今まで頑張っていたのに、突然頑張る気力を失ってしまったという人はいませんか?頑張ろうと思っても、頑張るパワーが湧いてこないこともあると思います。
そんなあなたは、燃え尽き症候群かもしれません。燃え尽き症候群とは何か、その症状や原因、治し方を説明していきます。
燃え尽き症候群とは?
燃え尽き症候群とは、それまで仕事などに熱心に取り組んでいた人が突然無気力な状態になってしまうことです。
1つのことに全力で取り組んでいたのに、思ったような成果・結果が出ない場合や、目標を見失ってしまった時に、ガス欠になってしまったかのように意欲をなくして、無気力になってしまうことがあります。
この燃え尽き症候群は、バーンアウト症候群やバーンアウトシンドロームとも言われています。燃え尽き症候群は正式に精神疾患に分類されているわけではありませんが、うつ病の一種と考えられています。
絶え間ない過度のストレスにより発生し、うつ病の一種とも考えられています。
燃え尽き症候群は、うつ病の一種と考えられていますので、そのまま放っておくとどんどん悪化して危険な状態になります。燃え尽き症候群になってしまったら、早めに対処して、しっかり治すことが大切なのです。
燃え尽き症候群の症状
燃え尽き症候群は、精神的な症状と身体的な症状の2つに分けることができます。
精神的な症状
燃え尽き症候群になると、次のような症状が現れるようになります。
・仕事に行きたくない
・誰にも会いたくない
・イライラする
・仕事でミスが増える
・ミスしても、どうでも良いと思えてくる
・集中できない
・眠りが浅い、寝つきが悪い
・人に対して攻撃的になる
・何事にも意欲が湧かない
・絶望感や虚無感を感じる
・アルコールの量が増える
燃え尽き症候群になると、心が燃え尽きてしまうので、今までのように頑張れなくなります。まったく意欲が湧いてこなくなるのです。
そのため、仕事を頑張ろうという気持ちが湧いてこなくなりますし、仕事でミスが増えます。でも、ミスをしても特に何も感じず、「まぁいいか」で済ませるようになるのです。
また、対人関係にも変化が出てきます。人と会うこと、人と接することが嫌になり、ちょっとしたことでイライラしたり、攻撃的になりますし、人と会うことを避けて、1人でいたいと思うようになります。
そのため、休日はできるだけ1人でいて、部屋に引きこもることが多くなります。今までは休日は外出したり、人と会う予定を入れるのが当たり前だったのに、部屋から出る気がなくなり、誰とも会いたくないと思うようになったのは、燃え尽き症候群の可能性が高いです。
さらに、寝つきが悪い・眠りが浅いなどの睡眠障害の症状やアルコールの量が増えるのは、燃え尽き症候群の典型的な症状の1つと言えます。
身体的な症状
燃え尽き症候群は、心が燃え尽きてしまう病気ですが、心が燃え尽きるほど1つのことに没頭し、頑張っているので、身体的にも限界を迎えていることが多いです。
体力的な限界を迎えると、体のバランスが崩れますので、自律神経のバランスが乱れてしまうのです。
自律神経のバランスが乱れて、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできなくなると、次のような症状が現れます。
・肩こりや首のコリ
・腹痛
・胃腸の不調
・便秘
・下痢
・食欲低下
・倦怠感
・易疲労感
このような症状は、自律神経失調症の典型的な症状であり、燃え尽き症候群は一般的なうつ病に比べると、これらの身体的な症状が出やすい傾向にあります。
これらの症状が出たら、燃え尽き症候群かも!?
