あなたは体温の正常値や自分自身の平熱を知っていますか?発熱した時には、すぐに気づくことができるように、体温の正常値や正しい体温の測り方を知っておく必要があります。
体温の正常値や体温が変動する要因、体温の正しい測り方をまとめました。体温について、ここでもう一度勉強しておきましょう。
体温の正常値は?
体温の正常値はどのくらいか知っていますか?体温の正常値、つまり平熱のことですね。「体温の正常値は36℃くらいでしょ?」と思ってるかもしれませんが、それは誤解です。
わきの下で体温を測定した場合、日本人の正常値は、36.8℃前後と言われています。
0歳から50歳前後の健康な男女3000人以上に対し、実測で30分測ったときの体温の平均値は、36.89℃±0.34℃(ワキ下検温)になります。
引用:発見!体温を正しく測れている人は少ない? 結果詳細・ドクター解説|活動報告|テルモ体温研究所とは|テルモ体温研究所
わきの下で体温を測った場合、36.6℃から37.2℃であれば、正常値と言えるのです。思ったよりも高い数字が出て、驚いた人も多いのではないでしょうか?
「私、いつもわきの下で測っても、36℃くらいなんだけど。」という人もいると思います。それは、きちんと正しく体温を測れていないからかもしれません。
また、36.6℃から37.2℃が正常値と言っても、体温は個人差がありますので、あなたはたまたま平熱が正常値よりも低めだったという可能性もあります。
37℃=発熱ではない
わきの下で測定した場合の体温の正常値は、36.6~37.2℃であることがわかりました。この体温の正常値を見て、「あれ?」と思った人もいると思います。
なぜなら、私たちの常識の中では、「37℃=発熱!」だからです。「37℃以上は発熱している」と子供のころから教えられてきましたよね。
水銀の体温計では、37℃に赤いラインがあって、それ以上だと熱が出ている証拠とされていました。
でも、日本人の体温の正常値を見ると、「37℃=発熱している」とは言えないのです。感染症法でも、37℃=発熱としているわけではありません。
感染症法では、37.5℃=発熱、38℃=高熱と定義しています。そのため、37℃=発熱という常識は捨ててしまいましょう。これからは、37℃=平熱、37.5℃=発熱、38℃=高熱という意識を持つようにしましょう。
体温を測る場所はわきの下だけではない
体温を測る時には、あなたはいつも体のどの部位で測っていますか?大多数の人がわきの下では買っていると思います。市販されている体温計のほとんどが「腋下用」の体温計ですよね。
でも、体温を測る場所はわきの下だけではないことを知っておきましょう。体温を測る場所は、次のようなところがあります。
・口の中(舌下温)
・耳の中(鼓膜温)
・肛門(直腸温)
赤ちゃんは口の中や耳の中の体温を測ることもありますね。また、新生児の場合、病院では直腸温を図ることがよくあります。
体温は測る部位によって、正常値が異なることを知っていますか?わきの下を基準にすると、舌下温と鼓膜音は+0.5℃、直腸音は+0.5~1.0℃高いのが普通です。
そのため、子供の体温を耳で測って、「大変!37.5℃ある!熱が出ている!」と思って慌てないようにしましょう。
鼓膜音は腋下温よりも0.5℃程度高いのが普通ですので、腋下で測ってみると、正常値だったということがよくあるのです。
体温が変動する4つの要因
体温はいつも一定ではありません。病気ではなくても、様々な要因で変動します。体温が変動する要因を確認しておきましょう。
日内変動
体温は1日の中でも大きく変動することを知っていますか?朝の体温は正常値だったのに、夜になると熱が上がったという経験を持つ人は多いと思います。
生理的に午前2時から6時が最低となり、午後5時から7時が最高となります。
朝は体温が低めになり、夕方になると体温が上がるんですね。
女性ホルモンのバランス
体温が変動する要因の2つ目は、女性ホルモンのバランスです。月経がある女性は、低温期と高温期があることは、ご存知だと思います。
