臨月になると、もうすぐ赤ちゃんに会えるというワクワク感や嬉しさでいっぱいになると同時に、出産への不安、陣痛の痛みへの恐怖も湧いてくると思います。
陣痛が来た時にパニックにならないように、陣痛の痛みや種類、間隔、兆候、出産の始まりから終わりまでの流れを知って、準備を整えておきましょう。
この記事の目次
陣痛が起こるメカニズム
赤ちゃんを自然分娩で出産する時には、必ず陣痛が起こります。約3000gの赤ちゃんをお腹から出すためには、子宮を収縮させなければいけません。子宮が強く収縮することで、陣痛が起こるのです。
生理の時も経血を排出するために子宮が収縮して、生理痛が起こりますね。陣痛のメカニズムも基本的には生理痛と同じです。
この「陣痛と生理痛は同じ」ということを納得して頂けると、女性の皆様はお産に対する怖いというイメージが変わると思います。
実は両者共、子宮の筋肉が収縮し、子宮内のものを押し出す時に起こる子宮筋の収縮の痛みなのです。どちらも仕組みは同じです。
陣痛には2種類ある
陣痛には、前駆陣痛と本陣痛の2種類があります。
前駆陣痛
前駆陣痛とは、本格的な陣痛が始まる前の準備段階・予行練習のようなものです。痛みの程度は人によって違いますが、生理痛程度とそれほど痛くないことが多いようです。
1日に何回かおなかがキュッと固くなったり、時には(夜が多い)5~10分程度に規則正しくおなかが痛くなり、あたかも陣痛がおこったかのように感じることがあります。
お腹の痛みが5~10分ごとに起こると、「陣痛が来た!」と思う人が多いのですが、そのまま様子を見ていると、不規則になったり、痛みが消えてしまいます。
前駆陣痛があってから、次に本陣痛が来るまでの間隔は人それぞれで、前駆陣痛の当日に本陣痛が始まる人もいますが、1週間後に本陣痛が来る人もいます。
初めての出産の人は、前駆陣痛を陣痛と勘違いしやすいのですが、もうすぐ陣痛が来るという身体からのサインですので、入院のための準備をするなど落ち着いて対処しましょう。
本陣痛
本陣痛は、前駆陣痛の後に現れる本格的な陣痛のことです。本陣痛は規則的な痛みが特徴的です。
常にずっと痛いというわけではなく、子宮が収縮すると痛みが出ますので、痛みが周期的にやってきます。この周期的な痛みの間隔はどんどん短くなっていき、15分間隔が10分間隔になり、やがて2~3分感覚に短くなって、ようやく赤ちゃんに会うことができます。
この痛みの間隔が短くなるにつれて、痛みもどんどん強くなっていきます。
お腹の痛みが10分間隔になってからが、陣痛の始まりとされています。この陣痛が始まってからは分娩第1期から第3期までの3期に分かれていて、それぞれ痛みも変わってきます。
陣痛の痛みってどんな痛み?
陣痛の痛みはどんな痛みなのでしょうか?よく出産の時は、「スイカを鼻から出すような痛み」と表現されることが多いですね。
前駆陣痛は生理痛のような痛み、下痢や便秘の時のような痛みと感じる人が多いようです。それに対して、本陣痛は前駆陣痛の痛みがさらに強くなり、お腹だけでなく腰や背中が痛くなったり、お腹を殴られているような痛み、腰が割れるような痛みがやってきます。
痛みの感じ方は人それぞれですが、生理痛のような痛みがどんどん強くなって、立っていられないほどの痛みに変わり、さらに痛みが規則的にやってきたら、陣痛と判断して間違いないでしょう。
陣痛の痛みの間隔は?
前駆陣痛は痛みが不規則にやってますが、やがてその痛みが規則的になり、本陣痛が始まります。
お腹の痛みが10分間隔になってからが本陣痛のスタートとされています。
1時間に6回以上、あるいは10分間隔の規則的な痛みがあれば陣痛開始です!
