血糖値の正常値はどのくらいでしょうか?血糖値が高いと糖尿病になることは、皆さんご存知だと思いますが、血糖値が低くなりすぎることも問題なのです。最悪の場合、死に至ることもあります。
血糖値の正常値や血糖値が低い原因、血糖値を上げる方法をまとめました。過激なダイエットをしていると、低血糖になってしまうこともありますので、低血糖についての基礎知識を学びましょう。
血糖値の正常値は?
血糖値の正常値はどのくらいでしょうか?血糖値を気にする時は、「高くないかな?」とか「糖尿病じゃないかな?」と不安になることはあっても、「低すぎるかも?」という心配をする人はあまりいませんよね。
一般的に高血糖を心配しても、低血糖を心配する人はいないので、血糖値の正常値の上限は知っていても、下限を知っている人は少ないかもしれません。
空腹時血糖値の正常範囲は以下の通りです。
基本的に、血糖値は下がり過ぎないように調整されています。血糖値を下げるホルモンは、インスリン1種類しかありませんが、血糖値を上げるホルモンはグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど複数がありますので、これらのホルモンの影響で、一定以上は下がらないのです。
ただ、何らかの原因で、血糖値が70mg/dl未満に下がってしまうことがあります。70mg/dl未満に下がってしまうと、低血糖に分類されるのです。
低血糖の症状
低血糖の症状は、血糖値によって異なります。また、無自覚低血糖といって、低血糖になっているにもかかわらず、なかなか自覚症状が現れず、命の危険があるところまで血糖値が下がって、意識障害やけいれんなどの深刻な症状が突然出ることもあります。
50~70mg/dl・・・異常な空腹感・あくび
40~50mg/dl・・・だるい・無表情・会話の停滞・学習力減退
30~40mg/dl・・・冷や汗・脈が速い・腹痛・振るえ
20~30mg/dl・・・奇妙な行動・意識喪失
20mg/dl以下・・・痙攣・深い昏睡
このような症状は、必ずしも出るとは限りませんが、けいれんや深い昏睡などの重篤な症状が出てくると、命の危機に面しているので、すぐに救急車を呼んで病院で治療しなければいけません。
血糖値が低い6つの原因
血糖値は、基本的には70mg/dl未満になることはありません。先ほども言いましたが、体は血糖値が下がり過ぎないように調節しているからです。
でも、ちょっとした原因で、血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。血糖値が低い原因は6つあります。激しいダイエットをしている人は要注意ですよ。
不適切な食事
血糖値が低い原因の1つ目は、不適切な食事をしていることです。ダイエットをしようと思って、食事をほとんどとらない、カロリー制限をする、糖質オフの食事を摂るという食生活を送っている場合は、血糖値が低くなります。
なぜなら、血糖値を上げるための炭水化物を取らないからですね。いくら、体には血糖値を下がり過ぎないようにする機能があると言っても、原料となる糖分がなければ、血糖値を維持することはできません。
そのため、血糖値が下がりすぎてしまうことがあるのです。また、忙しくて食事と食事の間隔があきすぎてしまうことでも、血糖値が低くなることがあります。
大量のアルコール
大量のアルコールを飲んでいる人も、血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。お酒は長い目で見ると、糖尿病の原因となるものですが、飲んだ後は一時的に血糖値が下がることがあります。
アルコールは肝臓で分解されます。また、肝臓は糖をグリコーゲンとして貯蔵している臓器です。低血糖になりそうになったら、いつもなら肝臓からグリコーゲンを糖として分泌することで、低血糖を予防しているのです。
でも、アルコールを飲んで、肝臓がアルコールを分解することで忙しくなってしまうと、グリコーゲンを放出する余裕がなくなるので、血糖値が低くなりやすいのです。
運動のし過ぎ
運動をし過ぎることでも、血糖値が低い原因の1つです。無酸素運動をすると、筋肉内のグリコーゲンがエネルギーとして使われます。さらに、有酸素運動をすると、血液中の糖分がエネルギーとして使われます。
そのため、突然運動をすると、体の中の糖分がエネルギーとして使われ過ぎてしまうので、血糖値が低くなってしまうのです。
張り切ってダイエットを開始した人は、この運動のし過ぎで低血糖になることもありますので、注意が必要です。
反応性低血糖
反応性低血糖は、膵臓からインスリンの分泌が遅れることで、食後4時間頃に起こる低血糖のことです。
通常は、血糖値が上がると同時にインスリンが分泌されて、速やかに血糖値を下げます。でも、インスリンの分泌が遅れると、食事後に血糖値が異常に高くなってしまい、その後はようやくインスリンが分泌されるので、少しずつ血糖値が下がります。
