「生理が来ない。妊娠しているかも?」と思った場合、ソワソワしてしまいますよね。産婦人科を受診して妊娠しているかどうかを調べてもらうのは恥ずかしいし、面倒くさい。そんな時は、市販の妊娠検査薬を使いましょう。
市販の妊娠検査薬を使えば、簡単に自宅で妊娠しているかどうかがわかります。妊娠検査薬の使い方やタイミングをまとめました。
この記事の目次
妊娠検査薬とは何?
妊娠検査薬とは、妊娠しているかどうかを自宅で簡単に検査できるものです。「検査薬」というと検査のために薬を服用するというイメージがあるかもしれませんが、妊娠検査薬はスティック状のものに尿をかけて検査するので、「妊娠検査キット」と言ったほうがイメージしやすいかもしれません。
妊娠しているかどうかを素早くチェック!
妊娠検査薬とは、妊娠しているかどうかを素早くチェックするものです。妊娠検査薬を使えば、病院に行かずに自宅で検査できるので、手軽に妊娠しているかどうかがわかるというメリットがあります。
妊娠検査薬は尿中に含まれるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の濃度がどのくらいかで判定します。
hCGは受精卵が子宮に着床してから、胎盤で分泌され始めます。hCGは子宮に着床後、次第に分泌量が増え始め、妊娠2~3ヶ月頃にピークを迎えます。
そのため、このhCGの濃度が一定以上であれば「妊娠している=妊娠陽性」、hCGが尿中になければ「妊娠していない=妊娠陰性」ということになるんです。
尿をかけるだけで簡単
妊娠検査薬は、体温計のような形をしたスティック状の検査キットに尿をかけるだけで簡単に検査することができますので、「妊娠検査薬」といっても薬を服用するわけではありませんし、採血など難しいことをする必要もありません。
病院に行かずに、自宅のトイレで誰でも、いつでも簡単に検査できるというメリットがあるのです。
高精度で妊娠を判定
妊娠検査薬は、高精度で妊娠を判定します。ほとんどの妊娠検査薬は、正しいタイミングで正しい使用方法で使えば、妊娠しているかどうかを99.9%の精度で判定することができます。
ただ、タイミングや使用法を間違うと精度は落ちますし、たとえ正しい使い方をしても、100%確実に判定するとは言えませんので、妊娠確定のためには産婦人科を受診する必要があります。
妊娠を早く知ることは大切!
妊娠検査薬を使ってまで、妊娠を早く知る必要はあるの?と疑問に思う人もいると思います。確かに、妊娠検査薬を使わなくても、生理が来ないままで、お腹が少し出てくるなどの変化があれば、妊娠に気づくことができるでしょう。
でも、妊娠しているかどうかを早く知ることは、とても大切なことなのです。妊娠初期はお腹の中の赤ちゃんの器官が形成されるとても重要な時期です。
そのため、妊娠初期はタバコやアルコール、放射線(レントゲンやCT)の影響を受けやすく、生活習慣が胎児奇形の原因となってしまうことがあるんです。
そのため、妊娠に早く気付いて、禁煙・禁酒、レントゲン検査は避ける、動物性ビタミンAの過剰摂取をしない、葉酸を摂る、風疹などの感染症を予防するなどの対策をしなければいけないのです。
妊娠検査薬を使うタイミングは?
妊娠検査薬で妊娠しているかどうかを正しく判断するためには、妊娠検査薬を使うタイミングがとても重要になります。
妊娠検査薬には一般的な妊娠検査薬と早期妊娠検査薬の2種類があって、それぞれ使うタイミングが違いますので注意しましょう。
一般的な妊娠検査薬
一般的な妊娠検査薬の場合、使うタイミングは生理予定日の1週間後になります。
一般的な妊娠検査薬は、hCGの濃度が50mIU/ml以上で反応が出るようになっています。
hCG値は妊娠3週で20~50ml/ml、4週で200ml/mlくらいになるため、妊娠検査薬を使用する際はhCG値が50ml/mlくらいになる妊娠3週目の終わりごろから4週初め頃、つまり生理予定日頃から陽性になる可能性があります。
しかし、個人差があるので生理予定日から1週間後からの検査が推奨されているのです。
妊娠4週が始まるのは生理予定日からになりますので、生理予定日ごろに検査をしても、妊娠していれば陽性が出ることがあります。
ただ、hCGの分泌のスピードは個人差が大きいので、生理予定日ごろでは妊娠しているのにまだhCG濃度が50mIU/mlを超えていない可能性があり、本当は妊娠しているのに「陰性だった」という検査結果になりかねないのです。
ですから、検査の精度を上げるためにも、生理予定日の1週間後に使うようにしましょう。
早期妊娠検査薬
妊娠検査薬の中には、早期妊娠検査薬というものがあります。早期妊娠検査薬はhCG濃度が25mIU/ml以上で反応が出ますので、一般的な妊娠検査薬よりも早期に妊娠しているかどうかがわかるのです。
hCGは着床後すぐに分泌が開始されて、生理予定日前には25mIU/mlを超えることが多いので、高精度で妊娠を判定することができます。
早期妊娠検査薬の中には生理予定日前から使用できるものもあります。ただ、生理予定日前に使用すると、hCG濃度がまだ25mIU/mlに達していないことがありますので、検査精度が低下します。
そのため、あまり早く使うと妊娠しているのに、陰性の結果が出ることもありますので、早期妊娠検査薬を使う場合は生理予定日以降に使うようにしてください。
生理不順の場合はどうする?