お腹の痛みを感じたら、陣痛が来た時間や痛みがある長さ、陣痛と陣痛の間隔をメモしておくと良いでしょう。また、陣痛アプリを使って陣痛の時間の間隔を測ることもできます。
もうすぐ陣痛が来る?陣痛の前触れの9つの兆候・症状
陣痛は突然やってくるものではありません。陣痛が始まる前には、前触れのような症状があるのです。陣痛が来る前触れの症状を9つご紹介します。
お腹が下がる
陣痛がもうすぐやってくる時の症状の1つ目は、お腹が下がってくることです。出産が近づくと、赤ちゃんが子宮口近くに下がってきますので、お腹のふくらみも下がってきます。
お腹が下がってくると、胃の圧迫が取れますので、胃のあたりがスッキリして、食欲がわいてきます。
出産は体力勝負ですから、食欲があればしっかり食べておくと良いでしょう。
胎動が減る
胎動が減ることも、もうすぐ陣痛が始まるというサインです。出産が近づくと、赤ちゃんが下がってきて、赤ちゃんの頭が骨盤に固定されますので、赤ちゃんが動く回数が減るのです。
そのため、臨月に胎動が減るのはごく当たり前のことなので、心配する必要はないのですが、あくまで胎動が減るだけで全くなくなるわけではありません。
もし、胎動が丸1日以上全く感じられなくなったら、赤ちゃんに異常が起こっている可能性がありますので、すぐに産婦人科を受診してください。
お腹が張る
陣痛がもうすぐやってくるという時は、お腹の張りが頻繁になります。これは、子宮が軽く収縮しているために起こるもので、前駆陣痛の一種と考えて良いでしょう。
お腹が張っている時は、無理をせずに、陣痛が来た時の予行練習だと思って、リラックスをして過ごすようにしましょう。
おしるしがある
おしるしも陣痛の前触れの症状の1つです。おしるしとは、赤ちゃんを包んでいる卵膜と子宮壁
がこすれることが原因でおりものに少量の出血が混じるもので、生理が終わる頃の出血量になります。
初産婦ならば、おしるしがあってから2~3日くらいには陣痛が来ることが多いです。
経産婦さんはその日に陣痛来ることが多いです。
ただ、人によってはおしるしがあって1~2週間してから、ようやく陣痛が来たということもあります。
おりものが増える
出産が近づくと、赤ちゃんが産道をスムーズに通りやすくするために、おりものの量が増えます。出産前のおりものは、白くて粘り気のあるものに変化します。
トイレが近くなる
陣痛前には、トイレが近くなることが多いんです。赤ちゃんが下がってくるので、膀胱を圧迫するためですね。
赤ちゃんが膀胱を圧迫するようになれば、膀胱に溜めておける尿量が少なくなりますので、頻尿になるのです。
便の回数が増える
出産が近いと便の回数が増えたり、下痢になることがあります。これは、赤ちゃんが直腸を圧迫してしまうためです。
また、出産前になると、腸の動きを鈍くするプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が減ってくるため、腸の動きが活発になり、便の回数が増えたり、下痢になったりします。
ただ、人によっては、直腸を圧迫されることで、便秘になることもあります。
足の付け根が痛む
陣痛が始まる前には、足の付け根や恥骨部分などが痛むことがあります。これは、出産に備えて、赤ちゃんが骨盤内に頭を入れてくることで、圧迫されて痛みが出てくるんです。
また、出産前に赤ちゃんが通りやすいように骨盤の結合が緩むことでも、痛みが生じることがあります。
破水した
陣痛前に破水することもあります。破水とは赤ちゃんを包む卵膜が破れて、羊水が流出することです。一般的には陣痛が始まった後に破水をするのですが、陣痛が来る前に破水が起こることもあります。
陣痛が始まる前の破水を前期破水と言います。臨月前には、尿漏れがある妊婦さんもいるので、尿漏れとの区別がつきにくいこともありますが、破水は生ぬるい感触で、匂いが少しあります。
また、尿とは違ってちょろちょととずっと出てくることが多いので、すぐに分かるはずです。
通常は前期破水の後、1~2日後に本格的な陣痛が始まります。
陣痛ジンクスって本当にあるの?
陣痛ジンクスって聞いたことがありますか?「これをやると陣痛がすぐに来る」と言われているものです。予定日を過ぎても陣痛が来ないという場合は、試してみると良いかもしれません。
・ウォーキング
・雑巾がけ
・階段の上り下り
・焼肉を食べる
・カレーを食べる
・オロナミンCを飲む
これらは、出産経験のある女性の体験談から広がったものです。ただ、これらは全て科学的根拠があるというわけではないんです。適度な運動は陣痛促進に良いと思われがちですが、どうやら違うようです。
妊娠中に適度な運動をしても、陣痛が早く来て分娩自体が進みやすいと言うことはありません。また、妊娠中に適度な運動をしても遷延分娩を予防出来ません。
ただ、運動をしてはいけないというわけではありませんので、「陣痛が来ないなぁ」と悩んでいるなら、適度に運動をしてリフレッシュすると良いでしょう。
また、満月や新月に出産する人が多いとも言われていますね。これは産婦人科で働く助産師さんはみんな口をそろえて言うことです。ただ、これも科学的根拠はありませんが、もしかしたら、月の満ち欠けの引力に関係しているのではないかとされています。
陣痛が来た時の病院へ行くタイミング
陣痛が来たら、かかりつけの病院へ行って、出産のために入院する必要があります。
ただ、あまりに早く行ってしまうと、「まだ大丈夫ですよ」と自宅に帰されてしまうことがありますし、病院へ行くタイミングが遅いと最悪の場合、自宅出産という可能性もありますので、病院へ行くタイミングを知っておきましょう。
・陣痛が10分間隔(経産婦は15分間隔)
・破水をした
・生理の多い日並みの出血があった
このような時は、かかりつけの産婦人科に連絡をして、病院へ行きましょう。
破水をしても、羊水が全部出てしまうということはありませんし、羊水は常に作られていますので、急いで病院に行く必要はありません。そのため、入院の準備をして、家族に連絡をしてから病院へ向かってOKです。
ただ、破水をした時は、卵膜が破れていて、赤ちゃんが感染しやすくなっていますので、入浴はせずに病院へ向かいましょう。
陣痛が来た時は、自分で車を運転すると危険ですから、家族に運転してもらって病院に行ってください。もし、自宅で1人でいる時に陣痛が来た場合は、陣痛タクシーを使うと良いでしょう。
陣痛タクシーは事前にタクシー会社にかかりつけの病院や電話番号、出産予定日を登録しておくと、連絡すればすぐにタクシーが迎えに来てかかりつけの病院まで送ってくれるシステムです。
陣痛が来た!出産の始まりから終わりまでの流れはどうなる?
