赤ちゃんが欲しいのになかなか妊娠しないと悩んでいるカップルは多いですよね。不妊に悩むカップルは、10組に1組とも言われています。
不妊の原因というと女性側の原因ばかりが注目されますが、実は男性側の原因もあるのです。また、不妊になりやすい人の特徴もまとめました。不妊に悩んでいるカップルは不妊の原因を学んで、妊活に活かしていきましょう!
この記事の目次
不妊症の定義って?
不妊症の原因を知る前に、まずは不妊症とは何か、不妊症の定義を確認しておきましょう。
不妊症とは、妊娠を望むカップルが避妊をせずに夫婦生活を営んでいるのに、一定期間妊娠しないことを指します。この一定期間には様々な説がありますが、WHO(世界保健機関)や日本産婦人科学会は一定期間を1年と定めています。
つまり、不妊症とは妊娠を望むカップルが避妊をせずに夫婦生活をしているのに、1年以上妊娠しない状態と定義することができます。
不妊の原因~男女共通~
不妊の原因は1つだけではありません。様々なことが原因になっています。また、不妊は女性だけではなく男性にも原因があることも多々あります。
WHO(世界保健機関)が発表した不妊症原因の統計で不妊症の原因は41%が女性側、24%が女性男性ともにあり、24%が男性側、11%が原因不明となっています。
不妊に悩むカップルの中で、男性側にも不妊の原因がある場合は48%もあるということになります。不妊というと女性側の原因ばかりがクローズアップされますが、実は男性側に原因がある可能性も高いのです。
不妊の原因について、まずは男女共通の原因にはどんなものがあるのかを確認していきましょう。
年齢
男女共通の不妊の原因は、年齢です。女性が加齢によって妊娠力が低下するのは有名ですね。
女性は30歳を過ぎると自然に妊娠する確率は減り、35歳を過ぎると著明な低下を来たします。
女性が35歳を過ぎると、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気を持っている人が多くなりますし、卵子の質が低下しますので、自然妊娠しにくくなってしまうのです。
また、男性も年齢を重ねると、精子の質が低下します。男性は生涯にわたって精巣で精子が作られますが、精子の質が低下するので、妊娠しにくくなるのです。
30歳代と比較すると50歳代では精液量は3~22%、精子運動率は3~37%、精子正常形態率は4~18%低下すると報告されています。
引用:一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ – 不妊症Q&A:Q21.男性の加齢は不妊症・流産にどんな影響を与えるのですか?
また、男性が高齢だと流産する確率が高まるというデータもあるのです。
原因不明
不妊の原因は全て解明されているわけではありません。不妊の検査をしても、不妊の原因がわからないことがあります。
原因不明不妊は不妊症の1/3をしめるといわれていますが、本当に原因がないわけではなく、検査では見つからない原因が潜んでいます。
引用:一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ – 不妊症Q&A:Q4.不妊症の原因にはどういうものがありますか?
不妊の原因~女性編~
不妊の原因、次は女性側に不妊の原因がある場合、どんな原因があるのかを確認していきましょう。女性側に不妊の原因がある場合は、排卵、卵管、子宮、子宮頸管、免疫という5つの要素のいずれかに問題がある可能性があります。
排卵の問題
不妊の原因の1つ目は、排卵に問題があるパターンです。本来なら、女性は月経が規則的に起こって、月経の2週間前に排卵が起こります。排卵が起こることで、卵子と精子が受精できるようになるのです。
ただ、高プロラクチン血症など女性ホルモンの分泌に影響を与える病気や男性ホルモンが多くなる多嚢胞性卵巣症候群になると、排卵が起こりにくくなります。
また、過激なダイエットやストレスなどでも女性ホルモンのバランスが乱れて、排卵が起こらないこともあるんです。
さらに、通常は50歳前後で閉経しますが、40歳前後で閉経する早発卵巣不全でも、排卵がなくなり、不妊の原因となります。
卵管の問題
卵管に問題がある場合も不妊の原因となります。卵管は子宮から卵子に向かって精子が移動する道であり、さらに受精した後に受精卵が子宮に向かって移動する道になります。
この卵管が詰まっていたり、細くなっていると、受精できなかったり、受精卵が子宮に着床できなかったりするのです。
卵管が詰まる、細くなる原因には、卵管の炎症があります。クラミジア感染症などで卵管に炎症があると癒着が起こることがあるのです。また、子宮内膜症でも卵管の癒着が起こります。
