低インスリンダイエットというダイエット方法を知っていますか?低インスリンダイエットは、血糖と血糖値を下げるインスリンの性質を利用したダイエット方法です。
インスリンの作用と副作用、一般的な種類、低インスリンダイエットの効果や方法をまとめました。低インスリンダイエットは、将来の糖尿病予防にもなるんですよ!
インスリンの作用と副作用
低インスリンダイエットについて説明する前に、まずはインスリンに関する基礎知識を身につけておきましょう。インスリンは、なんとなく知っているけれど、具体的にはよくわからないという人も多いと思います。
インスリンの基礎知識と作用・副作用について説明します。
インスリンとは?
インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンで、51個のアミノ酸から作られています。
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。食事をして血液中のブドウ糖が増加すると、インスリンが分泌されて、血糖値が下がります。
血糖値を上げるホルモンはいくつかありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリン以外にありません。
インスリンの作用
インスリンは、血糖値を下げるホルモンです。血液中のブドウ糖が増えると、膵臓からインスリンが分泌されて、血液中のブドウ糖と結合します。
ブドウ糖と結び付いたインスリンは、次のような作用があります。
・肝臓や筋肉に取り込まれて貯蔵される
・タンパク質の合成や細胞増殖を促す
・中性脂肪として脂肪細胞に取り込まれる
ブドウ糖はインスリンと結びつくと、このようなことに使われるので、血糖値が下がるのです。
インスリンの副作用
インスリンの作用は血糖値を下げることですが、副作用はあるのでしょうか?健康な人は、基本的にインスリンの副作用は気にしなくても大丈夫です。
血糖値を下げるホルモンはインスリンだけですが、血糖値を上げるホルモンは成長ホルモン、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾールと複数あります。
そのため、たとえインスリンが血糖値を下げ過ぎてしまっても、これらのホルモンが分泌されることで、血糖値を一定に保ち、必要以上に血糖値が下がりすぎることはないのです。
ただ、糖尿病治療をしている人、特にインスリンの注射をしている人は副作用に注意しなければいけません。
インスリンの副作用は、血糖値が下がりすぎることです。血糖値が下がりすぎる(低血糖)を起こすと、次のような症状が現れます。
・発汗
・動悸
・手足の震え
・眠気
・脱力感
・傾眠
・痙攣
・昏睡
低血糖は、最悪の場合、死に至ることもあるのです。
インスリンの種類5つ
糖尿病の人はインスリンが膵臓から十分に分泌されなくなったり、分泌されても効き目が悪くなるので、糖尿病が進行すると、インスリンを注射して血糖値を下げなければいけません。
糖尿病治療で用いられるインスリンは、主に5つのタイプに分けることができます。
1.超速効型=発現時間は10~20分、持続時間は3~5時間
2.速効型=発現時間は30分~1時間、持続時間は5~8時間
3.中間型=発現時間は30分~3時間、持続時間は18~24時間
4.持効型=発現時間は1時間、持続時間は24時間以上
5.混合型=発現時間は30分、持続時間は24時間
医療現場では、この5種類のインスリン製剤が使われています。どのインスリンを使うかは、その人の血糖値の変化によって異なります。
超速効型と持効型の2種類を使って治療をすることもあります。
低インスリンダイエットの効果
インスリンの基礎知識がわかったところで、次は低インスリンダイエットについて説明していきます。低インスリンダイエットをすると、どのような効果があるのでしょうか?
インスリンが多いと脂肪が溜まる
インスリンの作用でも説明しましたが、インスリンは血糖値を下げるホルモンです。血液中のブドウ糖と結合することで、細胞のエネルギーになったり、タンパク質の合成を促進したり、筋肉や肝臓にエネルギーとして貯蔵されるんでしたよね。
そして、もう1つ重要な作用がありましたよね?覚えていますか?インスリンとブドウ糖が結び付くと、中性脂肪として脂肪細胞に取り込まれるんでしたよね。
ということは、血糖値が上昇して、たくさんのインスリンが分泌されると、それだけ脂肪が蓄積しやすいということです。
脂肪の蓄積を防ぐために、インスリンの分泌量を少なくしましょうというのが、低インスリンダイエットなんです。
インスリンの分泌量が少なければダイエットできる!
