妊娠するのは嫌だし、子どもを持つなんてまだ考えられないけれど、行為は楽しみたいという人は、安全日と危険日を気にしますよね。「今日は安全日だから大丈夫」なんて言葉を聞いたことがある人もいると思います。
安全日と危険日とは何か、どうやって計算するのか、安全日と危険日の妊娠確率、妊娠確率を下げる方法をまとめました。
この記事の目次
安全日と危険日とは何?
「今日は安全日だから大丈夫」なんて言葉を耳にしたことがあるかもしれません。妊娠はしたくないけれど、行為は楽しみたい人にとっては、安全日と危険日が気になりますね。
そもそも、安全日と危険日ってどんな時期なのでしょうか?今さら聞けない安全日と危険日とは何かを知っておきましょう。
・安全日=妊娠しにくい時期
・危険日=妊娠しやすい時期
安全日はセックスをしても妊娠しにくく、危険日はセックスをすると妊娠する可能性が高い時期のことです。安全日と危険日という呼び方は医学的なものではなく、俗称にすぎません。
妊娠を望んでいるカップルにとっては、妊娠しやすい時期が「危険日」とされるのは、イマイチ納得できないかもしれませんね。
安全日と危険日とはいつのこと?
妊娠しやすい安全日と妊娠しにくい危険日とは、一体いつのことなのでしょうか?安全日と危険日は女性の生理周期にと深い関連があります。
女性の生理周期は4つに分かれている
出典:we-toyama.jp
女性の生理周期は月経期と卵胞期、排卵期、黄体期の4つに分かれています。
【月経期】
月経期は生理がある時期のことです。月経期は3~7日程度あることが多いですね。
【卵胞期】
卵胞期はエストロゲンが分泌されることで、卵巣の中で卵胞が成熟される時期です。卵胞期は生理が終わった後から排卵期まで7 ~10日前後になります。
【排卵期】
卵巣の中で成熟した卵子が、卵胞を破って飛び出し、排卵が起こります。
【黄体期】
黄体期はプロゲステロンの分泌量が増え、妊娠に備えて子宮内膜が分厚く柔らかく変化します。黄体期は生理周期の長さに関係なく、健康な女性であれば14日前後と決まっています。
卵子と精子の生存期間を考慮
女性の生理周期の4つの期間がわかったら、次は卵子と精子の生存期間を学びましょう。そうすれば、安全日と危険日がいつなのかが見えてきます。
<卵子と精子の生存期間>
・卵子=24時間(受精できるのは8~10時間)
・精子=2~5日
これを考えると、危険日は排卵日の5日前から排卵日の翌日まで、それ以外は安全日ということになります。
安全日と危険日の計算方法
危険日は排卵日の5日前から排卵日の翌日まで、安全日はそれ以外の日になりますが、安全日と危険日を把握するためには、排卵日がいつなのかを計算しなければいけません。
安全日と危険日を把握するために、排卵日の計算方法を4つご紹介します。
オギノ式
オギノ式とは医学博士の荻野久作氏が提唱した月経周期に関する学説を基に排卵日を計算する方法です。
オギノ式は月経の周期に関わらず、次の生理予定日から14日前とその前後2日間を合わせた合計5日間の中で排卵が起こるとされたものです。つまり、次の生理予定日から12~16日前が排卵日になるということですね。
このオギノ式は生理周期が一定の女性にしか当てはまらないので、確実に排卵日がわかるというわけではありません。いつもは生理周期が安定しているという人でも、体調不良やストレスで、生理周期がずれてしまうこともあります。
実際に、オギノ式での避妊は失敗率が高いんです。
荻野式では1年間の失敗率(1年間同じ避妊方法を続けた時に妊娠してしまう確率)が最大25%と失敗率が高く、単独での使用は勧められません。
引用:荻野式、ペッサリーなど – 南足柄レディースクリニック | 大雄山駅前で婦人科・老年精神科・漢方診療を行っています。日帰り手術も可能。
そのため、オギノ式では確実には排卵日がわからない、つまり安全日と危険日がわかるというわけではなく、あくまで目安にしかならないのです。
福さん式
排卵日の計算方法の2つ目は、福さん式です。この福さん式は助産師の福さんがインターネット上で発表した排卵日の計算方法で、膣に指を入れて子宮口の位置や硬さ、開き具合、おりものの状態を調べることで、排卵日を特定する方法になります。
排卵日の2~3日前から子宮口やおりものは次のような変化を示します。
・子宮口が緩く開いている
・子宮口付近が柔らかくなる
・おりものの量が増える