燃え尽き症候群の症状をご紹介しましたが、次のような症状に覚えがあったら、燃え尽き症候群を疑ったほうが良いかもしれません。
1.突然無気力になった
2.アルコールの量が増えた
3.人と会うのが億劫
4.体調不良がある
この4つに当てはまると、必ず燃え尽き症候群であるというわけではありませんが、燃え尽き症候群の可能性は高くなりますので、後で説明する治し方を実践することをおすすめします。
燃え尽き症候群の4つの原因
燃え尽き症候群の治し方を見る前に、まずは原因を確認しておきましょう。燃え尽き症候群の原因は、次の4つがあります。
1つのことに没頭し過ぎる
燃え尽き症候群の原因の1つ目は、1つのことに没頭し過ぎることです。1つのことに没頭し過ぎると、その1つのことがなくなった時に目標を見失い、心のバランスが崩れてしまうのです。
これは、スポーツ選手や受験生に多い原因です。オリンピックに出るようなスポーツ選手は、オリンピックでの金メダルを目標にして、自分の生活すべてを練習に捧げます。
受験生は志望校合格のために、生活のすべてを勉強に費やしています。
でも、オリンピックが終わったら、受験が終わったら、目標としていたものがなくなるので、燃え尽き症候群になってしまうのです。
無理して頑張りすぎた
燃え尽き症候群の原因の2つ目は、無理して頑張りすぎたことです。本当はやりたくないことなのに、無理して頑張っていると、燃え尽きてしまうことがあります。
別にやりがいを感じていなかったのに、やりたい仕事ではなかったのに、無理して頑張っている場合、突然「なんで私、こんなことを頑張らなくちゃいけないんだろう?」と疑問に思うようになります。
そうすると、一気に意欲を失い、頑張れなくなってしまって、燃え尽きてしまうのです。
自分の本心とは違うことをやり、しかもそれを頑張っているのですから、心がついていかなくなり、燃え尽き症候群になってしまうのは仕方がないことと言えるかもしれません。
自己犠牲の精神が強すぎた
燃え尽き症候群の原因の3つ目は、自己犠牲の精神が強すぎたことです。燃え尽き症候群は、医師や看護師、介護士、教師などの職業の人がなりやすいとされています。
これらの職業に共通しているのは、自己犠牲の精神が求められることです。医師や看護師、介護士は、人の命・健康にかかわる仕事であり、教師は人を育てる仕事です。
常に「人のため」を意識して仕事をしなければならず、失敗は許されない仕事です。自己犠牲の精神が当たり前と思われていることもあります。
でも、結果が見えにくい時があり、ちょっとでも問題が起こると、相手から責められることになるんです。
自己犠牲の精神で、文字通り自分を犠牲にしてでも、相手のためを思って一生懸命働いてきたのに、結果がなかなか見えなかったり、時には相手から責められてしまう。
そうすると、「私、何のためにこんなに頑張っているんだろう?私はこんなに頑張っている意味はあるんだろうか?」と考えるようになって、燃え尽きてしまうのです。
自己犠牲が強すぎると、その分無意識のうちに見返りを求めるようになりますが、何の見返りもなく、見返りどころか責められることもあると、燃え尽きてしまうのも当然です。
オーバーワークになった
燃え尽き症候群の4つ目の原因は、オーバーワークです。自分で望んで頑張っていたし、自己犠牲なんて関係なかったけれど、単純に頑張りすぎていた場合、体力的にオーバーワークになると、燃え尽き症候群になることがあります。
人間は頑張り続けることはできません。休養も必要です。でも、休養を取らずに頑張り続けると、どんなにやる気があっても、体がついていかなくなるんです。
体がついていかなければ、心もついていかなくなります。そうすると、燃え尽き症候群になってしまうのです。
燃え尽き症候群の5つの治し方
燃え尽き症候群になったら、しっかり治さないといけません。燃え尽き症候群は、うつ病の一種ですから放っておいたら、さらに悪化して本格的なうつ病になり、自殺に至る可能性があります。
また、燃え尽き症候群は、頑張りすぎて心身ともに限界が来ている証拠です。脳や体がSOSを発している状態なのです。それを放っておいたら、過労死する危険が出てきます。
だから、燃え尽き症候群になったら、早く治さなくてはいけません。燃え尽き症候群の治し方を5つご紹介します。
心療内科や精神科を受診する
燃え尽き症候群かもしれないと感じたら、心療内科や精神科を受診しましょう。燃え尽き症候群はうつ病の一種と考えられていますので、専門的な治療が必要になります。
心療内科や専門家での治療は、抗うつ薬な抗不安薬などの服薬が主な治療方法になりますが、これはあくまで補助的な方法です。投薬で燃え尽きた心を回復させることはできませんから。
