「顎が小さくて、やや出っ歯」、このような特徴的な顔つきを「アデノイド顔貌」と言います。アデノイド顔貌の症状や原因、治し方、治療法をまとめました。
「私って、アデノイド顔貌かも?」と思っている人は、ぜひチェックしてみて下さい。
アデノイド顔貌とは?
アデノイド顔貌とは、アデノイドが肥大することで、特有の顔つきになることです。まずは、アデノイドとは何かを説明していきます。
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アデノイドとは咽頭扁桃と呼ばれる部分で、鼻の奥に位置しているリンパ組織です。普段は、鼻からウイルスや異物が体内に侵入するのを食い止めてくれる役割を果たしています。
そして、このアデノイドが肥大することを「アデノイド」や「アデノイド増殖症」と言います。アデノイドが肥大すると、鼻から息をすることが難しくなります。
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鼻の奥の空気の通り道をアデノイドが肥大することで遮断してしまうのです。これが長期間続くことで、アデノイド顔貌と呼ばれる特徴的な顔つきを生み出します。
アデノイド顔貌の原因は?
アデノイド顔貌は、アデノイドが肥大することで起こりますが、なぜアデノイドが肥大すると特徴的な顔つきになるのでしょうか?
アデノイド顔貌の原因は、ズバリ口呼吸です。アデノイドが肥大すると、鼻から空気を吸い込む通り道が狭くなりますので、自然と口呼吸になります。鼻から息がしにくいですので、口呼吸になるのは当然のことですね。
口呼吸だけで、そんなに顔つきが違ってくるの?と思うかもしれませんが、口呼吸は顔つきに大きな影響を及ぼすのです。
アデノイドが肥大する原因は?
アデノイド顔貌はアデノイドが肥大することで、口呼吸になることが原因ですが、アデノイドが肥大する原因は何でしょうか?
アデノイドはリンパ組織で、免疫機能を担っています。ウイルスなどが鼻から侵入してきたら、アデノイドで食い止めるのです。
子どもの頃はまだ免疫力が弱く、アデノイドがよく腫れて肥大化します。ただ、思春期になると、免疫力がついてきて、アデノイドが腫れることも少なくなり、小さくなってくるのです。
そのため、幼児期から学童期は口呼吸になることも多いのですが、それが癖になると、アデノイドが小さい時期でも、思春期以降になっても、口呼吸を続けることになります。
鼻にはフィルター役になってくれる鼻毛がありますが、口にはフィルターがありません。そうすると、息を吸うたびにウイルスや異物を直接吸い込むことになりますので、アデノイドが思春期以降も肥大することになってしまうのです。
子どもの頃にアデノイドが腫れる→口呼吸になる→口呼吸が癖になる→アデノイドがさらに腫れる→口呼吸になるという悪循環に陥りますので、アデノイド顔貌になってしまうんですね。
アデノイド顔貌の11個の症状や特徴
アデノイド顔貌は、アデノイドが肥大して口呼吸が癖になることで起こる特徴的な顔つきのことです。アデノイド顔貌はどんな症状や特徴が現れるのかを見ていきましょう。
顎が小さい
アデノイド顔貌の人は、顎が小さい、もしくはほとんどないという特徴があります。これは、口呼吸を続けることで、口が開いたままになっていることが多いためです。
口を小さく開けてみましょう。顎周りや頬の周辺の筋肉が緩んだように感じませんか?顔の筋肉がたるむことで、顎が発達しなかったり、顎と首の境目がわからなくなったり、二重顎のようになるのです。
アンガールズの山根さんは、典型的なアデノイド顔貌と言われています。また、バナナマンの日村勇紀さんもアデノイド顔貌ですね。
出っ歯になる
アデノイド顔貌は出っ歯になることも、症状の1つです。口呼吸で顔の筋肉がたるむことで、顎が小さくなります。そうすると、相対的に上の歯が出ているように見えてしまうのです。
また、顔の筋肉がたるむと、前歯に舌の圧力がかかりやすくなります。前歯を舌が押しているような状態になりますので、出っ歯になりやすいという要因もあります。
面長になる
アデノイド顔貌の症状、3つ目は面長になることです。アデノイド顔貌の人は、顔の筋肉がたるみますので、それに引っ張られて、面長の輪郭になることが多いのです。また、口呼吸をして、口を開けている時間が長いことで、下に顔が引っ張られることで、面長になることがあります。
頬がたるむ