さらに、虫垂炎や腹膜炎などで骨盤内の手術を受けたことがある人も、卵管の癒着が起こっている可能性があります。
子宮の問題
子宮筋腫、特に粘膜下筋腫があると、子宮内部の形状が大きく変わってしまい、受精卵が着床しにくくなりますので、不妊の原因となります。
子宮頸管の問題
子宮頸管とは子宮の入り口の細くなっている部分のことです。排卵2~3日前になると、精子が通りやすいように、子宮頸管からの粘液の分泌量が増加しますが、子宮頸管の炎症や手術などの影響で、粘液の分泌量が減少すると、精子が子宮に到達できず不妊になってしまいます。
免疫の問題
免疫に異常が生じたことでも、不妊になることがあります。
何らかの免疫異常で抗精子抗体(精子を障害する抗体)、特に精子不動化抗体(精子の運動を止めてしまう抗体)を産生する女性では、抗体が頸管粘液内にも分泌され、例え運動性の良い精子でも通過を妨げてしまいます。
不妊の原因~男性編~
不妊の原因は、男性にある場合もあります。男性側の不妊の原因には、造精機能の問題、精路機能の問題、性機能の問題の3つがあります。
造精機能の問題
男性の不妊原因の1つ目は、造精機能に問題がある場合です。男性不妊の約80~90%が造精機能障害とされています。
精子の数が少ない、また精子がない、精子の運動性が悪い、精子の性状が悪いなどですね。この造精機能は精索静脈瘤、染色体異常、クラインフェルター症候群、停留精巣などの病気が原因で造精機能障害が起こります。
精路機能の問題
精路機能の問題とは、精巣からペニスの先端までの精子が通る道が途中で詰まっていることで、精子が排出できないと、性交しても妊娠に至りません。
性機能の問題
勃起障害(ED)や膣内射精障害など男性の精機能に問題があることも、不妊の原因になります。勃起障害や膣内射精障害はストレスなどの精神的な問題によることが多いのですが、糖尿病などの病気が原因になることもあります。
また、「妊娠させなくちゃ」というプレッシャーから勃起障害になってしまうことも珍しくありません。
不妊になりやすい人の6つの特徴
不妊になりやすい人には、どんな特徴があるのでしょうか?不妊になりやすい人の特徴をを知っておけば、妊活に役立てることができるはずです。
痩せすぎ、太り過ぎ
不妊になりやすい人の1つ目の特徴は、痩せすぎや太り過ぎです。過度なダイエットをして痩せた女性は、ホルモンバランスが乱れていることが多く、排卵しにくい状態になっていることがあります。もちろん、男性の過度なダイエットも、男性ホルモンのバランスを乱します。
また、男女ともに太り過ぎも要注意です。ホルモンが正常に働くためには、ホルモン量と体重のバランスが取れている必要があります。
肥満の人は体重に比べるとホルモン量が少ないので、男性ホルモン、女性ホルモン共に不足気味になってしまいます。
そのBMIが高いほど正常な精子数や精子の量が少なかったという実験の結果があります。
妊娠を目指すなら、男女ともに適正体重を維持する必要があるのです。
喫煙者
喫煙者も不妊になりやすいので要注意です。
喫煙することで妊娠を希望してから妊娠に至るまでの期間が長くなり、1年以内に妊娠しない人が非喫煙者に比べると3.4倍増加することが報告されています。
また、男性の喫煙者は非喫煙者に比べると、精子の数が15~25%低下しますし、運動能力や精子の形状にも影響を与えることがわかっています。
喫煙は、妊娠したとしても胎児に悪影響を与えるものですから、妊娠を希望するなら、男女ともに禁煙するようにしましょう。
お酒が好き
お酒が好きで、毎日飲んでいることも、不妊になりやすい人の特徴です。
女性の場合、1日2杯のアルコールの摂取では不妊の割合を60%増にさせます。
男性の場合は、アルコールは精子の質にそれほど影響を与えるものではありませんが、一時的に勃起障害を引き起こすこともありますので、アルコールは控えめにしておきましょう。
ストレスフルな生活をしている
ストレスの多い生活をしている人も、不妊になりやすい人の特徴と言えるでしょう。毎日忙しい中で、不規則な生活をし、さらにストレスをたくさん抱えていると、自律神経のバランスが崩れます。
自律神経のバランスはホルモンバランスにも大きな影響を与えるので、男性ホルモン・女性ホルモンのバランスが乱れて、排卵や精子の質に影響を与えるのです。
妊娠を望むカップルは、規則正しい生活をして、睡眠・休息をしっかり取り、ストレス解消を心がけましょう。
栄養の偏り
あなたは栄養のバランスの取れた食事を食べていますか?コンビニやファーストフードなどで手早く済ませて、栄養のバランスが偏っていないでしょうか?
