周囲の人は、ギャンブル依存症の人が1人いるだけで、精神的にも経済的にも疲弊します。そのため、家族や周囲の人もケアを受ける必要があるので、一緒に治療に臨むべきなのです。
自助グループへの参加
アルコール依存症に自助グループや断酒会があるように、ギャンブル依存症も自助グループがあり、それに参加することで、ギャンブル依存症を克服することができます。
日本には、ギャンブル依存症の自助グループは、「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」があります。また、ギャンブル依存症の家族のためには、「ギャノマン」という家族や友人のための自助グループがあります。
ギャンブル依存症を克服したいなら、自助グループに参加して、同じような境遇の人と悩みや苦しみを分かち合って、勇気や元気をもらいましょう。
ギャンブル依存症の特徴と原因・克服法と治療法についてのまとめ
・世界的にみて日本人は、ギャンブル依存症の人が多いといわれている
・ギャンブル依存症の特徴
「ギャンブルに対する精神的な依存が見られる」「ギャンブルをしないと不眠や幻覚、イライラ感、抑うつ、集中力の低下などが出る」「全てを失う可能性が高くなる」「自分が依存症であることを認めない」
・ギャンブル依存症は、アルコール依存症や双極性障害の合併症も起こすことがある
・ギャンブル依存症の原因
「ギャンブルのドキドキ感や興奮をもう一度体験したい心理」「親族にギャンブル依存症の人がいると、ギャンブル依存症になる可能性がある」「小さい頃に競馬場やパチンコに出入りしていると、依存症になる可能性がある」
・ギャンブル依存症の克服法と治療法
「認知行動療法」「家族や周囲の理解をしてもらって、協力してもらう」「自助グループに参加する治療法」
ギャンブル依存症の特徴と原因、克服法や治療法をまとめました。ギャンブル依存症はギャンブルを止めたほうが良いのは分かっているけれど、自分で止めることができない精神疾患です。
ギャンブル依存症は家族や友人、財産、社会的地位など大切なものをすべて失う可能性がある病気ですから、早めに専門的な治療を受けるようにしましょう。