・おりものの性状は透明で卵白のような感じ。指でつまむと伸びる
このような変化を見逃さないためには、生理が終わったら、毎日チェックしておく必要があります。
<福さん式のやり方>
①爪を短く切り、石鹸で手を洗う
- ②足を肩幅に広げる
- ③膣壁にしながら、指を挿入する
- ④膣の奥に突き当たったら、盛り上がっているところ(子宮口)を探す。
- ⑤子宮口の位置や肩さ、開き具合を確認
- ⑥子宮口周りのおりものをぬぐって、性状を確認
福さん式は膣に指を入れるので、膣を傷つけないように、また不潔にしないように気をつけて行いましょう。
ただ、この福さん式は排卵日2~3日前の変化を知るものですので、危険日である排卵日5日前を知ることはできません。そのため、福さん式だけでは危険日を正確に把握することはできません。
基礎体温の計測
基礎体温を計測することでも、排卵日を計算することができます。女性の体温は、月経期と卵胞期、排卵期の14日間は低め(低温期)であり、排卵後から生理が始まるまでの黄体期は体温が高め(高温期)になることがわかっています。
女性の体温は排卵を機に低温期から高温期に切り替わることが多いので、毎日基礎体温を計測しておけば、いつごろ排卵が起こるかが予測できるのです。
ただ、低温期の最終日が排卵日というわけではありません。
確かに最低温の日が排卵の時もありますが、いつも排卵日であるというわけではありません。
(中略)
高温になって3-4日過ぎていれば排卵は起きたあとと思われますが、1-2日の高温ではまだ排卵していないこともあります。
引用:基礎体温が下がったら排卵? | みずうち産科婦人科 * 北海道旭川市の婦人科・不妊症のクリニック、みずうち産科婦人科
基礎体温を測っていても、あとから基礎体温のグラフを見直して「あぁ、この日が排卵日だったんだ」と気づいたり、「このあたりが排卵日かな」と予測することはできても、「この日に確実に排卵する」とわかることはありません。
排卵検査薬
排卵日の計算方法の4つ目は、排卵検査薬を使うことです。排卵検査薬は黄体形成ホルモン(LH)の濃度で排卵を予測します。
黄体形成ホルモンは排卵を促して、エストロゲンとプロゲステロンの分泌を促すホルモンですので、その濃度が上昇してくると、排卵が近いことがわかるのです。
排卵検査薬は尿や唾液のLH濃度で判定しますが、排卵日の1~2日前にしか陽性反応が出ませんので、危険日と安全日を正確に把握するのは難しいでしょう。
これらの排卵日の計算方法は、基本的に安全日と危険日を把握するためのものではなく、排卵日を予測して、妊娠しやすくするためのものなんです。
安全日でも妊娠しないわけではない!
ご紹介した4つの排卵日の計算方法で排卵日がわかれば、ある程度安全日と危険日を予測することができます。
ただ、1つ注意しなければいけないのは、安全日と危険日は100%確実なものではないことです。
危険日にセックスをしても確実に妊娠するわけではありません。自然妊娠の妊娠確率は、30%程度されています。
排卵1回あたりの自然妊娠率はおよそ30%程度。
そして、安全日にセックスをすれば、妊娠しないというわけではありません。あくまで、妊娠「しにくい」時期なのです。
女性の生理周期はとても敏感なものです。ストレスや体調などによって、すぐに変化します。そのため、今までは生理周期が一定だった人でも、ちょっとしたストレスで乱れることがあります。
排卵が早まることもありますし、遅くなることもあります。そのため、「この日なら絶対に妊娠しない安全日」という日はないのです。
生理中なら絶対に妊娠しないという噂を聞いたことがあるかもしれませんが、それも間違いです。
たとえば、生理周期がずれた場合、生理が終わった後2~3日後に排卵するという可能性も十分にあります。
精子は卵管内で2~5日間は生存できますので、生理後2~3日で排卵があった場合、生理中にセックスをしたら妊娠する可能性があるのです。
ですから、「この日なら絶対に安全!妊娠しない!」という日はありません。ですから、いつでも危険日と思って、妊娠を望まないなら、きちんと避妊をしておく必要があるのです。
妊娠確率を下げる方法
この日なら絶対に妊娠しないという安全日はありません。そのため、妊娠を希望しないけれど、セックスを楽しむなら、安全日と危険日を計算するだけでなく、妊娠確率を下げる方法を実践する必要があります。
膣外射精
