妊娠がわかって喜んだ後に気になるのが出産予定日ですよね。出産予定日ってどうやって計算するのでしょうか?
また、出産予定日がわかっても、必ず予定日どおりに産まれるというわけではありません。出産予定日になっても、なかなか産まれないこともあります。予定日から遅れる時の原因や遅れた場合どんな影響があるのかをまとめました。
この記事の目次
出産予定日とは?
出産予定日とは何でしょうか?妊娠期間は280日間とされていますので、妊娠した日から280日後が出産予定日となります。
これは、WHO(世界保健機構)が次のことを定義していることから出産予定日が導き出されています。
・正常妊娠持続日数は280日とする
・28日を妊娠歴の1ヶ月と定め、妊娠持続を10ヶ月とする
・7日を一週と定め、妊娠持続を40週とする
・妊娠満週数で数えることとする
このことから、出産予定日は妊娠開始から280日後とされているんです。
ただ、出産予定日に必ず赤ちゃんが生まれてくるわけではありません。実は、出産予定日に出産する妊婦さんは全体の5%しかないのです。
そのため、出産予定日はあくまで「出産予定日」であり、この日に生まれるというわけではありませんので、「このあたりで出産」という目安にしておくと良いでしょう。
出産予定日の計算法
出産予定日は妊娠してから280日後になりますが、具体的にどうやって計算すれば良いのでしょうか?簡単にできる出産予定日の計算法を教えます。
妊娠開始は最終生理開始日
出産予定日を計算するためには、まずは妊娠開始日を知る必要があります。あなたは妊娠開始日、つまり妊娠0日はいつなのか知っていますか?
妊娠開始日は最終生理開始日のことです。決して、性交した日(受精した日)でも着床した日でもありません。最終生理開始日が妊娠0日、妊娠した日ということになります。
そのため、妊娠0日はまだ妊娠していないのです。妊娠0日から14日後前後(妊娠2週目)に性交して受精し、21日目ごろ(妊娠3週目)に着床して、妊娠成立ということになります。
時々、性交した日(妊娠2週目)を妊娠開始日と勘違いしている人がいます。出産予定日を聞いて、妊娠した日を逆算することで、「あれ?その頃は性交していないのに」と浮気を疑うような男性もいますよね。
でも、性交した日はもう妊娠14日目前後になっていますので、誤解しないようにしましょう。
出産予定日はネーゲレ概算法で計算
出産予定日は、最終生理開始日から280日後になりますが、最終生理開始日から280日後はいつなのかを数えるのは面倒ですよね。簡単にできる出産予定日の計算方法を教えます。
簡単な出産予定日計算法とは、ネーゲレ概算法です。ネーゲレ概算法は簡単な足し算と引き算で、誰にでもすぐに出産予定日を計算することができます。
<ネーゲレ概算法>
- 1.最終の生理開始日を把握する
- 2.最後の生理があった月から3を引くと、出産予定月になる。
- 3.最終生理開始日から7を足すと、出産予定日になる。
(例)
・最終生理開始日が6月10日だった場合
6月-3=3月
10日+7=17日
出産予定日=3月17日
(例)
・最終生理開始日が1月25日だった場合
1月-3=10月
25日+7=32日
出産予定日=10月32日=11月1日
これなら誰にでも簡単に出産予定日がわかりますね。
最後の生理開始日がわからない時は医師まかせて
最終生理開始日を忘れてしまったという人もいると思います。特に、普段から生理不順だったり、予定外の妊娠をした人は、最終の生理開始日を覚えていないという人も多いですよね。
そういう場合は、どうやって出産予定日を計算すれば良いのでしょうか?最終生理開始日を忘れてしまったという人は、産婦人科の先生にまかせましょう。
最終生理日がわからなくても、エコーで赤ちゃんの大きさを測ることで、今妊娠何週何日なのかが大体わかりますので、そこから出産予定日を計算することができるのです。
また現在では妊娠8~11週頃に超音波検診でより正確な妊娠週数と出産予定日が分かるようになってます。
ですから、最終生理開始日がわからないからといって焦る必要はありません。産婦人科で検査をすれば、医師が出産予定日を計算してくれますので安心してください。
予定日を過ぎても生まれない!これって異常?