一般的な妊娠検査薬は生理予定日1週間後に、早期妊娠検査薬は生理予定日に使うと、99%の高確率で妊娠しているかどうかを判定することができます。
では、生理不順の場合はどうすれば良いのでしょうか?生理不順の女性は、「妊娠しているかも」と思っても、次の生理予定日が正しくわかりませんので、いつ妊娠検査薬を使えば良いのかわかりませんよね。
生理不順の女性が妊娠検査薬を使う場合は、以下のものを目安にしてみましょう。
前回の生理開始日+(前回の生理開始日-前々回の生理開始日)+1週間後が目安です
また、性交日の3週間後に妊娠検査薬を使うのも良いですね。妊娠していた場合、「性交日=排卵日前後」になりますので、性交日から3週間後には妊娠5週目に入ります。そうすると、hCG濃度は50mIU/mlを超えますので、妊娠しているかどうかの検査ができるでしょう。
妊娠検査薬の使い方
妊娠検査薬は、製品によって細かい使い方は変わってきますが、一般的な使い方をご紹介します。
妊娠検査薬と時計を用意
まずは妊娠検査薬と時計を用意しましょう。妊娠検査薬は尿をかけてから、1分後に判定できるものが多いので、尿をかけてから時計をチェックして、1分間待たなくてはいけません。
妊娠検査薬に尿をかける
トイレで妊娠検査薬の尿吸収部分に尿を3秒間かけましょう。上手くできない人は、紙コップ等に尿を取って、尿吸収部分を浸してもOKです。
1分間待つ
尿をかけた妊娠検査薬を平らな場所に置いて1分間待ちます。
検査結果を確認
1分間経ったら、検査終了窓にサインが現れます。それを確認してから、判定窓を確認して、陽性か陰性かをチェックしましょう。陽性なら妊娠している、陰性なら妊娠していないことになります。
妊娠検査薬は薬局か通販で
妊娠検査薬は薬局か通販で購入できます。一般妊娠検査薬は薬局やドラッグストアの陳列棚に並んでいるので、気軽に購入することができますが、早期妊娠検査薬は妊娠診断補助試薬という分類で、調剤室などに保管されています。
そのため、早期妊娠検査薬を薬局で購入する場合は、薬剤師に声をかけて、名前と連絡先を記入する必要があります。
インターネット通販では、一般妊娠検査薬と早期妊娠検査薬のどちらでも購入可能です。インターネットで購入できる早期妊娠検査薬は、アメリカ製やカナダ製になります。
妊娠検査薬で陽性!でも妊娠じゃない?