月経開始から排卵までは低温期、排卵から月経開始までが高温期になります。低温期と高温期の差は0.3~0.5℃程度あるのが一般的です。0.5℃の差は大きいですよね。
そのため、「あれ?微熱っぽい」と思っても、それは発熱ではなく、高温期のために熱が高めになっているということも十分に考えられるのです。
年齢
体温は年齢によっても変動します。子供はやや体温が高めであり、高齢になると体温が低下する傾向にあります。これは、体の新陳代謝が年齢を重ねるにつれて、低下していくため、体の熱の産生量が少なくなるからなんです。
運動や食事
運動や食事によっても、体温は変動します。運動をすると、筋肉を動かしますので、熱が産生されて、体温が上がります。
また、食事をした後も、消化した栄養素が分解される時に熱を発生させますので、体温が上がるのです。この食事によって熱が産生されることを、「食事誘導性熱代謝」と言います。
運動後や食事後は体温が普段よりも高くなっていることが多いのです。
体温の正しい測り方
体温の正常値や基礎知識がわかったところで、体温の正しい測り方を確認しておきましょう。ここでは、わきの下で測る時の正しい測り方をご紹介します。
注意事項
食事後や運動後、入浴後は普段よりも体温が高くなっていますので、そのタイミングで体温を測るのはやめましょう。食事、運動、入浴後は30分~1時間はあけるようにしておきましょう。
準備
体温を測る前に、わきの下をチェックしてください。汗をかいていたら、しっかりふき取ってから測るようにしましょう。
特に、子供は汗っかきで、わきの下に汗をかいていることが多いので、体温を測る前には、必ずわきの下の汗をチェックしてあげましょう。
体温の測り方
①わきの下にしたから斜め上に向けて、体温計を入れる。この時にわきの下のくぼみの中央に、体温計の先端が当たるようにする。
②わきが密閉するように、わきをしっかり閉じて、肘と上腕をわき腹に密着させる。片方の手で、体温を測っている方の腕や肘あたりを軽く抑えるようにする。
③体温計を動かさず、そのままの姿勢でじっと待つ。
④計測終了時間になったら、体温計を取り出して、体温をチェックする。計測時間は体温計によって異なるので、体温計の説明書に従って、計測時間を守るようにしましょう。
自分の体温・平熱を知っておくことが大切
体温の正常値や測り方を説明してきましたが、体温はいつも一定ではありません。また、個人差も大きいんです。
低体温気味の人は、体温の正常値である36.6~37.2℃の範囲内に入っておらず、35℃台という人もいるでしょう。でも、きちんと正しく測って、平熱が35℃台なのであれば、それは異常ではなく、個人差ということになります。
逆に体温が高めで、いつも37.4~37.5℃前後という人もいるでしょう。体に何の異常もなく、体温がいつも高めという場合も、特に平熱が高いから問題というわけではないのです。
そのため、異常かどうかを知るためには、まずは自分の平熱を知っておく必要があります。
まずは、朝と夕方に1回ずつ、体調の良い時に体温を測っておきましょう。これがあなたの平熱になります。女性は低温期なのか、高温期なのかも確認しておきたいですね。
自分の体温はどのくらいか、平熱はどのくらいかを知ることで、今発熱してるのかどうかを正確に知ることができますので、平熱がどのくらいなのかを把握しておくようにしましょう。
体温の正常値・変動要因・正しい測り方についてのまとめ
・日本人の体温の正常値は「36.8℃前後」37℃は発熱ではない
・体温を測る場所は脇の下だけではない
・体温が変動する原因
「日内変動」「女性ホルモンのバランス」「年齢」「運動や食事」
・体温の正しい測り方
「脇の下の汗をしっかり拭き取る」「食事や運動、入浴後は30~1時間はあける」
体温の正常値と変動要因、正しい体温の測り方をまとめました。体温は個人差がありますので、まずは自分自身の平熱がどのくらいなのかを知っておく必要があります。
また、平熱を知るためには正しく体温を測る必要がありますので、体温はきちんと正しく測れるように、体温の測り方をマスターしておくと良いでしょう。