出産予定日はあくまでも「予定日」ですので、必ず出産予定日に生まれるわけではありません。そのため、出産予定日を過ぎても生まれないことは珍しいことではないのです。
出産予定日を過ぎても生まれないからといって、焦る必要はありません。出産には個人差がありますので、出産予定日を過ぎても生まれないことが多々あるんです。
出産予定日は妊娠開始から280日後、40週0日になっていますが、出産予定日に生まれなくても異常ということはありません。
正期産、つまり正常なお産は37週0日から41週6日までの5週間に出産することです。そのため、出産予定日にこだわる必要はありません。
37週未満のお産を早産、37~42週未満のお産を正期産、42週以降のお産を過期産と呼びますが、400万例の自然分娩を調べた結果では、早産は11%、過期産は9%の頻度で認められ、残りが正期産となっています。
予定日よりも遅れて過期産になるとどうなるの?
42週以降のお産は過期産と呼ばれます。出産全体の9%は過期産ですので、決して珍しいことではありません。
では、予定日よりも遅れて過期産になると、どうなるのでしょうか?過期産は主に2つの問題点があります。
胎盤機能の低下
赤ちゃんとお母さんをつないでいる胎盤は、赤ちゃんに栄養や酸素を送っている重要なものです。42週以降になると、この胎盤機能が低下してきます。
胎盤にも寿命があるのです。41週を過ぎると、胎盤の機能が少しずつ低下してくるとされています。そうすると、赤ちゃんに十分な栄養と酸素が行き届かなくなります。
出産は赤ちゃんにも大きなストレスを与えるものですが、十分な栄養と酸素が行き届かないため、赤ちゃんが出産のストレスに耐えきれなくなる可能性が出てくるのです。
羊水の減少
妊娠後期の羊水は、赤ちゃんのおしっこから作られています。出産予定日が過ぎると、赤ちゃんの腎血流量が減りますので、おしっこの量が減り、羊水が減ってしまうのです。
羊水は赤ちゃんやへその緒のクッション的な役割を果たしています。羊水が少ないと、出産で子宮が収縮した時にへその緒や赤ちゃんが圧迫されてしまいます。
“へその緒”は赤ちゃんの命綱であるわけですから、この事態が続けば赤ちゃんにとっては一大事ということになります。実際、過期産の問題点として、胎盤の機能低下よりも羊水量の減少の方がリスクが大きいと考える研究者もいます。
予定日よりも遅れる時の赤ちゃんへの影響は?
予定日よりも遅れて、42週以降の過期産で出産した場合、赤ちゃんにはどのような影響があるのでしょうか?
過熟児
予定日よりも遅れると、胎盤の機能が低下して、十分な酸素が遅れなくなりますので、赤ちゃんは過熟児と言われるような特徴が現れます。
過熟児の特徴は次のようなものです。
・皮下脂肪が少なく痩せている
・皮膚が黄色い
・落屑があって表皮の一部がはがれている
・手のひらや足の裏がシワシワ
・皮膚が乾燥している
この状態をクリフォード症候群と呼びますが、これは栄養不足・酸素不足が原因なんです。
また、胎盤の機能が低下することで、胎児仮死のや低酸素症、低血糖症などリスクが高まります。
巨大児
お母さんのお腹の中に長くいると、赤ちゃんはそれだけ大きくなります。分娩時の赤ちゃんの体重が4000gを超えると、巨大児に分類されますが、赤ちゃんが大きくなると、お母さんの産道を通りにくいというデメリットがあります。
例えば、赤ちゃんの方がお母さんの恥骨に引っかかる肩甲難産になったり、分娩時にいろいろなところに引っかかったりこすれたりするので外傷ができたり、お母さんの外陰部や膣の重度裂傷が起こりやすいのです。
胎便吸引症候群
胎便吸引症候群とは、お腹の中で赤ちゃんが自分の便を多量に吸い込んでしまう状態のことです。これは、胎盤の機能が低下することで、赤ちゃんに十分な酸素が行き届かなくなることが原因で起こります。
赤ちゃんが酸素不足になると、苦しくなって、便をしてしまうんです。そして、便が混じった羊水を飲み込んでしまうことがあります。
混濁した羊水をたくさん気管支に吸い込みますと出生後に「胎便吸引症候群」という重症肺炎をひきおこすことがあり、命取りになる可能性もあります。
出産予定日よりも遅れる原因は?