妊娠検査薬を使って陽性反応が出た場合、妊娠している可能性が非常に高いのですが、妊娠ではない可能性もあるのです。
妊娠検査薬はhCG濃度で判定しますので、妊娠していないにもかかわらず、何らかの原因でhCG濃度が高くなっている場合は陽性反応、つまり偽陽性が出ることもあるのです。
閉経後
閉経している女性が妊娠検査薬を使うと、妊娠陽性の判定が出ることがあります
脳下垂体から出る黄体化ホルモン(LH)は、胎盤由来の性腺刺激ホルモン(HCG)と殆ど同じ性格で、閉経後数年経つとこれが高値となりますが、妊娠反応すなわちHCGの定性反応をすると、LHをHCGと見なして見かけ上の陽性となってしまうことがあります。
引用:岡ドクターの相談室
hCG産生腫瘍の場合
胎盤を構成する絨毛にがん(絨毛上皮腫)ができるとhCGが過剰に分泌されるようになりますので、妊娠していないのに、妊娠検査薬で陽性となります。
絨毛上皮腫は前回の妊娠をきっかけに発生することが多く、特に胎状奇胎からガン化することが多くなっています。
性腺刺激ホルモン剤などの投与をしている
不妊治療などでhCGを投与している場合も、妊娠していないのに妊娠検査薬で陽性反応が出ます。
黄体機能不全などで妊娠しにくい女性は、hCGを注射することでプロゲステロンの分泌を促して、着床しやすくするのです。
ただ、hCGを投与しているということは、妊娠していないのに体内のhCG濃度が高いということになりますので、妊娠検査薬を使うと陽性反応が出てしまうのです。
高度の糖尿、蛋白尿、血尿
尿に不純物が多く混じっている場合、正確に検査できずに、陽性反応が出てしまうことがあります。
妊娠検査薬で陰性、でも生理が来ない理由
生理予定日を1週間過ぎて妊娠検査薬を使ったけれど、陰性だった。でも、やっぱり生理が来ないということもあります。そういう時は、どんな可能性が考えられるのでしょうか?
hCG濃度が十分でない
hCG濃度の上昇スピードは、個人差があります。生理予定日を1週間過ぎれば、ほとんどの人は50mIU/ml以上になっていますが、人によってはまだ50mIU/ml以下で陰性と出てしまう可能性がゼロではありません。
一度検査をして陰性だった場合、それでも生理が来なかったら、3~4日後にもう一度妊娠検査薬を使って検査をしてみましょう。
子宮外妊娠や流産、胎状奇胎
子宮外妊娠や流産をしている場合は、受精して妊娠しているといっても、hCG濃度が十分に上がりませんので、妊娠検査薬では陰性になり、さらに生理が来ないことがあります。
生理周期が不規則になった
妊娠検査薬で陰性になり、さらに生理が来ない場合は、ストレスなどの理由で生理周期が不規則になっている可能性があります。
疲れやストレス、寝不足などがある人は、今までは周期的に生理が来ていたとしても、突然生理周期が不規則になり、生理が1回飛んでしまう(2ヶ月後に来る)こともよくあります。
妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診しよう
妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診しましょう。妊娠検査薬だけでは妊娠確定というわけではないのです。
妊娠検査薬で陽性が出たとしても、説明したように妊娠していないのに陽性反応が出る可能性もあります。また、子宮外妊娠や流産でも陽性反応が出ることがあります。
そのため、妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診して、妊娠しているかどうかをきちんと確認しましょう。
では、妊娠検査薬で陽性が出たら、いつ頃産婦人科を受診すれば良いのでしょうか?
診察するほうからみると、早ければそれにこしたことはありません。 なぜなら、先ほどお話した異常妊娠が隠されていることがあるからです。
子宮外妊娠かどうかは、胎嚢の有無で確認することができます。胎嚢は経膣エコーで妊娠5週ごろから確認できることが多いんです。
一般の妊娠検査薬は生理予定日の1週間後、つまり妊娠5週ごろに使いますので、妊娠検査薬で陽性が出たら、1週間以内(妊娠5~6週)で産婦人科を受診すると良いでしょう。
妊娠検査薬を使うタイミング・使い方・偽陽性と陰性についてのまとめ
・妊娠検査薬の使い方は、スティック状の検査キットに尿をかけるだけでOK
・妊娠検査薬は、妊娠しているかどうかを99.9%の精度で判定することが可能
・妊娠検査薬を使うタイミングは、生理予定日の1週間後が目安
・妊娠検査薬で妊娠していないのに陽性が出た場合
「閉経している」「性腺刺激ホルモン剤の投与がある時」
・妊娠検査薬で陰性が出て生理がこない場合の対処法
「3~4日後にもう一度妊娠検査薬を使う」「子宮外妊娠や流産、胎状奇胎の可能性」「生理周期が不規則」
・妊娠検査薬で陽性が出たら、1週間以内に産婦人科へ行く
妊娠検査薬を使うタイミングや正しい使い方、偽陽性や陰性の可能性についてまとめました。できるだけ早く妊娠を知りたいから、早く妊娠検査薬を使いたいと思うかもしれませんが、フライングで妊娠検査薬を使ってしまうと、妊娠しているのに陰性と出てしまい、正しい結果を得ることができません。
そのため、妊娠検査薬を使う場合は、正しいタイミングを守るようにしましょう。また、妊娠検査薬で陽性が出た場合も、妊娠確定というわけではありませんので、陽性が出たら、産婦人科を受診して下さいね。