アデノイド顔貌の人は、頬がたるんでいる人が多いです。痩せているのに頬がたるんでいる、若いのに頬がたるんでいるというのは、アデノイド顔貌の特徴的な症状になります。
また、いわゆる「しもぶくれ」のような頬になる人もいます。
口がポカンとあいている
アデノイド顔貌の人は、口がポカンとあいていることが多いという特徴があります。これは口呼吸の弊害ですね。口呼吸が癖になっているので、呼吸しやすいように、口を開けておくのが癖になっているのです。
意識している時は口を閉じていても、リラックスした時やボーっとした時には、口が開いてしまうという人が、アデノイド顔貌の人には多いのです。
唇が乾燥してる
アデノイド顔貌の人は、唇が乾燥していることが多いです。これは、口呼吸をしているためです。また、顔の筋肉がたるむことで唇がめくれて、粘膜が乾燥しやすいこともあります。
また、口呼吸をすることで、どうしても唇が前に押し出すような形になりますので、下唇が厚くなり、たらこ唇のような形になってしまうんです。
いびきをかきやすい
アデノイド顔貌の症状、次はいびきをかきやすいことです。顔の筋肉がたるむことで、舌を支える筋肉が衰えてしまいます。
また、顎が小さいために、仰向けで寝ると、気道が細くなってしまうのです。そうすると、いびきをかくようになります。
滑舌が悪い
アデノイド顔貌の症状のには、滑舌が悪いこともあります。アデノイド顔貌の人は、顎が小さく、口呼吸をしていることで、舌が本来ある位置からずれてしまいます。
また、顔の筋肉がたるむことで、舌が敏捷に動きにくくなりますので、明瞭に発音しにくくなり、滑舌が悪くなってしまうのです。
くちゃくちゃ食べる
アデノイド顔貌の人は、くちゃくちゃと音を立てて食べる人が多いんです。いわゆる「クチャラー」ですね。
これは、口呼吸が癖になって、口を開けることが当たり前になっているので、食べる時にもついつい口を開けてしまうため、くちゃくちゃと音を立ててしまうんですね。
歯並びが悪い
アデノイド顔貌の人は、やや出っ歯気味で、しかも顎が小さいので、どうしても歯並びが悪くなります。特に、下の歯がガタガタになりやすいですね。
顎が小さくても、歯の本数は変わりませんので、狭いスペースにギュウギュウに歯を並べなければいけないので、歯並びが悪くなってしまうのです。
歯並びが悪いと、いつも同じ方で噛んでしまう、虫歯になりやすいなどの影響が出てきます。
睡眠時無呼吸症候群
アデノイド顔貌の人は、睡眠時無呼吸症候群になりやすいので、注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に一時的に呼吸が停止する病気です。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中にいびきと共に呼吸停止がおこることによって睡眠障害を引き起こす病気です。
顔の筋肉がたるんでいるために、舌根沈下が起こりやすく、気道を塞いでしまうことで、呼吸が止まってしまうのです。
呼吸が止まるのは一時的なものですので、そのまま死んでしまうということはありません。でも、呼吸が一時的に停止することで、熟睡することができず、翌日の昼間に眠気に襲われてしまいます。
居眠り運転を起こす人は、実は睡眠時無呼吸症候群だったというケースが多いのです。睡眠時無呼吸症候群は、自分の命も他人の命も危険にさらす可能性がある恐ろしい病気なのです。
アデノイド顔貌の6つの治し方や治療法
アデノイド顔貌の人は、できるだけ治すようにしましょう。そもそも口呼吸を続けていると、アデノイド顔貌になるだけでなく、ドライマウスなどの弊害も出てきますので、アデノイド顔貌の人は、できるだけ早く治したほうが良いのです。
口呼吸を治す
まずは、口呼吸を治しましょう。口呼吸がすべての元凶なのです。アデノイド顔貌が気になっている人は、まずは口呼吸を治しましょう。
思春期前の子どもの場合、口呼吸の癖を治して、鼻呼吸をするだけで、アデノイドを小さくすることができますし、アデノイド顔貌になるのを予防することができます。
大人の場合は、もう骨格が出来上がっているので、口呼吸を治して鼻呼吸にするだけでは、アデノイド顔貌を治すことはできませんが、今以上にアデノイド顔貌の症状が顕著になるのを防ぐことができます。
口呼吸を治すためには、まずは自分自身で口呼吸をするのを止めて、鼻で呼吸をすることを意識してください。これが一番大切です。