メインの治療は主治医や臨床心理士と話しながら、燃え尽きてしまった原因を考え、どうやったら改善していけるのかを考えていくことになります。
また、心療内科や精神科では、「燃え尽き症候群」という診断名は出ないかもしれません。燃え尽き症候群は精神科の疾患名に分類されていませんから。
ただ、症状によって、何らかの診断はつく可能性があります。うつ病や適応障害、不安障害などですね。何らかの診断が付いたら、きちんと診断書をもらっておきましょう。
診断書は有料ですが、診断書があれば、治療の役に立つことは間違いありません。
まずは休む
燃え尽き症候群だと感じたら、まずは休みましょう。先ほども言いましたが、燃え尽き症候群は心身ともに燃え尽きて限界が来ている状態です。
脳と体が、「もう限界だから、助けて」とSOSを出しているのです。だから、休みましょう。仕事で燃え尽き症候群になった人は、「どうやっても休めない!」と思うかもしれませんが、そんな時に役立つのが、先ほどの診断書です。
診断書を提出すれば、有給や休職という形で、仕事を休むことができるはずです。
燃え尽き症候群の原因となった仕事から離れてゆっくり休むことで、体も心もエネルギーを少しずつ充電することができます。
ゆっくり休んで、少し回復してきたと思ったら、趣味など仕事以外のことを少しずつ始めてみると良いでしょう。
自分を許してあげる
燃え尽き症候群になる人は、責任感が強いので、燃え尽き症候群になってしまった自分を情けないと思ったり、意欲が出ない自分を許せないと思うかもしれません。
でも、燃え尽き症候群になったら、そんな自分を褒めて許してあげましょう。燃え尽き症候群になったということは、それだけあなたが頑張ったということです。無理せず頑張らない人は、燃え尽きませんから。
だから、燃え尽き症候群になったら、それだけ頑張ったということですから、自分を責めずに許してあげましょう。どんなにすごい人でも、どんなに能力が高い人でも、人間は休まないと頑張れないんです。
あなたにとって、今が休む時期です。だから、休む自分を許してあげましょう
妥協を覚える
燃え尽き症候群になる人は、完璧主義の人が多いです。でも、燃え尽き症候群を治すためには、妥協を覚えてください。これは、とても有効な治し方です。
・頑張りすぎない
・手を抜いて良いところは手を抜く
・ちょっとくらい失敗しても、挽回すれば大丈夫
・肩の力を抜く
・周囲の人を頼る
・疲れたら休む
これらのことを覚えて実践すれば、今後は燃え尽き症候群になりにくくなります。
完璧主義は良いことですが、完璧に仕事ができるように頑張っても、相手はあなたの努力に必ず答えてくれるとは限りません。
看護師さんだったら、頑張ってもケアをしても患者さんが亡くなってしまうことはあります。それどころか、文句を言われることもあるでしょう。
だから、あなただって、支障がない範囲で妥協して手を抜いても全然OKです。
今の気持ちを誰かに話す
燃え尽き症候群の治し方、5つ目は今の気持ちを誰かに話すことです。燃え尽き症候群になったら、今のあなたの心の中にある辛いことやモヤモヤなどを誰かに正直に話しましょう。
心の中を正直に話すことで、気持ちがスッキリすることがあります。また、あなた自身が心の中を客観視できるきっかけにもなります。
さらに、第三者にあなたの気持ちを聞いてもらうことで、あなたには考えもつかなかったようなアドバイスをもらえることもあるのです。
話す相手は、あなたが信頼している人なら誰でも構いません。家族でも、恋人でも、友達でもOKです。知っている人に話すと恥ずかしいと思うなら、心療内科や精神科の医師や臨床心理士に話しても良いでしょう。
燃え尽き症候群の症状・原因・治し方についてのまとめ
・燃え尽き症候群の症状
「精神的な症状が出る」「身体的な症状が出る」「突然無気力になった」「アルコールの量が増えた」「人と会うのが億劫」「体調不良」
・燃え尽き症候群の原因
「一つのことに没頭しすぎ」「無理して頑張りすぎた」「自己犠牲の精神が強すぎた」「オーバーワークになった」
・燃え尽き症候群の治し方
「心療内科や精神科を受診する」「まずは休む」「自分を許す」「妥協を覚える」「今の気持ちを誰かに話す」
燃え尽き症候群の症状や原因、治し方をまとめました。燃え尽き症候群は、頑張りすぎてしまった結果と言えるでしょう。だから、ゆっくり休んでください。
もちろん、一番の重要な治し方は、心療内科や精神科を受診することです。薬に頼りすぎるのは良いことではありませんが、それでも専門家の治療を受けることは燃え尽き症候群を治すための一番の近道です。
燃え尽き症候群になったら、早い段階でしっかり治すようにしましょう。