低インスリンダイエットは、インスリンの分泌量を少なくして、ブドウ糖+インスリンが脂肪に変わるのを防ぐダイエットです。
では、どうやってインスリンの分泌量を少なくするのか。それは、血糖値が急上昇するのを防げばよいのです。
血糖値が一気に上がると、元の血糖値に早く戻そうとして、インスリンが大量に分泌されます。
でも、血糖値が一定なら、インスリンは分泌されません。食後はどうしても血糖値は上がるものです。食事をすれば、血糖値は上がるのですから。
それでも、食後の血糖値の上昇をできるだけ緩やかにすれば、インスリンの分泌量を少なくすることができます。
低インスリンダイエットは、食後の血糖値の上昇を抑えて、ダイエットをする方法なんですね。
低インスリンダイエットのやり方6つのポイント
低インスリンダイエットの行い方を説明していきます。低インスリンダイエットは、次の6つのことに注意しながら行いましょう。
食べる順番に気を付ける
低インスリンダイエットでは食べる順番に気を付けてください。炭水化物は血糖値をすぐに上げてしまうので、食べる順番は一番最後です。
一番最後に炭水化物を食べれば、食べ過ぎを防げるので、血糖値は上がりにくくなります。また、胃に何もない状態で食べるよりも、胃に食物が入っている状態で食べたほうが、消化がゆっくりになるので、血糖値が急上昇しにくいのです。
そのため、低インスリンダイエットをする時には、次の順番で食べるようにしましょう。
2.メインディッシュ
3.炭水化物
この順番なら血糖値が上がりにくいので、インスリンの分泌量は少なくなるはずです。
水溶性食物繊維をたっぷり摂取する
低インスリンダイエットをする時には、水溶性食物繊維をたっぷり摂りましょう。水溶性食物繊維を摂ると、血糖値の上昇を穏やかにすることができるんです。
水溶性食物繊維は水に溶けて、ゲル化します。ベトベト&ベタベタする感じですね。水に溶けた水溶性食物繊維は、胃の中の炭水化物を包み込んでくれます。
そうすると、ベトベト&ベタベタした水溶性食物繊維は、胃や腸の中をゆっくりと移動していくので、消化吸収が遅くなり、血糖値の上昇がゆっくりになるんですね。
水溶性食物繊維は、次のような食材に多く含まれています。
・海藻
・果物
・オクラ
これらの食材は、炭水化物を食べる前に摂取しておくと効果的ですのので、低インスリンダイエットをする時には、海藻サラダや刺身こんにゃくなどを食べてから、炭水化物を食べるようにすると良いでしょう。
食事回数を増やす
低インスリンダイエットのやり方、3つ目のポイントは食事回数を増やすことです。1度にたくさん食べてしまうと、一気に血糖値が急上昇します。
それなら、1回の食事量を減らして、少しずつ食べたほうが、血糖値が上がりすぎることがありませんので、インスリンの分泌量を減らすことができるんです。
低インスリンダイエットをするなら、1回の食事量を減らして、食事回数を増やすようにすると良いでしょう。
ゆっくり食べる
低インスリンダイエットのやり方、4つ目はゆっくり食べることです。早食いをすると、一気に血糖値が上がりますので、インスリンがドバドバ分泌されます。
でも、ゆっくり食べれば、消化吸収がゆっくりになりますので、血糖値が上がりにくいんです。
低インスリンダイエットをするなら、1口を小さくしてよく噛んで、一緒に食べる人とおしゃべりを楽しみながら、時間をかけて食事をするようにしましょう。
ただ、ダラダラ食べはNGです。食事量を決めてゆっくり食べるのは良いですが、ただ単にゆっくりダラダラ食べていると、いつの間にか食べ過ぎていて、ダイエットになっていないことがあるんです。
そのため、低インスリンダイエットをする時には、食事量は決めてから、ゆっくり食べるようにしてください。
GI値が低いものを選ぶ
低インスリンダイエットをするなら、炭水化物はGI値が低いものを選んでください。GI値とはGlycmic Index=グリセミックインデックスの略で、血糖値が上がるスピードを表したものです。
GI値が高ければ、それだけ血糖値が上がりやすい食品であり、GI値が低いと血糖値が上がりにくい食品ということになります。
・ジャガイモ=90
・白米=88
・もち=85
・うどん=85
・そうめん=80
・ニンジン=80
・トウモロコシ=75
・パスタ=65
・玄米=55
・サツマイモ=55
・そば=54
・中華麺=50
・全粒粉パン=50
・春雨=32
低インスリンダイエットをするなら、うどんよりもそば、白米よりも玄米、ジャガイモよりもサツマイモを選ぶべきです。
GI値を気にして食品を選ぶようにすると、血糖値が上がりにくくなりますので、脂肪が蓄積しにくく、ダイエット効果が現れやすくなるはずです。
糖質は控えめに
低インスリンダイエットの最後のポイントは、糖質は控えめにすることです。結局は、これが重要ですね。糖質は血糖値を急上昇させる栄養素ですので、低インスリンダイエットをするなら、糖質は控えめにすることが大切です。
まったく糖質を食べない場合は、リバウンドしやすくなりますので、控えめにする程度で良いと思います。
たとえば、朝と昼は炭水化物を食べて、夕食は炭水化物を食べないようにする。また、3食とも主食はいつもの半分にする。
このような方法で糖質を制限して、控えめにすると、低インスリンダイエットの効果が出やすくなりますのでおすすめです!
インスリンの作用・副作用・低インスリンダイエットについてのまとめ
・インスリンの作用
「エネルギーとして使われる」「肝臓や筋肉に取り込まれて貯蔵される」「タンパク質の合成や細胞増殖を促す」「血糖値が下がる」
・インスリンの副作用
「空腹感」「発汗」「動悸」「手足が震える」「眠気・脱力感」など
・低インスリンダイエットの効果
「インスリンの分泌量を少なくする」「血糖値の急上昇が防げる」
・低インスリンダイエットのやり方のポイント
「炭水化物は最後に食べる」「水溶性食物繊維をたっぷり摂る」「食事回数を増やす」「ゆっくり食べる」「GI値が低いものを選ぶ」「糖質は控えめにする」
インスリンの作用や副作用、種類、低インスリンダイエットの効果ややり方のポイントをまとめました。
インスリンは私たちが健康でいるためには絶対に必要なホルモンであり、糖尿病患者さんにとっては、インスリンが命綱になります。
ただ、インスリンはブドウ糖を脂肪に変えてしまうものなので、できるだけ分泌を控えめにすると、ダイエットしやすくなるのです。また、インスリンの分泌量を減らすと、将来の糖尿病発症のリスクを減らすことができます。
低インスリンダイエットは、ダイエットにも健康にも良いことづくめですので、今日から始めてみましょう!