本格的な陣痛が来たら、いよいよ出産の始まりです。でも、陣痛が来たらすぐに赤ちゃんが生まれるというわけではないのです。
陣痛の始まりから終わりまでの出産の流れは第1期から第3期までに分かれています。ただ、第1期が始まる前も、お腹の痛みはありますので、陣痛が来てから始まりから終わりまでの流れを4つに分けて説明していきます。
準備段階
前駆陣痛ではなく、規則的な痛みがやってくる本格的な陣痛が始まっても、すぐに10分間隔の痛みになるわけではありません。
陣痛が始まった当初は、痛みもそれほど強くなく、不規則だったり、30分間隔だったりしますが、その痛みがだんだんと強くなり、規則的になって、さらに陣痛の間隔が短くなってきます。
陣痛が始まってから10分間隔になるまでは個人差がありますが、5~10時間かかることが多いようです。
第1期(開口期)
お腹の痛みが10分間隔になったら、本格的に陣痛が始まり、出産が始まります。陣痛が10分間隔になったら、産婦人科に連絡をして、病院へ向かいましょう。
陣痛が10分間隔になると、子宮口は3~4センチ開いています。この状態から子宮口が10センチに全開するまでを第1期(開口期)と言います。
陣痛が始まってから子宮口が10センチに開くまでは、初産だと10~12時間、出産経験がある人は4~6時間です。
第1期は病室や待機室(陣痛室)で子宮口が開くのを待ちますが、LDRの施設がある病院では、その部屋で分娩できるLDR室で待機します。
第2期(娩出期)
子宮口が10センチに全開したら、いよいよ赤ちゃんが産道を通って出てくることができるようになります。子宮口が全開になってから赤ちゃんが出てくるまでが、第2期になります。
この状態になったら、分娩室へ移動します。初産の人は2~3時間、経産婦は1時間程度かかります。
第3期(後産期)
赤ちゃんが生まれたら出産終了というわけではありません。赤ちゃんが生まれても、まだ子宮内には胎盤が残っていますので、この胎盤が出て来ないと出産終了にはなりません。
胎児が生まれてから、胎盤が出てしまうまでの時期。
個人差はありますが、5~20分くらいです。
胎盤が出てくるときも、軽い陣痛が起こり、胎盤や卵膜などが出てきます。これで、出産は終了です。
陣痛の痛みや前触れの症状・出産の始まりから終わりについてのまとめ
・陣痛には、2種類あり前駆陣痛と本陣痛がある
・前駆陣痛は、生理痛とそれほど変わらない
・本陣痛は、時間がたつに連れて痛みが短くなっていき、痛みも強くなってくる
・陣痛の前触れの兆候と症状
「お腹が下がってくる」「胎動が減る」「お腹が張る」「おしるしがある」「おりものが増える」「トイレが近くなる」「便の回数が増える」「下痢になる」「足の付根が痛む」破水」
・陣痛が来た時に病院に行くタイミング
「陣痛が10分間隔」「破水をした「生理の多い日並みの出血がある」
・出産の始まりから終わりまでの流れは、開口期→娩出期→後産期の順番になる
陣痛の痛みや陣痛の前触れの症状、出産の始まりから終わりまでの流れをまとめました。「赤ちゃんには早く会いたいけれど、陣痛が怖くて仕方がない」というプレママも多いと思います。
でも、赤ちゃんにもお母さんにも出産に耐えられるだけの力が備わっていますから、リラックスして出産に臨みましょう。陣痛が来てから慌てなくて済むように、入院の準備は早めに行っておきましょうね。