妊娠確率を下げる方法の1つ目は、膣外射精です。これは最初に言っておきますが、「妊娠確率を下げる」方法であって、避妊法ではありません。
膣外射精とは、射精をする時は膣の中ではなく、膣の外で射精をすることです。ただ、精子は射精の前から出ていますので、射精の瞬間だけ膣の外に出しても、完全に妊娠を防ぐことはできません。妊娠確率を下げるだけです。
また、射精の瞬間に膣外に出すのを失敗してしまうこともあります。そのため、膣外射精は避妊法ではなく、あくまで妊娠確率を下げる方法なのです。
ペッサリー
ペッサリーを使うことも妊娠確率を下げることができます。プラスチック製のリング状のものを子宮口に装着することで、子宮口にふたをして妊娠確率を下げます。
このペッサリーは婦人科で処方してもらう必要があります。また、このペッサリーも確実に避妊できるわけではありません。
ペッサリーの1年間の失敗率は最大20%、殺精子剤は26%と、やはり失敗率は高いです。
引用:荻野式、ペッサリーなど – 南足柄レディースクリニック | 大雄山駅前で婦人科・老年精神科・漢方診療を行っています。日帰り手術も可能。
そのため、ペッサリーも妊娠確率を下げるためのものであり、確実に避妊できるものではありません。
コンドーム
妊娠確率を下げる方法には、コンドームもあります。コンドームは、最もポピュラーな避妊法ですね。ご存知だと思いますが、コンドームは男性器にゴム状の袋をかぶせて、精子が子宮に入るのを防ぎます。
このコンドームはポピュラーな避妊法ですが、正しく使用しないと失敗する確率が高いので、気をつけなければいけません。
コンドームの妊娠率(失敗率)は3~14%と意外に高いのです。有効期限を過ぎたものを使用したり、正しく装着されない場合は避妊に失敗しかねません。
IUD
IUDはプラスチック製や金属製の器具を子宮内に入れて、受精卵が子宮に着床するのを防ぐ方法になります。
一度挿入すれば2~5年はそのまま使用できますが、不正出血があったり、生理痛が強くなることもありますので、定期的に婦人科で検査を受ける必要があります。
低用量ピル
低用量ピルを服用することでも、妊娠確率を下げることができます。ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれていて、毎日規則的に飲むことで、排卵を起こさないようにします。
低用量ピルはきちんと飲めば、避妊効果は非常に高いですし、女性の意志で確実に妊娠確率を下げられる、避妊できるというメリットがあります。
ただ、吐き気や倦怠感、頭痛などの副作用が出ることがありますし、持病や年齢によっては使えないこともあります。
避妊に失敗してしまったら、すぐに産婦人科へ!
危険日と安全日を計算して、さらに妊娠確率を下げる方法、例えばコンドームを使ってセックスをしたけれど、コンドームが破れてしまった、使い方を間違ったなどで、避妊に失敗したという時もあると思います。
そういう時は、「妊娠したらどうしよう?」と次の生理が来るかどうかをドキドキしながら待つのではなく、産婦人科を受診しましょう。
産婦人科を受診すれば、緊急避妊薬(モーニングアフターピル)を処方してもらえます。
「運悪く、コンドームが破れてしまった」そんな時、望まない妊娠を避けるために用いる薬です。ホルモン剤を飲むことによって、受精卵の着床を防ぎます。
セックスをした後に72時間以内にモーニングアフターピルを服用すれば、ほぼ確実に妊娠を防ぐことができます。
安全日と危険日の計算方法や妊娠確率を下げる方法についてのまとめ
「オギノ式」「福さん式」「基礎体温の測定」「排卵検査薬」
・妊娠確率を下げる方法
「ペッサリー」「コンドーム」「IUD」「低用量ピル」
・避妊に失敗してしまった時の方法
「産婦人科へ行き、緊急避妊薬(モーニングアフターピル)を処方してもらう」
安全日と危険日の計算方法や妊娠確率を下げる方法をまとめましたが、いかがでしたか?安全日や危険日は、あくまで目安であって、安全日なら確実に妊娠しないというわけではありません。
また、一般的に避妊法とされている方法でも、妊娠確率を下げることはできるものの、確実に避妊できるわけではありませんので、その点は注意しましょうね。
妊娠を希望していないけれど、セックスを楽しむためには、正しくコンドームを使用したり、低用量ピルを飲むなど、確実に避妊できる方法を選ぶようにしてください。