でも、分泌が遅れているので、正常値内に血糖値が下がっても、インスリンの分泌が終わらずに、正常値内からさらに血糖値が下がってしまうことがあります。
不適切な糖尿病治療薬の使用
不適切な糖尿病治療薬を使用することも、血糖値が低い原因になります。糖尿病の患者さんは、内服薬やインスリン注射を用いて、血糖値を低くしようとしますよね。
でも、「具合が悪くて食事が取れなかったのに、いつもと同じ量の薬をんだ」、「間違えて多く飲んでしまった」、「インスリン注射の部位を揉んでしまった」などの不適切な使用をすると、血糖値が下がってしまうことがあります。
糖尿病の患者さんは、血糖値が高いのですが、ただ高いだけでなく、血糖値が不安定になりやすいですし、医師の指示通りに薬を使用しないと、血糖値が下がりすぎてしまうリスクがあります。
低血糖になりやすい体質
低血糖になりやすい体質というものもあります。低血糖になりやすい体質の人は、胃下垂、胃酸過多症、貧血、アレルギー体質、先天的糖尿病体質などです。
これらに当てはまる人は、血糖値が下がりやすいので注意が必要なのです。
血糖値を上げる4つの方法
血糖値が低くなりすぎると、悪心や倦怠感、あくびなどの症状が出始めます。それを放っておくとさらに血糖値が低くなり、意識混濁、けいれん、昏睡などの深刻な症状が現れて危険です。
そのため、血糖値が下がり過ぎた時に、速やかに血糖値を上げられるように、血糖値を上げる方法を4つ知っておきましょう・
糖分のあるものを食べる
血糖値を上げる方法の1つ目は、糖分が入っているものを食べることです。具体的には、砂糖です。砂糖を食べると、数分で血糖値が上がります。
反応性低血糖などでどうしても血糖値が下がりやすい人は、スティックシュガーを数本持ち歩くようにすると安心です。また、「砂糖はちょっと…」という人は、甘いジュースでもOKです。
とにかく、砂糖が入っているものを食べるようにして下さい。
シックデイの対処を決めておく
シックデイとは糖尿病の患者さんが、他の病気にかかった時のことです。糖尿病の人は血糖降下薬やインスリンを使って血糖値をコントロールしていますが、病気になると食事が食べられなくなります。
食事を食べられないのに、いつも通り内服したりインスリンを使っていたら、血糖値が下がりすぎてしまいます。
また、もともと糖尿病の患者さんは血糖値が不安定なので、風邪などの体調不良になると、血糖コントロールが乱れやすいのです。
血糖コントロールが乱れると、風邪、発熱、下痢などの病気も治りにくくなり、そのことがさらに血糖コントロールを悪化させるという悪循環になります。原因となった病気への対応が遅れたり、誤った自己治療をすると、場合によっては危険な状態になることもあります。
シックデイはどうすべきかは、必ず主治医と対処を決めておきましょう。
1日3食しっかり食べる
血糖値を上げる方法の3つ目は、1日3食しっかり食べるようにしましょう。ダイエットの時でも、1日3食しっかり食べるようにしなければいけません。
1日3食しっかり食べると、体に血糖値を維持するための糖分がきちんと供給されますので、栄養のバランスを考えて、バランスよく食べるようにしてください。
間食にはタンパク質を
血糖値が下がりやすい人は、間食にはタンパク質を摂りましょう。タンパク質はゆっくりと血糖値を上げてくれる栄養素なので、血糖値が下がりやすい人は、タンパク質を摂っておくと、血糖値が乱高下せずに、一定の値を保ちやすくなるのです。
ダイエットには筋肉の原料となるタンパク質が必要になりますので、間食には卵や乳製品、大豆製品などタンパク質が豊富なもの食べるようにしましょう。
血糖値の正常範囲と血糖値が低い原因・上げる方法についてのまとめ
・低血糖の症状
「自覚症状が現れにくいため症状の判断が難しい」
・血糖氏が低い原因
「カロリー制限をする、糖質オフなどの不適切な食事」「大量のアルコールを摂取している」「運動しすぎ」 「反応性低血糖の可能性」「糖尿病の治療薬の使い方が間違っている」「アレルギー体質」「胃下垂」「胃酸過多症」「貧血など低血糖になりやすい体質」
・血糖値を上げる方法
「糖分があるものを食べる」「糖尿病患者の人はシックデイの対処を決めておく」「1日3食しっかり食べる」「間食には、卵や大豆製品、乳製品などのたんぱく質をとる」
血糖値の正常範囲と血糖値が低い原因、血糖値を上げる方法をまとめました。血糖値が下がりすぎると、低血糖の症状が現れますので、血糖値が下がりやすい人は、上げる方法を確認して、必要なら、スティックシュガーなどを持ち歩くようにしてください。
激しいダイエットをしていると、血糖値が下がりやすいですから、ダイエットの頑張り過ぎには注意しましょうね。