鼻呼吸をすると、最初はとても違和感があって、呼吸しにくいと感じると思いますが、それを頑張って続けていると、次第に違和感がなくなって、意識しなくても鼻で呼吸できるようになります。
・寝る時は口にテープを貼る
・ブレストレーナーを使う
このように、口呼吸を止めるためのグッズを使うのも良いと思います。ブレストレーナーとは、大人用のおしゃぶりのようなものです。ブレストレーナーを使うと、口呼吸を治すだけではなく、口周囲の筋肉を鍛えることもできるのです。
アデノイド肥大の治療をする
アデノイド顔貌の治し方、次はアデノイド肥大を治療することです。大人になっても、アデノイド肥大が続いている場合、鼻呼吸がしにくいので、どうしても口呼吸になりやすいのです。
アデノイド肥大を治療して、鼻の空気の通り道を確保すれば、鼻呼吸がしやすくなって、アデノイド顔貌を改善することができるはずです。
子どもの場合は、鼻呼吸をするようにしただけで、アデノイド肥大が治ることもありますが、大人になってしまうと、鼻呼吸をするだけではアデノイド肥大は治りません。
アデノイド肥大の治療法は、抗生剤の服用か切除になります。アデノイド肥大は、アデノイドに炎症が起こっている状態ですから、抗生剤や消炎剤を服用して、アデノイド炎症を治します。
アデノイド肥大が慢性化して、睡眠時無呼吸症候群などの悪影響が出てきている場合には、アデノイドを切除することも考慮されます。
肥大したアデノイドを切除することで、根本的に問題を解決することができるのです。切除すべきかどうかは、医師と相談しながら決めるようにしてください。
ガムをかむ
アデノイド顔貌の治し方、3つ目はガムをかむことです。ガムを噛んでいると、顔の筋肉を動かすことができますよね。そうすると、アデノイド顔貌の特徴である顔の筋肉のたるみを改善して、スッキリした顔になることができるのです。
顔の筋肉を鍛えると、口が閉じやすくなりますし、頬がスッキリしますので、アデノイド顔貌の特徴を改善することができます。
仕事中や授業中はガムをかむことができなくても、自宅にいる時にはガムを噛んでいるようにすると、アデノイド顔貌を治すことができると思います。
あいうべ体操をする
あいうべ体操をすることでも、アデノイド顔貌を治すことができます。あいうべ体操とは、「あー、いー、うー」と口を大きく動かして、「べー」と舌を出す運動のことです。
あいうべ体操をすることで、顔の周りの筋肉を鍛えることができますので、アデノイド顔貌を治すことができるのです。簡単にできる体操ですから、アデノイド顔貌に悩んでいる人は、今日から始めてみると良いでしょう。
歯列矯正をする
アデノイド顔貌を治すためには、歯列矯正をすると良いでしょう。アデノイド顔貌の人は、顎が小さいので歯並びが悪く、出っ歯になることが多いんです。
大人になると、骨格がある程度固まってしまいますので、歯列矯正をして歯並びを治すしかありません。
ただ、歯列矯正をする時には、次に紹介する口腔外科の治療を一緒に行っていった方が、より治療効果が高まります。
歯列矯正をする時には、矯正専門の歯科を選ぶようにしてください。そして、そのような歯科でアデノイド顔貌の治療を相談すると、一緒に治療を進めてくれる口腔外科を紹介してくれると思います。
口腔外科を受診する
口腔外科は歯列矯正の治療と一緒に治療を進めていくべきですが、口腔外科では下顎を前に出すような手術を行うことで、アデノイド顔貌の特徴的な症状を治すことができます。
まずは、矯正専門の歯科を受診して、どうするとアデノイド顔貌を治療できるのか相談してみてください。
アデノイド顔貌の症状と特徴・原因・治療法についてのまとめ
・アデノイド顔貌の原因「子供の頃のアデノイドが腫れて口呼吸になること」
・アデノイド顔貌の特徴
「顎が小さい」「出っ歯になったり、面長になる」「頬がたるむ、口がポカンとあいている」「唇が乾燥している」「いびきをかきやすい」「滑舌が悪い」「クチャクチャ食べる」「歯並びが悪い」「睡眠時無呼吸症候群になりやすい」
・アデノイド顔貌の治し方や治療法
「口呼吸を治す」「アデノイド肥大の治療をする」「ガムを噛む」「あいうべ体操をする」「歯列矯正をする」「口腔外科を受診する」
アデノイド顔貌の症状や特徴、原因、治し方・治療法をまとめました。アデノイド顔貌は口呼吸が原因ですから、まずは口呼吸の癖を治して下さい。
子どもなら、それだけでアデノイド顔貌を予防できます。大人になってから本格的に治すには、病院での治療が必要ですので、耳鼻科や矯正歯科に相談してみましょう。