出産予定日よりも遅れて、過期産になる原因には、次のようなものがあります。
・妊娠高血圧症
・妊娠糖尿病
・腎盂腎炎
これらは妊娠の合併症になります。妊娠20週から分娩時までに高血圧があったり、蛋白尿が出た場合は、妊娠高血圧症と診断されます。
また妊娠中は血糖値を上げるホルモンが分泌されるため、血糖値が高い状態が続きやすく、妊娠前は糖尿病ではないのに、妊娠したことで糖尿病を発症することがあるんです。
さらに、妊娠すると子宮が大きくなることで尿管を圧迫しますので、腎盂腎炎を発症しやすくなります。
つまり、過期産を避けて、出産予定日前後に出産するためには、妊娠中の体調管理が重要になるのです。
これらの妊娠の合併症以外に、次のことも予定日よりも出産が遅れる要因になることがあります。
・高齢
・初産
・出産への不安や恐怖などのストレス
・体重の増加
高齢出産や初産の人は、子宮口が硬いですので、子宮口がなかなか開かないことがあります。また、ストレスでも出産が遅くなることがあります。
また、体重が増えすぎた妊婦さんは難産になりますので、妊娠初期から体重管理をしっかり行う必要があります。
日本では過期産になることはほとんどない
出産予定日よりも遅れてしまった場合、赤ちゃんにもママにもリスクがありますが、あまり過期産の心配をする必要はありません。
なぜなら、日本では42週に入る前に誘発分娩を行って、出産するからです。42週以降の過期産のリスクを考えるなら、誘発分娩を行ったほうが良いのです。
誘発分娩は陣痛促進剤を投与して、薬の力で陣痛を起こしたり、バルーンを入れることで子宮口を開いたりします。それでも分娩できない場合は、帝王切開を行うことになります。
誘発分娩は赤ちゃんやママの状態にもよりますが、41週3~4日で行うことが多いので、出産予定日になっても、前駆陣痛やおしるしなど全く出産兆候が現れない場合は、誘発分娩を行う可能性、また帝王切開になる可能性を覚悟して、心の準備をしておきましょう。
出産予定日の計算方法や予定日から遅れた原因についてのまとめ
・出産予定日の計算方法
「ネーゲレ換算法」「最終生理開始日の月-3で出産予定月になり最終生理開始日から7を足すと出産予定日となる」
・出産予定日から遅れて過期産になると胎盤機能の低下や羊水の減少が起こる
・出産予定日が遅れると赤ちゃんへの影響は、過熟児になったり巨大児になってしまう
・出産予定日より遅れる原因
「妊娠高血圧症」「妊娠糖尿病」「腎盂腎炎」
・日本では42週に入る前に誘発分娩を行うため、過期産になることは滅多にない
出産予定日の計算方法や予定日から遅れた場合の原因や赤ちゃんへの影響などをまとめました。出産予定日は最終生理開始日が妊娠0日であることを間違えないようにしてください。
また、出産予定日に生まれることはそれほど多くないので、出産予定日は目安程度に考えておきましょう。
出産予定日よりも遅れると赤ちゃんや母体に悪影響がありますので、妊娠初期から体重管理・体調管理をしっかり行っておくと良いでしょう。