精子は活性酸素の攻撃を受けやすいため、活性酸素に対抗するビタミンが不足することも不妊の原因となります。
妊娠力を上げるためには、男女ともに健康的な食生活を送る必要があります。特に、ビタミン類は十分に摂るようにしましょう。また、栄養のバランスの取れた食事は肥満を解消できて、適正体重を保つのに役立ちます。
冷え性
女性の冷え性は多いですが、冷えも不妊の原因の1つです。冷え性の人は卵巣の機能が低下しますので、ホルモンバランスが乱れて、生理が不順になり、排卵が起こりにくくなります。
そのため、冷え性の人は体を冷やさないようにしたり、適度な運動をするなど、冷え性を改善するように心がけましょう。
なかなか妊娠しないなら、早めに2人で不妊外来へ
妊娠を望んでいて、避妊をしていないのに1年以上妊娠しないという場合は、不妊症に当てはまりますので、早めに不妊外来を受診しましょう。
この時に大切なのは、女性1人ではなくカップル2人で受診することです。不妊は女性だけでなく男性にも原因があることが多いですし、妊娠は女性だけの問題ではなく夫婦2人の問題になりますので、2人で受診して検査をすることが大切なのです。
「まだ大丈夫でしょ。」と不妊外来への受診をためらう人も多いと思いますが、不妊治療は始めるのが早ければ早いほど、治療効果は高くなり、妊娠できる確率が高くなります。
35歳以降は、急速に妊娠力が低下します。不妊治療を行っても赤ちゃんを得られない女性が、35~39歳で約30%、40~44歳では66%になるというデータもあります。
将来、「あの時受診して、不妊治療を始めておけば…」と後悔しないためにも、1年以上妊娠しない人は、不妊外来の受診をおすすめします。
不妊症の原因と不妊になりやすい人についてのまとめ
「妊娠を望むカップルが避妊をしないで夫婦生活をしているのに1年以上妊娠がみられない状態」
・不妊に悩むカップルで不妊の原因
「女性のみが41%」「男性のみが48%」「年齢によって妊娠力が低下」「原因がわからないこともある」
・不妊の原因が女性にある場合
「排卵の問題がある」「卵管に問題がある」「子宮に問題がある」「子宮頸管や免疫の問題がある」
・不妊の原因が男性にある場合
「造精機能に問題がある」「精路機能に問題がある」「性機能の問題がある」
・不妊になりやすい特徴
「痩せすぎか太り過ぎ」「喫煙者である」「お酒が好き」「ストレスをたくさん抱えている」「栄養が偏っている」「冷え性」
・なかなか妊娠しない場合は、不妊外来を受診する
不妊症の原因と不妊になりやすい人の特徴をまとめました。不妊の原因が男性にもあること、そしてその割合が意外と高いことに驚いた人が多いのではないでしょうか?
不妊に悩んでいる人は、不妊になりやすい人の特徴を参考にして、生活習慣を改めてみましょう。また、同時に勇気を出して不妊外来を受診してください。
受診しようかどうか迷っている時間が長ければ長いほど、時間はどんどん過ぎていき、不妊治療をしても妊娠できる確率はどんどん低くなっていきます。
妊娠を望んでいるなら、夫婦2人で不妊外来を受診して不妊治療を始めるようにしましょうね。